86歳女性.64歳で糖尿病と診断され,グリメピリド2 mg,ピオグリタゾン30 mg,シタグリプチン100 mgの内服で,HbA1c 12.4 %,BMIは17.3 kg/m
2であった.入院4日前,血糖改善目的で前医よりグリメピリドとピオグリタゾンが中止され,ダパグリフロジン5 mgに変更された.繰り返す嘔吐,吐血のため当院に救急搬送された.来院時,血糖299 mg/dL,動脈血pH 7.093,HCO
3- 8.1 mmol/L,血中3-ヒドロキシ酪酸15420
μmol/Lで,糖尿病ケトアシドーシスと診断し,インスリン持続静注療法を開始した.尿中Cペプチドは2.2
μg/dayでインスリン分泌の著明な低下を認めた.入院当日,急性心筋梗塞を併発し,経皮的冠動脈形成術を行った.本症例の報告により,SGLT2阻害薬は病態を考慮し,適正に使用することが極めて重要であることを再度警鐘したい.
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