糖尿病
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56 巻, 10 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
受賞講演
特集
DPP-4 阻害薬,最近の話題
原著
診断・治療(食事・運動・薬物)
  • 杉本 英克, 中石 滋雄, 磯谷 治彦, 大石 まり子, 大橋 博, 奥口 文宣, 加藤 光敏, 栗林 伸一, 福田 正博, 宮川 高一, ...
    2013 年 56 巻 10 号 p. 744-752
    発行日: 2013/10/30
    公開日: 2013/11/07
    ジャーナル フリー
    糖尿病は自覚症状に乏しく,治療を中断する可能性をはらむ.全国臨床糖尿病医会のうち42医療機関に通院中の2型糖尿病患者に,糖尿病初診断以降6ヵ月以上治療を開始しなかった例(指摘後未治療)および治療中断の経歴を調査した.対象は1753例で,指摘後未治療は18.7 %,治療中断は21.7 %であった.両者共に男性に多く(共にp<0.001),糖尿病初診断時年齢は低かった(共にp<0.005).糖尿病治療中断群では非中断群に比し,最近のHbA1cおよび重度視力障害率は高い傾向にあるが有意ではなかった(各々p=0.057, p=0.055).一方,糖尿病腎症の病期は有意に進行していた(p<0.03).非中断群では高血圧症,脂質異常症の治療を高率に受けていた(各々p<0.002, p<0.02).多重ロジスティック回帰で,指摘後未治療群が指摘後早期治療開始群に比してその後に治療を中断する確率は有意に高い(オッズ比1.5, p<0.01).
病態・代謝異常・合併症
  • 髙間 晴之, 太田 明雄, 布施 純郎, 久保田 章, 小花 光夫, 関口 信哉, 田中 逸
    2013 年 56 巻 10 号 p. 753-758
    発行日: 2013/10/30
    公開日: 2013/11/07
    ジャーナル フリー
    HMG-Co A還元酵素阻害薬が糖代謝に及ぼす影響を検討する目的で,非肥満の高LDLコレステロール血症を合併する2型糖尿病患者を対象に,ロスバスタチン2.5 mgとアトルバスタチン10 mgのクロスオーバー試験を行った.薬剤開始前および両剤開始3カ月後に,75 g-OGTTを施行して糖代謝の指標を比較した.その結果,FPGとHbA1cは開始前と各薬剤投与後の変化はなかったが,グリコアルブミンはアトルバスタチン服用後で有意に上昇した.75 g-OGTTから得られる血糖とインスリンの変動曲線下面積,HOMA-Rとwhole body insulin sensitivity index,およびinsulinogenic indexは各薬剤投与前後や両剤間での有意差はなかった.さらに膵β細胞機能を示すdisposition indexも投与前後や両剤間での有意差を認めなかった.以上から少なくとも低用量ロスバスタチン(2.5 mg)は非肥満2型糖尿病の短期間の血糖コントロールに影響しない可能性が示唆された.
患者心理・行動科学
  • 德田 八大, 越智 史浩, 宮越 香名, 窪岡 由佑子, 楠 宜樹, 村井 一樹, 美内 雅之, 勝野 朋幸, 浜口 朋也, 宮川 潤一郎, ...
    2013 年 56 巻 10 号 p. 759-768
    発行日: 2013/10/30
    公開日: 2013/11/07
    ジャーナル フリー
    肥満2型糖尿病患者22例において,エキセナチドがその血糖コントロールと食行動に及ぼす影響を検討した.副作用のために継続できなかった2例を除く20例について分析を加えた.外来導入例を対象とし,エキセナチド5 μg×2回/日を投与,体重減少あるいは血糖値の改善において効果不十分と判断した例は10 μg×2回まで増量し,投与後12週間まで経過観察を行った.観察期間前後でHbA1c(NGSP),空腹時血糖値,体重,血清CPRを測定し,食行動を7項目に分けた質問票で評価を行った.エキセナチド投与後,HbA1cは有意に改善し,血清CPRは有意に増加し,体重は有意に減少した.食行動は全ての項目に関して有意に改善していた.さらにHbA1c改善・非改善群,体重減少・非減少群,男性・女性群での比較検討を行った結果,エキセナチド投与によるHbA1cの改善と体重減少効果は必ずしも一致しなかった.特に肥満2型糖尿病女性においては,食行動の全ての項目で改善を示したのに加え,HbA1cの改善と体重減少もみられ最も効果的であった.
症例報告
  • 佐野 亙, 佐野 寧, 佐野 馨
    2013 年 56 巻 10 号 p. 769-774
    発行日: 2013/10/30
    公開日: 2013/11/07
    ジャーナル フリー
    症例は48歳,男性.以前より軽度の糖尿病を指摘されていたが,糖尿病の急速な増悪と肝胆道系酵素上昇のため当院を受診した.抗GAD抗体陽性,高IgG4血症に加え,US, CT,内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査にて,びまん性膵腫大,膵管狭細像,下部胆管狭窄像を認めたため,緩徐進行1型糖尿病と硬化性胆管炎を伴う自己免疫性膵炎の合併と診断された.自己免疫性膵炎に対してはステロイド治療,1型糖尿病に対してはインスリン治療が行われた.ステロイド治療開始後,肝胆道系酵素,IgG4値は正常化し,膵腫大も消失した.また,インスリン治療により血糖コントロールも安定している.1型糖尿病と自己免疫性膵炎はともに膵臓を標的臓器とする自己免疫性疾患であるが,両疾患の合併報告は非常に少なく,今後のさらなる症例の蓄積が期待される.
  • 江口 透, 宮内 省蔵, 上野 義智, 清地 秀典, 松影 昭一
    2013 年 56 巻 10 号 p. 775-780
    発行日: 2013/10/30
    公開日: 2013/11/07
    ジャーナル フリー
    症例は73才女性.2011年1月頃から空腹時の全身倦怠感あり.同年12月下旬の朝に意識障害を認め,当院救急搬送された.血清血糖値29 mg/dl,血清インスリン23.2 μIU/mlと低血糖を認め,ブドウ糖投与により意識障害は速やかに改善した.精査加療目的で入院となった.腹部造影CTで膵体尾部に直径6×10×12 cm大の腫瘍を認め,インスリノーマと診断した.2012年2月上旬に当院外科で膵体尾部切除術を施行した.病理結果はNeuroendocrine tumor(NET),low-grade(G1),免疫染色はInsulin(-/+),Chromogranin A(+)であった.術後,空腹時血清CPRは7.3 ng/mlから1.6 ng/mlに,尿中Cペプチドは51.8 μg/dayから10.1 μg/dayに低下した.またHOMA-βは27.3 %に,CPR indexは0.8にそれぞれ低下していた.インスリン分泌低下によると思われる高血糖を認め,強化インスリン療法を導入した.巨大なインスリノーマにおいて,術後のインスリン分泌低下を考慮する必要があると考えられた.
編集者への手紙
地方会記録
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