糖尿病
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58 巻, 3 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
原著
診断・治療(食事・運動・薬物)
患者心理・行動科学
  • 尾辻 真由美, 郡山 暢之, 木ノ脇 真弓, 赤尾 綾子, 三反 陽子, 蓑部 町子, 藤崎 夏子, 小林 友里恵, 藤崎 佑貴子, 後藤 ...
    2015 年 58 巻 3 号 p. 174-182
    発行日: 2015/03/30
    公開日: 2015/04/06
    ジャーナル フリー
    患者の自己効力感レベルの評価とそれを高めるアプローチは重要である.今回我々は,運動療法に対する尺度(ESESD;Exercise Self-Efficacy Scale for Diabetes self-care)を開発した.当センター外来通院中の糖尿病患者283名を対象として実施したESESDの解析結果から,Cronback α係数は0.93,平均点数は32.6±0.44点で,高齢者で効力感が高い傾向が認められた.また,BMI及びHbA1cと有意な負の相関を示し(p=0.0010及びp=0.0270),SESD(Self-Efficacy Scale for Diabetes self-care)と有意な正の相関を示した(p=0.0005).ESESDは,糖尿病患者の運動自己効力感レベルの評価やチームでの介入方法,個別性を重視した療養指導に有意義な情報源となる可能性が推察された.
  • 肥後 直子, 兼子 照美, 長谷川 真智子, 光木 幸子, 岩瀬 広哉, 門野 真由子, 山崎 真裕, 福井 道明, 長谷川 剛二, 中村 ...
    2015 年 58 巻 3 号 p. 183-191
    発行日: 2015/03/30
    公開日: 2015/04/06
    ジャーナル フリー
    がん治療中・後の2型糖尿病患者が,血糖コントロールに対してどのような考え方を持つのかを明らかにする.本院通院中のがん治療中・後の50~60歳代の2型糖尿病患者34名とがんを持たない50~60歳代の2型糖尿病患者34名に対し,質問紙調査を実施した.質問紙は,糖尿病患者の食事管理に対する自己効力感尺度,コントロールの所在尺度,自作の質問紙とし,結果を解析した.1.食事管理に対する自己効力感に有意差はなかった.2.コントロール所在に有意差はなかった.3.「がんも糖尿病も治るから両方の治療に専念したいか」の回答は「全くそう思う」「ややそう思う」のポジティブな回答に偏り,「全くそう思う」群は「ややそう思う」群に比べ有意に自己効力感が高かった(p=0.0055).以上より,がん治療中・後の2型糖尿病患者は,がんを持たない患者と同等の自己効力感とコントロール所在を持ち,がんと糖尿病両方の治療に意欲を持つと示唆された.
社会医学・医療経済学
  • 源馬 理恵子, 北原 季代子, 河野 英理子, 井本 正樹, 池谷 章, 岩鬼 裕之, 柏原 裕美子, 森田 浩, 沖 隆
    2015 年 58 巻 3 号 p. 192-197
    発行日: 2015/03/30
    公開日: 2015/04/06
    ジャーナル フリー
    糖尿病の慢性合併症の早期発見のため,初診時に進行した網膜症を認める症例の臨床的背景を検討した.2008年4月から2012年3月に当科初診時に増殖前・増殖糖尿病網膜症を認めた107例(男性73例,女性34例)のうち65例は糖尿病が未治療だった.22例は放置例,20例は治療中断例,23例は糖尿病未診断例であった.放置・中断例は男性が多く,中断例で平均年齢が若かった.また,未診断例は女性が多かった.男性例の67.1 %,女性例の44.1 %に進行した慢性腎臓病(CKD)を認めた.男性は国民健康保険加入者,女性は社会保険の被扶養者が多い傾向を認めた.網膜症とCKDの両者の合併は心血管死のリスク上昇につながる.糖尿病の重症化阻止,生命予後の改善のためには年齢・性別・ライフステージ別の健診実施率上昇の取り組み,その後の受診継続への取り組みが必要と考える.
症例報告
  • 中嶋 祥子, 松永 眞章, 柴田 みゆき, 草田 典子, 中島 孝太郎, 稲垣 朱実, 安井 敬三, 吉岡 洋, 都築 豊徳, 野村 由夫
    2015 年 58 巻 3 号 p. 198-204
    発行日: 2015/03/30
    公開日: 2015/04/06
    ジャーナル フリー
    症例は30代女性.10歳時に時折複視が出現,14歳時に眼瞼下垂を自覚.15歳時に1型糖尿病を発症しインスリン導入.20歳時,複視の悪化から重症筋無力症と診断.20xx年8月(35歳)潜在性甲状腺機能亢進と判明.翌年2月バセドウ病が顕性化しチアマゾール投与を開始.血糖コントロールの悪化を認めてContinuous subcutaneous insulin infusion(以下CSIIと略す)を導入した.同時期,重症筋無力症の悪化に対して抗コリンエステラーゼ薬の投与を開始するが改善を得ず.7月に胸腺全摘術を施行,9月よりステロイド薬,タクロリムスの投与を開始.一時HbA1cは悪化したものの,CSIIの基礎注入量を調整することによりHbA1c 6.9 %未満を達成した.本症例は1型糖尿病に重症筋無力症,バセドウ病が合併した多腺性自己免疫症候群III型の稀な1例である.
  • 宮原 弥恵, 長野 千尋, 中西 修平, 古川 善也, 澤野 文夫
    2015 年 58 巻 3 号 p. 205-211
    発行日: 2015/03/30
    公開日: 2015/04/06
    ジャーナル フリー
    症例は61歳,女性.2013年2月の健診では異常を指摘されなかった.同年8月急激に口渇,全身倦怠感が出現し,翌日近医で血糖529 mg/dl,HbA1c 7.4 %,消化器系腫瘍マーカーの上昇を認め,2日後当院を紹介された.HbA1c 8.5 %,ケトアシドーシスを来しており,空腹時血清CPR 0.13 ng/ml,尿CPR <3.4 μg/日,HLA DRB1*04:05-DQB1*04:01で劇症1型糖尿病(FT1DM)の診断基準を満たしたが,GAD抗体,IA-2抗体,ICA,IAAはすべて陽性であった.FT1DMは膵島関連抗体は原則陰性,稀に陽性でも1種類で重複陽性は極めて稀である.FT1DMは自己免疫の関与が証明されない特発性1型糖尿病(1B型)に分類されるが,本症例はFT1DMにおいても自己免疫機序が関与する可能性を示唆している.
地方会記録
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