糖尿病
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57 巻 , 3 号
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原著
診断・治療(食事・運動・薬物)
  • 南部 拓央, 村上 隆亮, 松田 優樹, 松尾 浩司, 米光 新, 武呂 誠司, 隠岐 尚吾
    2014 年 57 巻 3 号 p. 153-161
    発行日: 2014/03/30
    公開日: 2014/04/08
    ジャーナル フリー
    Glucagon-like peptide-1受容体作動薬「リラグルチド」で加療した100名の2型糖尿病患者を対象として,長期効果及び使用に適した患者像を検討した.1年間でHbA1c値は8.4±0.2 %から7.4±0.1 %,体重は71.8±1.8 kgから68.1±1.7 kgと改善した.観察期間終了時のHbA1c値が7 %未満の患者(Group A)は,7 %以上の患者(Group B)に比べて治療開始時のHbA1c値,糖尿病性腎症合併率,前治療でのインスリン抵抗性改善薬使用率が高かった.またGroup Aは体重が減少し続けたがGroup Bは体重が一過性に増加した.以上よりリラグルチドによる血糖値及び体重改善効果は1年間持続するが,治療開始時のHbA1c値,細小血管症の合併状況,前治療薬,体重減少の経過により規定されている可能性が考えられた.
  • 伏見 宣俊, 森 昭裕, 武石 宗一, 蜂谷 紘基, 湯村 崇之, 大橋 憲嗣, 河合 洋美
    2014 年 57 巻 3 号 p. 162-168
    発行日: 2014/03/30
    公開日: 2014/04/08
    ジャーナル フリー
    インクレチン関連薬による消化器症状を胃食道逆流症(gastroesophageal reflux disease,以下GERDと略す)の観点から注目し,その関連性をGLP-1受容体作動薬とDipeptidyl peptidase-4(以下DPP-4と略す)阻害剤とで比較検討した.対象はDPP-4阻害剤とGLP-1受容体作動薬を新規に開始した2型糖尿病患者で,FSSG(Frequency Scale for the Symptoms of GERD)問診票を用いてGERD様症状を有さないと確認された症例を連続前向きに検討した.主要評価項目はFSSG問診票によるGERD様症状発現率で行った.結果,GLP-1受容体作動薬はDPP-4阻害剤に比べGERD様症状発現が有意に増加を認めた.このことはインクレチン関連薬による消化器症状の理解の一助となり,インクレチン関連薬の選択や量の調整に有益と考える.
症例報告
  • 小川 愛由, 菅野 尚, 砥谷 真知, 土山 芳徳, 志摩 泰生, 葛籠 幸栄, 深田 順一
    2014 年 57 巻 3 号 p. 169-174
    発行日: 2014/03/30
    公開日: 2014/04/08
    ジャーナル フリー
    症例は67歳男性.2000年頃より動悸,全身倦怠感を認めた.上記の症状を主訴に2008年2月近医受診の際,血糖値36 mg/dl, IRI 15.6 μU/mlで,腹部CTにて膵臓に腫瘤が認められ,精査加療目的に当院紹介となった.腹部造影CT, MRI,超音波内視鏡にて膵尾部に嚢胞様腫瘤,その尾側にhypervascularな腫瘤が認められ,選択的カルシウム動注後肝静脈サンプリング(calcium arterial stimulation and venous sampling:ASVS)を施行した.脾動脈へのカルシウム負荷にてインスリン血中濃度の上昇を認めたため,膵嚢胞および膵尾部のインスリノーマの診断にて膵体尾部切除術を施行した.切除標本にてインスリン免疫染色陽性を呈する10個以上の結節性病変が認められ,結節の一部は嚢胞状であった.多発する嚢胞状インスリノーマは非常に稀であり報告する.
  • 工藤 宏仁, 小山 昌平, 加藤 俊祐, 後藤 尚
    2014 年 57 巻 3 号 p. 175-180
    発行日: 2014/03/30
    公開日: 2014/04/08
    ジャーナル フリー
    68歳男性,病歴27年の2型糖尿病患者.2007年,67歳時にSU薬から切り替え,二相性インスリンアスパルトでの治療を開始した.当初コントロール良好だったが,インスリン治療開始から8ヵ月後,急にHbA1c 6 %台から8 %台へ悪化,連日の早朝低血糖と日中の著しい高血糖を認めた.IRI 4830 μU/ml,インスリン抗体結合率92.8 %と高値で,インスリン抗体による血糖変動と診断.インスリン製剤の変更,ステロイドパルス療法を施行,さらにステロイド投与を継続したが,長期的なインスリン抗体結合率,血糖変動の改善は得られず.2011年12月インスリン投与中止,リラグルチドを投与した結果,血糖変動は安定,4ヵ月後の検査でインスリン抗体結合率24.9 %, IRI 44.9 μU/mlと低下を認めた.リラグルチドの投与を継続し,2013年7月測定のインスリン抗体結合率は6.2 %とさらに低下が確認された.
  • 荒木 里香, 町野 由佳, 中嶋 寛, 谷川 高士, 中谷 中, 伊藤 正明, 矢野 裕, 住田 安弘
    2014 年 57 巻 3 号 p. 181-187
    発行日: 2014/03/30
    公開日: 2014/04/08
    ジャーナル フリー
    症例は37歳の肥満男性で,25歳時に糖尿病・高血圧,31歳時に心不全・腎不全,36歳時に末梢動脈疾患を発症した.家族歴では,兄に高血圧と肥満,(母方)叔母に糖尿病と肥満,(母方祖母方)大叔母に糖尿病がある.37歳時に,糖尿病及び肥満の精査加療目的で当科へ入院した.血清Cペプチド0.21 ng/mlと内因性インスリン分泌は低下し,糖尿病慢性合併症の進行と動脈硬化性疾患を認めた.心臓超音波検査では全周性左室肥大と左房・左室拡張,心筋細胞の電子顕微鏡像ではミトコンドリア形態異常が認められた.末梢白血球のミトコンドリア遺伝子検索では,NADH dehydrogenase subunit 1遺伝子領域にT3308Cホモプラスミー変異が検出された.本例は,我が国で初めてミトコンドリア遺伝子T3308C変異が認められ,糖尿病や高血圧,心疾患の病態への関与が推測される貴重な症例と考えられた.
  • 山口 普史, 飯間 努, 白神 敦久, 田蒔 基行, 関本 悦子, 柴田 泰伸, 奥村 宇信, 尾崎 修治, 重清 俊雄
    2014 年 57 巻 3 号 p. 188-196
    発行日: 2014/03/30
    公開日: 2014/04/08
    ジャーナル フリー
    症例は69歳,男性.アルコール依存症で近医に入院中であった.5ヵ月前にメトホルミン500 mg/日,グリベンクラミド2.5 mg/日が開始され,5日前より嘔気,食欲不振が出現し,発熱,意識障害で搬送された.来院時ショック状態を呈し,アニオンギャップ開大の代謝性アシドーシスを認めた.心エコーで右心系の拡大を認め,造影CTを施行したが肺動脈主幹部には血栓像は認めなかった.乳酸値の上昇を認め,脚気心を疑いビタミンB1の補充を開始.後日ビタミンB1値が正常下限と判明した.抗IA-2抗体が0.7 U/mlと低力価陽性を認めたが,抗GAD抗体が陰性であり2型糖尿病と診断した.本例の乳酸アシドーシスは,メトホルミンの副作用,ビタミンB1欠乏,心原性ショックが複合的に関与したものと考えられ,メトホルミンの副作用としての消化器症状が契機となっており,メトホルミンの副作用の出現が懸念されるときは直ちに休薬する必要がある.
  • 浅見 美穂, 橋場 裕一, 大谷 敏嘉
    2014 年 57 巻 3 号 p. 197-203
    発行日: 2014/03/30
    公開日: 2014/04/08
    ジャーナル フリー
    39歳,女性.過去10年間1日3 lから4.5 lのコーラを多飲し,口渇,嘔吐,四肢脱力を主訴に緊急入院した.血糖値638 mg/dl, HbA1c 14.3 %,尿ケトン体陽性であり糖尿病ケトーシスと診断した.動脈血ガスpHは7.42と正常域だった.アニオンギャップ16であり,代謝性アシドーシスを認め,同時にHCO3 30 mmol/lと代謝性アルカローシスが混在していた.また著明な低カリウム(以下K)血症(1.9 mEq/l)を合併していた.低K血症の原因として,高血圧は認めず,各種ホルモン検査で内分泌疾患を否定した.コーラに含まれるカフェインによる低K血症を疑い,カフェイン負荷試験を施行した.血中Kの低下(4.0→2.4 mEq/l)及び尿中Kの軽度低下を認めたため,Kの細胞内シフトが原因と考えた.ソフトドリンクケトーシスに著明な低K血症を合併した糖尿病患者にはカフェインを含有する飲料の多量摂取を念頭に置く必要がある.
地方会記録
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