症例は61歳,女性.2013年2月の健診では異常を指摘されなかった.同年8月急激に口渇,全身倦怠感が出現し,翌日近医で血糖529 mg/d
l,HbA1c 7.4 %,消化器系腫瘍マーカーの上昇を認め,2日後当院を紹介された.HbA1c 8.5 %,ケトアシドーシスを来しており,空腹時血清CPR 0.13 ng/m
l,尿CPR <3.4
μg/日,HLA DRB1*04:05-DQB1*04:01で劇症1型糖尿病(FT1DM)の診断基準を満たしたが,GAD抗体,IA-2抗体,ICA,IAAはすべて陽性であった.FT1DMは膵島関連抗体は原則陰性,稀に陽性でも1種類で重複陽性は極めて稀である.FT1DMは自己免疫の関与が証明されない特発性1型糖尿病(1B型)に分類されるが,本症例はFT1DMにおいても自己免疫機序が関与する可能性を示唆している.
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