糖尿病
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57 巻, 6 号
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レビュー
  • 小林 哲郎, 難波 光義, 黒田 暁生, 松久 宗英, 山田 研太郎, 今村 洋一, 金重 勝博, 浜口 朋也, 川村 智行, 佐藤 譲, ...
    2014 年 57 巻 6 号 p. 403-415
    発行日: 2014/06/30
    公開日: 2014/07/02
    ジャーナル フリー
    最近,持続インスリン皮下注入療法(Continuous subcutaneous insulin infusion:以下CSII)と持続血糖モニタリング(Continuous glucose monitoring:以下CGM)が糖尿病の治療機器として普及しつつある.我々はCSIIおよびCGMに関する科学的根拠をもとに,これをコンセンサスステートメントとしてまとめた.CSIIでは適応,臨床効果,リスク管理など,さらに,運用法の実際的な要点,シックデイ,妊娠,食事・運動などに関する注意などについて述べた.CGMに関してもその適応と効果,糖尿病治療への活用法,注意点を述べた.CSIIおよびCGMは1型糖尿病,2型糖尿病の一部や妊娠中の糖尿病症例にも重要な臨床機器であり,このステートメントをもとに内科および小児科領域の患者教育に適応できる具体的なガイドラインの作成が望まれる.
原著
疫学
  • 傍島 裕司, 柴田 大河, 藤谷 淳, 和田 育穂, 西濃圏域糖尿病対策ネットワーク
    2014 年 57 巻 6 号 p. 416-424
    発行日: 2014/06/30
    公開日: 2014/07/02
    ジャーナル フリー
    国民保険の特定健診でHbA1c5.9~6.8 %の者に75gOGTTを勧奨し,保健と医療の両面から介入するシステムを構築した.2010年度は5640名に勧奨し901名の結果が得られた.特定健診判定陽性(腹囲またはBMIが判定基準を満たす)者は39.3 %.正常型309名,正常境界型(正常型で負荷60分値が180 mg/dl以上)91名,境界型343名,糖尿病型158名であった.病型にはHbA1cと特定健診判定が強く寄与した.664名が翌年度の特定健診を受診し,52 %で医療または保健の介入を受けていた.HbA1c(6.11±0.22→6.04±0.29 %),BMI(23.3±3.2→23.0±3.5)は有意に低下し,医療での栄養指導と保健での個別指導はHbA1cまたはBMIの改善に有効であった.特定健診でハイリスク群に75gOGTTを施行し医療・保健の介入をすることは早期糖尿病対策として有用である.
社会医学・医療経済学
  • 田中 麻理, 伊藤 裕之, 阿部 眞理子, 安徳 進一, 三船 瑞夫, 目黒 健太郎, 慶田 毅彦, 新海 泰久, 縄田 浩子, 当金 美智 ...
    2014 年 57 巻 6 号 p. 425-430
    発行日: 2014/06/30
    公開日: 2014/07/02
    ジャーナル フリー
    2010年度に江戸川病院へ入院した7130例のうち,糖尿病が診断群分類包括評価の診断群分類(DPC)病名に含まれ,脳血管障害(56例),虚血性心疾患(91例),末梢動脈疾患(28例)をDPC主病名した患者と,糖尿病が含まれず,これらの3疾患をDPC主病名とした患者(それぞれ129例,557例,57例)を対象とし,入院期間と入院医療費につき検討した.糖尿病における入院期間は,脳血管障害,虚血性心疾患,末梢動脈疾患でそれぞれ40日,9日,19日で,入院医療費はそれぞれ約180万円,200万円,170万円であった.これらはいずれも,非糖尿病患者における入院期間(27日,5日,9日)と入院医療費(約140万円,160万円,150万円)より長期で高額であった.糖尿病患者においては,ADLや生命予後への影響のみならず,医療経済の観点からも大血管症の発症予防を目的とした介入が重要である.
症例報告
  • 藤井 渉, 牧田 実, 小簗川 直秀, 高野 善成, 北尾 直之, 宮 愛香, 近 祐次郎, 宮下 恵一, 堤 明人, 黒田 義彦
    2014 年 57 巻 6 号 p. 431-437
    発行日: 2014/06/30
    公開日: 2014/07/02
    ジャーナル フリー
    症例は55歳女性.35歳時に洞不全症候群と診断されペースメーカーを装着,44歳で2型糖尿病と診断された.食事療法と経口剤で治療されていたが,徐々にコントロールが悪化した.2012年2月に腹痛,嘔吐が出現して当院を受診,腹部X線にてイレウスと診断した.CTにて,多脾症,肝部下大静脈欠損,両側二葉の対称肺,膵体尾部形成不全と判明し,膵体積は健常人の約50 %と算出された.インスリン分泌は高度に低下しており,膵体尾部形成不全が糖尿病の原因であったことが判明した.強化インスリン療法の導入でコントロールは良好となった.多脾症は非常に稀な疾患で,先天性心疾患や内臓奇形を合併し,重篤な心疾患のない5-10 %のみが成人できるとされる.本症例は糖尿病の診断後10年を経て,多脾症に伴う膵体尾部形成不全が発見された症例である.糖尿病患者の診療にあたっては,画像診断も含めた総合的な検索が必要であることを示唆する症例であった.
  • 大杉 友顕, 豊田 健太郎, 岡村 絵美, 濱崎 暁洋, 稲垣 暢也
    2014 年 57 巻 6 号 p. 438-445
    発行日: 2014/06/30
    公開日: 2014/07/02
    ジャーナル フリー
    症例は83歳男性.経口血糖降下薬で2型糖尿病を治療されていたが,血糖コントロール増悪のため2010年9月にインスリンアナログ注射を開始された.翌年4月より血糖日内変動が不安定となり,注射部位に掻痒感を伴う膨疹・硬結が出現した.ヒトインスリン特異的IgE陽性,インスリン皮内反応陽性でありインスリンに対する即時型アレルギーが考えられた.また低親和性・高結合能のインスリン抗体が検出された.CGMでは昼間の高血糖,夜間から早朝に血糖降下を認め,同抗体の関与が考えられた.内因性インスリン分泌能は残存していたためインスリンを中止し,アカルボース・シタグリプチンに変更したところ血糖不安定性は改善し,フェキソフェナジン投与によりアレルギー症状も消失した.インスリンアナログ製剤の使用中,ほぼ同時にインスリンアレルギーおよびインスリン抗体によると考えられる血糖不安定化をきたした症例と考えられた.
  • 柴崎 早枝子, 栗岡 聡一, 廣野 誠子, 寺前 純吾, 山上 裕機, 柳澤 昭夫, 坂根 貞樹, 花房 俊昭
    2014 年 57 巻 6 号 p. 446-452
    発行日: 2014/06/30
    公開日: 2014/07/02
    ジャーナル フリー
    62歳男性.2型糖尿病に膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)を合併し,膵頭十二指腸切除術(PD)が施行された.術前(Pre)と術後1, 3, 6カ月目(Post1, 3, 6)に75gOGTTとグルカゴン負荷試験を実施し,術前後のインスリン分泌能(I.I., D.I., ΔCPR, AUC(ins) /AUC(glu)),インスリン抵抗性(HOMA-IR, Matsuda index),血糖コントロール(HbA1c)を評価した.結果,術前に比べ,インスリン分泌能はPost1で約半減し,Post6まで経時的に減少した.インスリン抵抗性はPost3で一時的に悪化したが,Post6の時点では改善を認めた.HbA1cはPost1, 3, 6いずれの時点においても悪化した.IPMN合併2型糖尿病患者にPDを実施する場合,術後のインスリン分泌能の低下とそれに伴う糖代謝の悪化を想定した対応が必要であると考えられた.
地方会記録
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