糖尿病
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58 巻 , 12 号
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原著
疫学
  • 鈴木 和枝, 藤田 弘美, 橋場 直彦, 本吉 光隆, 池田 義雄
    2015 年 58 巻 12 号 p. 861-867
    発行日: 2015/12/30
    公開日: 2015/12/30
    ジャーナル フリー
    わが国における糖尿病診療の実態を把握するべく,1972年から10年間隔で合計5回実施したアンケート調査成績を比較した.調査は,過去4回に準じ,糖尿病に関心が高い全国2030の医療機関を抽出し,回答を得た887施設を対象に実施した.糖尿病の診断に関しては,30年前も今回も75 g-OGTTの判定基準は日本糖尿病学会の診断基準によるところが大半を占めた.診療報酬の改更により血糖自己測定導入率が増加し,持続皮下インスリン注入療法も4割弱の導入があった.過去40年間,糖尿病専門外来と糖尿病教室の実施率は高く推移してきたが,今回も開業医では大学・一般病院よりもその実施率は低く,専門スタッフも十分確保できているとは言えないために教育活動が難しく,その解決策として医療連携導入が前回は高率であったが,代わって今回は日本糖尿病協会活動への参画によって,教育活動の充実を図ろうとする動向が示唆された.
診断・治療(食事・運動・薬物)
  • 三橋 達郎, 高見澤 哲也, 山形 聡, 木村 麻衣子, 田澤 康明, 大橋 正明, 小川 吉司
    2015 年 58 巻 12 号 p. 868-873
    発行日: 2015/12/30
    公開日: 2015/12/30
    ジャーナル フリー
    78歳女性,糖尿病歴なし.近医でアロプリノール処方1ヶ月後に全身倦怠感,食欲低下,両大腿に皮疹が出現し精査目的で入院した.入院後に発熱しメロペネムを使用したが,2日後に左前腕に紅斑様の皮疹が出現し薬疹を疑い全ての薬剤を中止した.DIHSを疑いステロイドパルス療法後プレドニゾロン40 mg内服を継続した.HHV-6 IgG 5120倍(3週間前20倍)と上昇ありDIHSと診断した.退院1ヶ月後に劇症1型糖尿病を発症し加療後,ウイルス性脳炎後に多臓器不全を来たし永眠された.今回,アロプリノールによるDIHS寛解後劇症1型糖尿病を発症した1例を経験した.DIHS寛解後2, 3週後に発症する症例が多く報告されているが,本症例のようにDIHS発症から数ヶ月後の発症の例もあり,劇症1型糖尿病の診断が遅れる可能性があるため注意する必要がある.
  • 林 令子, 梶本 忠史, 澤村 眞美, 平尾 利恵子, 大屋 健, 桑原 遥, 岸本 有紀, 木村 佳代, 川上 圭子, 永吉 直美, 植村 ...
    2015 年 58 巻 12 号 p. 874-880
    発行日: 2015/12/30
    公開日: 2015/12/30
    ジャーナル フリー
    当院では2005年より糖尿病患者の罹病期間,生活歴,血液検査結果,合併症,治療法等を1枚に集約した糖尿病サマリーシートの開発を行ってきた.1)基礎データ表の作成,2)電子カルテへのテンプレート機能を用いた入力,3)コメディカルとの作業分担,4)糖尿病連携手帳1形式出力の4つのステップを経て実用運用可能となった.医師事務補助作業者を含むコメディカルとの作業分担や自動入力プログラムを用いることで糖尿病サマリーシート入力の高速化が実現し,外来診察時に約1分で記入することが可能となった.外来診察時間は短縮し,より多くの患者の評価が可能となると同時に糖尿病診療の地域連携の発展に貢献するものと思われる.
  • 戸崎 貴博, 神谷 英紀, 加藤 義郎, 近藤 正樹, 豊田 かおり, 西田 知世, 城間 恵, 坪中 かおり, 浅井 ひとみ, 森部 美保 ...
    2015 年 58 巻 12 号 p. 881-887
    発行日: 2015/12/30
    公開日: 2015/12/30
    ジャーナル フリー
    2型糖尿病外来患者89例に単独もしくは他の糖尿病薬に追加してSGLT2阻害薬イプラグリフロジンを3ヶ月間投与し,その有効性と有害事象の発現について検討した.HbA1c値は7.46±1.12 %より7.02±0.99 %(p<0.001)と有意に改善した.体重は76.4±14.4 kgより74.5±14.2 kg(p<0.001)に,内臓脂肪面積は100.4±39.5 cm2より93.2±33.7 cm2(p=0.011)に有意に減少した.ウエスト周囲長,血圧,血清ALT, γGTP,尿酸,およびeGFRも有意に減少した.有害事象は全身皮疹1件,膀胱炎1件,膣カンジダ症疑い1件,および重篤でない低血糖2件であった.イプラグリフロジンは肥満を合併した2型糖尿病の治療に有用と考えられるが,投与に際しては注意すべき点も多く,今後も注意深く経過観察することが重要である.
症例報告
  • 重岡 徹, 髙田 彩子, 村瀬 邦崇, 元永 綾子, 田邉 真紀人, 野見山 崇, 柳瀬 敏彦
    2015 年 58 巻 12 号 p. 888-894
    発行日: 2015/12/30
    公開日: 2015/12/30
    ジャーナル フリー
    症例は62歳男性.2002年に健診で高血糖を指摘されるも放置していた.2013年7月から口渇,多飲,多尿の症状が出現した.近医を受診し,空腹時血糖値150 mg/dl, HbA1c 7.5 %から糖尿病と診断された.経口血糖降下薬が開始されたが,症状改善を認めず尿崩症合併が疑われ当科紹介され精査入院した.高張食塩水負荷+ピトレシン負荷試験,下垂体MRI検査から中枢性尿崩症と診断し,DDAVP内服にて症状の改善を認めた.血清IgG4の上昇を認めており,IgG4関連下垂体炎の可能性が示唆された.糖代謝は尿崩症加療後,耐糖能障害まで改善を認めた.中枢性尿崩症と糖尿病の合併は稀であるが,多くの症例がDDAVP加療後に耐糖能異常の改善を認める.尿崩症に伴う脱水,高浸透圧血症,バソプレシン受容体のV1a, V1b受容体作用の低下,口渇からの清涼飲料水の多飲等の複数の要因が血糖上昇の原因と考えられる.
  • 谷川 幸洋, 原田 範雄, 後藤 久典, 村岡 敦, 小倉 雅仁, 八十田 明弘, 長嶋 一昭, 稲垣 暢也
    2015 年 58 巻 12 号 p. 895-901
    発行日: 2015/12/30
    公開日: 2015/12/30
    ジャーナル フリー
    症例は67歳男性.2010年に二相性インスリンを導入された.一時はHbA1c 7.0 %に低下したが,2013年7月ごろから8.0~9.0 %台に上昇した.深夜~早朝にかけての低血糖ならびに,インスリン抗体強陽性(結合率90 %)を認めたため,インスリンを中止した.朝の血糖低下は改善したが,日中の高血糖が持続したため,GLP-1受動態作動薬(リラグルチド)に加え,SGLT2阻害薬(イプラグリフロジン)を併用したところ,血糖値の日内変動は安定し,その後の外来でも低血糖なく,HbA1c 7.5 %前後を推移していた.血糖コントロールが不安定なインスリン抗体陽性例にGLP-1受動態作動薬を使用した報告は散見されるが,SGLT2阻害薬との併用は過去に報告がない.インスリン作用を介さない血糖降下作用をもつSGLT2阻害薬の併用は,このような症例に対し,血糖値の安定化に有効である可能性が示唆された.
  • 小田 桂子, 具嶋 敏文, 高橋 和弘, 小河 一彦
    2015 年 58 巻 12 号 p. 902-907
    発行日: 2015/12/30
    公開日: 2015/12/30
    ジャーナル フリー
    症例は71歳女性.2型糖尿病,高血圧症で当院に通院中であった.自宅で転倒し体動困難となったため当院に救急搬送され,39度台の発熱,高血糖を認め緊急入院となった.胸部CTでは肺野に粟粒結核を示唆する典型的な所見は認めなかった.CRP,肝胆道系酵素の上昇,腹部CTや腹部超音波検査で胆嚢壁の肥厚を認めたため胆道感染症と診断し,抗菌薬を投与した.約2週間の抗菌薬投与中,キノロン系抗菌薬の投与にてCRPは低下傾向にあったため投与を継続したが,発熱,肝胆道系酵素の上昇は持続した.原因検索のため肝生検,骨髄生検をおこなったところ乾酪壊死を伴わない類上皮肉芽腫,Langhans型巨細胞を認め,粟粒結核を疑った.入院22日目に急性肺損傷を生じた時点で粟粒結核として抗結核療法を開始したところ症状や採血データは速やかに改善した.
  • 大石 菜摘子
    2015 年 58 巻 12 号 p. 908-914
    発行日: 2015/12/30
    公開日: 2015/12/30
    ジャーナル フリー
    症例は64歳男性.44歳時に2型糖尿病と診断され経口血糖降下薬で加療されていたが血糖コントロール不良であった.2013年7月に持続性エキセナチド投与を開始したところ,計11回投与した翌日に膵外分泌酵素上昇を伴う腹痛,嘔気,嘔吐,下痢で入院となった.急性膵炎を疑うも腹部圧痛はなく,腹部CTでも急性膵炎の診断基準は満たさなかったが,それに準じた保存的加療で速やかに改善した.持続性エキセナチド投与は中止したものの,中止後4週時に再び腹痛,嘔吐が現れ受診.上腹部に圧痛を認め,膵外分泌酵素の上昇から急性膵炎と診断した.その後MRCPおよびERCPで膵・胆管合流異常(胆管非拡張型)と診断された.膵・胆管合流異常は急性膵炎を合併しやすいが,本症例ではその経過から持続性エキセナチド投与が急性膵炎の発症に関与した可能性があると考えた.
  • 島尻 佳典, 與那嶺 正人, 友寄 毅昭, 益崎 裕章, 三家 登喜夫, 原野 恵子, 和田 芳直, 古賀 正史
    2015 年 58 巻 12 号 p. 915-922
    発行日: 2015/12/30
    公開日: 2015/12/30
    ジャーナル フリー
    修飾ヘモグロビン(Hb)のためにHbA1cが偽高値を示した症例を経験したので報告する.症例は72歳男性.糖尿病精査を希望にて当院を受診.OGTTにて境界型,グリコアルブミンは16.4 %であったが,HbA1c(HPLC法)は8.1 %と高値を示し,そのクロマトグラムで異常ピークを認めた.一方,免疫法,酵素法で測定したHbA1cは各々2.8 %,4.0 %といずれも低値であった.高分離HPLC(KO500)法にて不安定HbA1c近傍およびHbAとHbA1cの間に2つの異常ピークを認めたが,グロビン遺伝子(α鎖およびβ鎖)に変異を認めなかった.高分離HPLCで認めた2つの異常ピークを質量分析にて解析した結果,両分画はともにβグロビンに88 Daの分子修飾を認めた.修飾分子の詳細は不明であるが,分子量から既知の修飾Hbは該当せず,新規の修飾Hbであった.HbA1cが偽高値を示す新たな原因の可能性がある.
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