症例は83歳女性.食欲不振,歩行困難,傾眠傾向,両上肢を屈曲する不随意運動を認め当院救急搬送された.来院時Glasgow Come Scale E3 V5 M6,両上下肢麻痺なく,頭部CT・MRI異常なく,血糖950 mg/d
l, HbA1c 15.1 %,ケトアシドーシスを伴い当科入院した.補液・インスリン持続静注療法で対応し,血糖300 mg/d
l以下となり不随意運動は消失した.典型的な画像所見はないが症状より糖尿病性舞踏病と考えた.尿中Cペプチド12.4
μg/dayとインスリン依存状態で抗GAD抗体が高抗体価であり1型糖尿病の急性発症と考えられた.その後,不随意運動なく経過しインスリン強化療法で退院した.我々は,典型的な画像所見を伴わない糖尿病性舞踏病を呈した高齢発症1型糖尿病の症例を経験したので報告する.
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