糖尿病
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59 巻 , 9 号
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特集
SGLT2阻害薬
原著
④病態・代謝異常・合併症
  • 上中 理香子, 川田 哲史, 中村 嶺, 山田 実季, 佐山 皓一, 宇野 彩, 伊藤 秀彦
    2016 年 59 巻 9 号 p. 645-651
    発行日: 2016/09/30
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー

    目的:ビグアナイド薬長期投与におけるビタミンB12(以下Vit B12)の低下とVit B12低下に対するメコバラミン補充療法の神経障害改善効果を調査する.方法:当院通院中の2型糖尿病患者で同薬5年以上投与群28名(登録時には全例メトホルミン(以下Met)を投与)と非投与群20名を対象に,横断研究として血中Vit B12・腱反射・振動覚を測定.Vit B12低下(≦298 pg/mL)を示す9例にはメコバラミン半年間補充前後の変化を前向きに評価した.結果:Met 1日平均投与量は950 mg(250~1500 mg).血中Vit B12濃度はMet 750 mg以下では対照と変わらないが1.5 gで有意に低値を示した.補充療法は,Vit B12低下9例中6例の振動覚や腱反射を改善させた.総括:Met 1日1.5 g以上の日本人2型糖尿病ではVit B12のスクリーニングが有用である.

⑤患者心理・行動科学
  • 林野 泰明, 石丸 吹雪, 門脇 孝, 石井 均
    2016 年 59 巻 9 号 p. 652-660
    発行日: 2016/09/30
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー

    DAWN2™調査で示された日本の糖尿病患者508名,家族120名および医療従事者283名の治療に関する状況,特に心理的・社会的側面を,17ヵ国の患者8,596名,家族2,057名および医療従事者4,785名のグローバルデータと比較した.その結果,治療内容や患者の心理的状態については国ごとに様々であったが,患者・家族が自覚する日常生活への負担や,低血糖への不安が大きいことが示された.また,実施された医療行為の有無に関して,患者―医療従事者間の認識の相違が存在した.日本の患者が認識する長期の血糖コントロール指標の測定は徹底されていたが,足の診察,食事内容,患者自身の生活や心理的な状況を把握する医療行為への認識は低かった.日本の医療従事者は種々の糖尿病ケアの教育プログラムを希望しており,特に心理面へのケア,行動変容や自己管理のサポートは,受講経験が少ないものの,今後の受講意欲が高かった.

症例報告
  • 山﨑 久隆, 長坂 昌一郎, 藤井 奈々, 永島 秀一, 大須賀 淳一, 石橋 俊
    2016 年 59 巻 9 号 p. 661-666
    発行日: 2016/09/30
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー

    症例は90歳男性.1年5か月前の空腹時血糖は121 mg/dLであったが,1年1ヶ月前に空腹時血糖169 mg/dL,HbA1c 7.2 %となり糖尿病と診断された.当初GAD抗体陰性で経口薬で血糖コントロールは改善し2型糖尿病と考えられたが,その後コントロールは悪化し入院した.入院時,HbA1c 11.0 %,空腹時血中CPR 0.6 ng/mL,尿中CPR 22.9 μg/日であり,インスリン分泌能低下の所見から,強化インスリン療法に変更した.IA-2抗体7.8 U/mLと陽性であり,また1型糖尿病の疾患感受性HLA遺伝子DRB1*04:05-DQB1*04:01を有しており,経過から緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)と考えられた.退院後にZnT8抗体陽性も判明した.超高齢でGAD抗体陰性かつIA-2抗体陽性でSPIDDMと考えられる症例は稀であり報告する.

委員会報告
  • 中村 二郎, 神谷 英紀, 羽田 勝計, 稲垣 暢也, 谷澤 幸生, 荒木 栄一, 植木 浩二郎, 中山 健夫
    2016 年 59 巻 9 号 p. 667-684
    発行日: 2016/09/30
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー

    アンケート調査方式で,全国241施設から45,708名が集計され,2001~2010年の10年間における日本人糖尿病患者の死因を分析した.45,708名中978名が剖検例であった.1)全症例45,708名中の死因第1位は悪性新生物の38.3 %であり,第2位は感染症の17.0 %,第3位は血管障害(慢性腎不全,虚血性心疾患,脳血管障害)の14.9 %で,糖尿病性昏睡は0.6 %であった.悪性新生物の中では肺癌が7.0 %と最も高率であり,血管障害の中では慢性腎不全が3.5 %に対して,虚血性心疾患と脳血管障害がそれぞれ4.8 %と6.6 %であった.虚血性心疾患のほとんどが心筋梗塞であり,虚血性心疾患以外の心疾患が8.7 %と高率で,ほとんどが心不全であった.脳血管障害の内訳では脳梗塞が脳出血の1.7倍であった.2)年代別死因としての血管障害全体の比率は,30歳代以降で年代による大きな差は認められなかった.糖尿病性腎症による慢性腎不全は,30歳代で,心筋梗塞は40歳代で,脳血管障害は30歳代で比率が増加し,それ以降の年代において同程度であった.50歳代までは脳出血,60歳代以降では脳梗塞の比率が高かった.悪性新生物の比率は,50歳代および60歳代でそれぞれ46.3 %および47.7 %と高率であり,50歳代以降で悪性新生物による死亡者全体の97.4 %を占めていた.感染症のなかでも肺炎による死亡比率は年代が上がるとともに高率となり,70歳代以降では20.0 %で,肺炎による死亡者全体の80.7 %は70歳代以降であった.糖尿病性昏睡による死亡は,10歳代および20歳代でそれぞれ14.6 %および10.4 %と高率であり,それらの年代では悪性新生物に次いで第2位であった.3)血糖コントロールの良否と死亡時年齢との関連をみると,血糖コントロール不良群では良好群に比し1.6歳短命であり,その差は悪性新生物に比し血管合併症とりわけ糖尿病性腎症による腎不全で大きかった.4)糖尿病罹病期間と血管障害死の関連では,糖尿病性腎症の73.4 %が10年以上の罹病期間を有していたのに対して,虚血性心疾患および脳血管障害では10年以上の罹病期間を有したのはそれぞれ62.7 %と50 %であった.5)治療内容と死因に関する全症例での検討では,食事療法単独18.8 %,経口血糖降下薬療法33.9 %,インスリン療法41.9 %とインスリン療法が最も多く,とりわけ糖尿病性腎症では53.7 %を占め,虚血性心疾患での38.9 %,脳血管障害での39 %に比べて高頻度であった.6)糖尿病患者の平均死亡時年齢は,男性71.4歳,女性75.1歳で,同時代の日本人一般の平均寿命に比して,それぞれ8.2歳,11.2歳短命であった.しかしながら,前回(1991~2000年)の調査成績と比べて,男性で3.4歳,女性で3.5歳の延命が認められ,日本人一般における平均寿命の伸び(男性2.0歳,女性1.7歳)より大きかった.

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