糖尿病
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56 巻 , 5 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
原著
診断・治療(食事・運動・薬物)
  • 岸 達生, 御前 智子, 高松 昭司, 松田 勉
    2013 年 56 巻 5 号 p. 277-284
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/06/07
    ジャーナル フリー
    シタグリプチンとSU薬の併用により重篤な低血糖が発現したことから,2010年4月に「インクレチンとSU薬の適正使用に関する委員会」より,SU薬の推奨用量が勧告され,また,シタグリプチンの添付文書も,併用するSU薬の減量を検討する旨改訂された.今回,我々は,これらの措置前後でのシタグリプチンとSU薬併用による重篤な低血糖症例及びSU薬の一日投与量の変化を,独立行政法人医薬品医療機器総合機構に報告された副作用症例及び診療報酬明細書データを利用し調査した.その結果,低血糖症例数は,措置前(5ヵ月間)の70例から措置後(20ヵ月間)の47例と減少していた.また,副作用症例において,グリメピリドの一日投与量が推奨用量(2 mg以下)の症例の割合は,低血糖症例では措置前後で大きな差は無かったが,低血糖以外の症例では措置後に増加していた.診療報酬明細書データの解析結果では,シタグリプチンとグリメピリドが併用して処方されていた症例のうち,グリメピリドの一日投与量が推奨用量の症例の割合は,措置前は52.2 %であったが,措置後は68.2 %(P=0.0015),81.1 %(p<0.0001)と経時的に増加した.以上より,シタグリプチンとグリメピリドの併用で発現した重篤な低血糖は,グリメピリドの減量によって減少したと推定した.
  • 岩瀬 正典, 北田 秀久, 岡部 安博, 杉谷 篤, 田中 雅夫
    2013 年 56 巻 5 号 p. 285-291
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/06/07
    ジャーナル フリー
    本邦での脳死下膵臓移植は2000年より開始されたが,その長期予後は十分には明らかにされていない.我々は九州大学を膵臓移植実施施設として希望した1型糖尿病65人の予後,合併症,Quality of life(QOL)について検討した.移植患者25人に死亡例はなかったが(追跡期間中央値8.0年),移植待機患者40人の5年生存率は85 %で(p=0.0004),待機中に亡くなった10人のうち半数が突然死であった.移植5年後のインスリン離脱率73 %,膵腎同時移植23人の透析離脱率92 %で,大血管障害の発症率は移植患者に少ない傾向を認めた(p=0.091).癌と骨折は待機患者と差を認めなかったが,入院を要する感染症は移植患者で有意に多かった(5年後53 % p=0.0008).グラフト機能が維持されている移植患者のQOLは良好であったが,グラフト機能が不良になるとQOLは低下した.膵臓移植は1型糖尿病患者の生命予後を著明に改善していた.
症例報告
  • 阿武 孝敏, 柱本 満, 田邊 昭仁, 中嶋 久美子, 岡内 省三, 亀井 信二, 松木 道裕, 宗 友厚, 加来 浩平
    2013 年 56 巻 5 号 p. 292-297
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/06/07
    ジャーナル フリー
    2009年に上市されたDipeptidyl peptidase-4(DPP-4)阻害薬は,2型糖尿病薬物療法の選択肢の一つとして,その使用が急速に拡大している.一方,DPP-4はリンパ球やマクロファージ上に発現しているCD26と同一分子であるため,DPP-4阻害薬が免疫系に影響する可能性が以前より指摘されていた.今回我々はシタグリプチン投与が原因と疑われる薬剤熱の症例を経験した.発熱と同期して初期の炎症マーカー(IL-1β,IL-6,TNF-α)とCRPの上昇を認め,シタグリプチン投与が,マクロファージを介して初期の炎症性サイトカイン産生を亢進させ,薬剤熱を発症した可能性が示唆された.
  • 高井 智子, 武部 礼子, 小縣 正明, 勝山 栄治, 中村 武寛
    2013 年 56 巻 5 号 p. 298-304
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/06/07
    ジャーナル フリー
    症例は59歳男性.意識障害とショック状態で搬送された.約2週間前に関節リウマチの診断でprednisolone内服が開始されていた.高血糖(1,815 mg/dl),代謝性アシドーシスが見られ糖尿病ケトアシドーシス(diabetic ketoacidosis:以下DKAと略す)と診断し同日入院,輸液,インスリン投与を行い意識障害は改善した.しかし,敗血症性ショックを合併しカテコールアミンを投与した.軽度の腹痛を伴い,CTで上行結腸の浮腫性壁肥厚を認めたが,原因は明らかではなかった.集中治療により改善傾向となっていたが,第11病日夜に強い腹痛が出現,CTで腸管穿孔による腹膜炎と診断し緊急手術を行った.回腸から盲腸に非連続的な壊死を認め,回腸穿孔による限局性腹膜炎を呈していた.病理組織では,粘膜の変性壊死が見られたが,動脈に粥状硬化や血栓はみられず,DKAに伴発した非閉塞性腸管虚血症が緩徐に進行し遅発穿孔したと考えられた.輸液により循環不全が改善できたことや適切な時期に手術を行うことにより,重篤な状態であったが救命できたと考えられた.
  • 川原 順子, 篠崎 洋, 高田 裕之, 原 怜史, 川根 隆志, 竹端 恵子, 捶井 達也, 平岩 善雄
    2013 年 56 巻 5 号 p. 305-313
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/06/07
    ジャーナル フリー
    症例は28歳の男性,20歳時に2型糖尿病と診断されピオグリタゾンとメトホルミンにて治療中であった.平成23年初夏よりソフトドリンクを多飲し血糖コントロールが悪化していた.同年8月に意識障害で搬送され,随時血糖1620 mg/dl, HbA1c 15.0 %(NGSP値),pH 7.295,総ケトン体の上昇,血清アミラーゼ548 IU/l,腹部CTで膵の腫大と周囲組織と前腎傍腔への炎症波及を認め,糖尿病性ケトアシドーシス(以下DKA)と急性膵炎と診断した.胆石を認めず,飲酒歴はなく,高脂血症を認めず,DKAによる急性膵炎と考えられた.入院後呼吸状態が悪化し,重症急性膵炎と診断した.持続的血液濾過透析(CHDF)を含む集学的治療で治癒した.ソフトドリンクに含まれる果糖(フルクトース)は,脂質・尿酸の合成を促進し脂肪組織の慢性炎症を惹起することで,急性膵炎の重症化因子として作用した可能性がある.
  • 橋場 裕一, 石川 眞実, 大谷 敏嘉
    2013 年 56 巻 5 号 p. 314-318
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/06/07
    ジャーナル フリー
    症例は36歳,女性.2006年(33歳)頃から顔貌の変化を自覚した.2008年12月(35歳)頃から口渇感が出現するも放置した.2009年1月(36歳)に37.3度の発熱,嘔吐及び心窩部痛が出現した.翌日に当院を受診した際に,血糖値645 mg/dl,アニオンギャップ(31.2 mEq/l)の増大を伴う代謝性アシドーシス(pH 7.144,HCO3- 3.8 mmol/l,PCO2 11.4 mmHg),尿ケトン体3+を認め,糖尿病ケトアシドーシスと診断した.先端巨大症様顔貌であり,頭部CTにてトルコ鞍内に最大径4 cmの高吸収域を示す境界明瞭な腫瘍像を認め,GH 260 ng/ml及びIGF-1 1047 ng/mlと高値であることから先端巨大症と診断した.第6病日に突然の視力障害及び頭痛が生じ,下垂体卒中の診断で緊急手術を実施した.糖尿病ケトアシドーシスで発症し先端巨大症と診断された症例の報告は少なく,さらに下垂体卒中を併発した非常に稀な症例であった.
地方会記録
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