糖尿病
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56 巻 , 4 号
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原著
社会医学・医療経済学
  • 藤原 幾磨, 菅野 潤子, 箱田 明子, 西井 亜紀, 五十嵐 裕
    2013 年 56 巻 4 号 p. 213-218
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/11
    ジャーナル フリー
    【目的】東日本大震災における1型糖尿病患者の対応についてアンケート調査を行い,今後の課題を検討した.【対象】1型糖尿病患者111名(年齢2~40歳,沿岸部在住37名).【結果(かっこ内は沿岸部のみ)】地震発生時の居場所は,学校又は職場48 %,自宅30 %.インスリン不足は11(16)%で,確保のため早めに主治医受診24(11)名,近隣病院受診16(10)名,処方箋なしで調剤薬局から4(2)名.糖尿病管理上の対応として,インスリン減量投与,同じ注射針を数回使用,自己血糖測定回数を減らすなどしていた.食事は内容の偏り(炭水化物中心)や不足が多く,運動量は半数で減った.糖尿病に関する情報は,テレビからと答えた者が多く,インターネット,電子メールは1割前後であった.情報確認できない者が沿岸部で5名いた.【考案】災害への備えとして,インスリン等の予備の確保,患者-病院間,地域の患者同士の連絡体制確立が大切である.
  • 江藤 隆, 松原 恵, 永水 美里, 石橋 元規, 都留 智巳, 伊藤 一弥, 大藤 さとこ, 福島 若葉, 入江 伸, 廣田 良夫
    2013 年 56 巻 4 号 p. 219-226
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/11
    ジャーナル フリー
    糖尿病患者はインフルエンザに罹患すると重篤化する懸念がある.当該患者集団でのワクチンの免疫原性の検討は重要である.2009/2010シーズンに,外来通院中糖尿病患者49人にA(H1N1)pdm09ワクチンを2回接種し,解析は48人で行った.免疫原性の指標として幾何平均抗体価(GMT),平均上昇倍数(MFR),抗体保有率(SP),抗体応答率(SR),抗体陽転率(SC)を算出した.抗体応答との関連因子として接種前HI価,年齢,HbA1cなどについて検討した.ワクチン接種後,いずれのカテゴリーにおいてもGMTの上昇は有意であり,全体の1回目接種後(S1)MFRは5.3倍であった.全例解析でSPはS1で52 %,2回目接種後(S2)で54 %,SRはS1で69 %,S2で77 %,SCはS1で46 %,S2で48 %であった.MFRとSCの結果から,本対象での抗体誘導は欧州医薬品審査庁の基準を満たした.接種前HI価とSPに正の関連,年齢とSRに負の関連を認めたが,糖尿病関連因子と抗体応答との間には有意な関連を認めなかった.本結果は,糖尿病の進行が直ちにワクチンの免疫原性の低下に関与するとは言えないことを示唆し,接種禁忌でない糖尿病患者にワクチン接種を推奨することには合理性があると考えられた.
症例報告
  • 近藤 誠哉, 日高 周次, 加島 尋, 光冨 公彦, 藤富 豊, 吉松 博信
    2013 年 56 巻 4 号 p. 227-234
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/11
    ジャーナル フリー
    症例は89歳女性.2007年3月8日,意識障害のため当院脳神経外科を受診した.神経学的所見や頭部MRIで異常は認めなかったが,血糖値が37 mg/dlでありブドウ糖の点滴を施行し,血糖値,症状ともに改善したために帰宅した.翌日早朝,再び意識障害を認め,当院外来を受診した.低血糖を認め,低血糖の精査,加療目的で入院となった.低血糖時の高インスリン血症(30151 μU/ml),インスリン抗体62.5 %,インスリン使用歴もなく,インスリン自己免疫症候群(IAS)に高率に認められるHLA DRB1*04:06を有しており,本邦最高齢で発症したIASと診断した.1994~2010年までに報告された120例を集計した結果,従来発症率に男女差は認めなかったが,最近では女性のIAS発症率が増加していること,女性の発症率の増加の原因としてαリポ酸による薬剤性IASの関与が示唆された.後期高齢者の発症は17例であり,チアマゾールやαリポ酸などの典型的な薬剤によるIAS症例は認められず,薬剤性IAS発症頻度が若年層と比較して少ないという特徴が認められた.文献的考察を交えて報告する.
  • 高井 孝典, 井倉 和紀, 尾内 高子, 藤巻 理沙, 花井 豪, 柳澤 慶香, 新城 孝道, 内潟 安子
    2013 年 56 巻 4 号 p. 235-239
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/11
    ジャーナル フリー
    症例は53歳男性.左踵部の糖尿病性足潰瘍が壊死性筋膜炎に進展し,広範囲のdebridement施行後,左足底踵側の約1/2の皮膚および皮下組織の喪失,さらに数箇所の骨の露出部には壊死組織が付着,かつ左踵骨に軽度の骨髄炎の状態となった.メロペネム,バンコマイシン,クリンダマイシンの抗菌薬の投与により炎症反応が改善した第36病日から,創傷治癒目的のために,V.A.C. システムによる陰圧閉鎖療法(VAC療法)を施行した.VAC療法を保険認可の最長使用期間の4週間,さらに関連病院で4週間施行したところ,創面積の大幅な縮小と良好な肉芽組織の再生を認め,分層植皮術が施行できた.VAC療法は難治性の糖尿病性足病変に対して,有効な治療法である可能性が示唆された.
  • 吉田 守美子, 黒田 暁生, 新居 沙央里, 松本 友里, 近藤 絵里, 安藝 菜奈子, 遠藤 逸朗, 粟飯原 賢一, 鈴木 麗子, 松本 ...
    2013 年 56 巻 4 号 p. 240-245
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/11
    ジャーナル フリー
    インスリンポンプParadigm 712は,インスリン作用時間(AIT)が8時間の設定のため,十分な食後血糖補正インスリン投与を提案しないが,新しいParadigm 722はAITを2~8時間に設定できる.そこで,Paradigm 722の食後血糖補正インスリン量の妥当性を検証した.症例は1型糖尿病の50歳代女性.入院の上インスリンリスプロでParadigm 722を導入,食事スキップで基礎インスリンを設定し,糖質/インスリン比を各食前(11, 15, 13)g/Uとしたカーボカウントのもと,AITを3時間,インスリン効果値を60 mg/dl/Uと設定した.退院前1週間の食後2時間血糖補正の際,150 mg/dlを目標にインスリン効果値を用いた補正による自己算出インスリン量とポンプでの自動算出インスリン量とを比較した.食後高血糖に対する補正インスリンは,14回中7回で自己算出量よりも自動算出量が適切であった.Paradigm 722による食後補正インスリン自動算出法は,自己算出法と同等で,これを用いることで良好な血糖管理が簡便になった.
  • 井島 廣子, 中村 倫子, 松下 文美, 福永 まゆみ, 坂本 英美, 山本 紗世, 陣内 冨男, 梶原 敬三, 稗島 州雄, 末盛 晋一郎 ...
    2013 年 56 巻 4 号 p. 246-251
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/11
    ジャーナル フリー
    症例は65歳,男性.2002年多飲多尿を訴え,当院を初診.空腹時血糖(FPG)は169 mg/dlと糖尿病型であったが,HbA1c(HPLC法)は5.4 %(NGSP値)と基準範囲であった.以後,食事療法・運動療法にて経過観察していたが,2008年,FPG,グリコアルブミン(GA)の平均が高値であったのに対して,HbA1cは6.1±0.1 %と基準範囲で推移した.持続血糖モニターの平均血糖値は186 mg/dlで,この値より推測したHbA1cは8.4 %に比し,実測HbA1cは5.9 %であった.グロビン遺伝子解析で異常を認めず,HIV抗原・抗体は陰性.軽度の貧血および間接ビリルビンの軽度高値を認めるも,溶血性貧血を示唆する他の検査所見は認めなかった.しかし,本例の赤血球寿命は対照に比し著明に低値であった.本例のHbA1c低値の原因は赤血球寿命の低下と考えられたが,その原因は不明であった.
地方会記録
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