糖尿病
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60 巻 , 4 号
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原著
疫学
  • 岡田 定規, 赤井 靖宏, 中島 拓紀, 小泉 実幸, 中上 純子, 伊藤 大, 毛利 貴子, 増谷 剛, 山本 修平, 渡邉 顕一郎, 石 ...
    2017 年 60 巻 4 号 p. 279-287
    発行日: 2017/04/30
    公開日: 2017/04/30
    ジャーナル フリー

    奈良県では毎年新規に約200人の糖尿病患者が腎障害の進行により人工透析導入されている.本調査は奈良県における糖尿病患者の治療状況を明らかにし,糖尿病合併症(特に腎障害による人工透析導入)の予防対策に生かすことを目的として実施した.奈良県内の171医療機関において2013年8月1日から2014年7月31日の間に糖尿病で診療を受けた38,766例(平均年齢68歳,男性57 %)を解析した.平均HbA1cは6.7 %であったが,若年層においてHbA1c 8.0 %以上の割合が高値であった.推算糸球体濾過率の評価は92 %で実施されていたのに対し尿アルブミン定量の実施率は29 %と低く,尿アルブミン定量の実施には医療機関毎の診療特性が考えられた.糖尿病性腎症は35 %に認められ慢性腎臓病の合併は45 %において認められた.本調査を元に奈良県の糖尿病診療の質の向上,合併症の発症予防,進展抑制対策を講じていきたい.

症例報告
  • 金澤 康, 藤原 久美, 井手 華子, 山﨑 博之, 宇都宮 一典
    2017 年 60 巻 4 号 p. 288-294
    発行日: 2017/04/30
    公開日: 2017/04/30
    ジャーナル フリー

    症例は48歳男性.8年前指摘の糖尿病に対しインスリン加療されていたが,自己中断歴もあり,血糖コントロールは不良の状態であった.意識障害で家族に発見され救急搬送となった.血液検査結果から糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)と診断した.意識レベルはGlasgow Coma Scale E1V1M1,頭部CTでは著明な脳浮腫,頭部MRIではびまん性に脳低灌流の所見を得た.併発していた肺炎の治療とともに,グリセオール投与で浮腫の改善を図りながら,補液,インスリン投与による全身管理を行った.脳浮腫は改善をみとめたものの,最終的に高度遷延性意識障害の状態に至った.

    DKAを含めた高血糖緊急症において,治療前に脳浮腫を来した報告は極めて少なく,貴重な症例であると考え,考察とともに報告する.

  • 光井 絵理, 加藤 研, 安部倉 竹紗, 種田 灯子, 廣田 和之, 矢嶋 敬史郎, 渡邊 大, 上平 朝子, 白阪 琢磨, 瀧 秀樹
    2017 年 60 巻 4 号 p. 295-300
    発行日: 2017/04/30
    公開日: 2017/04/30
    ジャーナル フリー

    症例は38歳,男性.31歳時にHIV感染症と診断され,抗HIV薬(以下HAARTと略す)が開始.開始時,耐糖能異常は認めなかった.HAART開始78ヶ月後,全身倦怠感を認めた為,当院受診.受診時,随時血糖643 mg/dL,HbA1c 9.8 %,尿ケトン1+を認め,入院となった.GAD抗体陽性,血中ケトン体の上昇,インスリン分泌能低下を認めた為,1型糖尿病と診断.また,fT4高値,TSH低値,TRAb陽性でありバセドウ病も同時に診断した.HAARTと自己免疫疾患発症の関連性を検討する為,保存血清を用いてGAD抗体,TRAbの抗体価を調べた所,HAART開始後,免疫機能の回復に伴いGAD抗体,TRAbが陽性化している事が判明し,免疫再構築症候群に伴う1型糖尿病及びバセドウ病と考えられた.HAART中に急激な血糖の悪化を認めた場合,1型糖尿病発症の可能性を考慮する事が重要であると考えられた.

  • 眞鍋 健一, 新谷 哲司, 和泉 清拓, 吉田 沙希子, 塩見 亮人, 加藤 ひとみ, 藤堂 裕彦, 古川 慎哉
    2017 年 60 巻 4 号 p. 301-308
    発行日: 2017/04/30
    公開日: 2017/04/30
    ジャーナル フリー

    症例は60歳,男性.過去に糖尿病の指摘はなかった.2012年11月上旬頃から口渇を自覚し,夜間頻尿や多飲を主訴に当科外来を受診された.HbA1c 12.5 %,随時血糖396 mg/dL,CPR 3.00 ng/mL,GAD抗体<0.3 U/mLであり2型糖尿病と診断し,薬物治療後は空腹時血糖127 mg/dL,CPR 2.55 ng/mLとインスリン分泌能は改善した.細小血管合併症は認めなかったが,ABIで右0.54,左0.58であり下肢造影CTを施行したところ,腎動脈遠位から両側腸骨動脈は慢性完全閉塞しておりLeriche症候群と診断した.さらなる精査で右腎動脈の高度狭窄病変や冠動脈の有意な狭窄病変を認めた.Y型人工血管置換術を施行した結果,ABI右1.05,左1.07と改善が見られた.糖尿病患者では無症候であっても細小血管合併症だけではなく,大血管のスクリーニングも重要である.

  • 峠之内 壽恵, 久保 敬二
    2017 年 60 巻 4 号 p. 309-313
    発行日: 2017/04/30
    公開日: 2017/04/30
    ジャーナル フリー

    症例は43歳,女性.41歳時に微小変化型ネフローゼ症候群を発症し,当院でプレドニゾロン内服中であった.入院7日前より全身倦怠感,3日前より口渇,多尿が出現した.入院日に嘔吐が出現したため,当院を受診した.来院時,随時血糖値399 mg/dL,尿ケトン体陽性,静脈血ケトン体分画の上昇,動脈血ガス分析にて代謝性アシドーシスを認め糖尿病ケトアシドーシスと診断し入院した.入院後の検査にてHbA1c 6.9 %,尿中Cペプチド3.2 μg/日以下,空腹時血中Cペプチド0.08 ng/mLを認め,劇症1型糖尿病と診断した.1日28単位のインスリンで良好な血糖コントロールが得られた.劇症1型糖尿病と微小変化型ネフローゼ症候群の合併例は報告が稀であり,貴重な症例と考えられたため報告した.

  • 吉原 彩, 安田 睦子, 廣井 直樹, 南雲 彩子, 杉山 あや子, 毒島 保信, 松崎 英雄, 薬師寺 史厚
    2017 年 60 巻 4 号 p. 314-320
    発行日: 2017/04/30
    公開日: 2017/04/30
    ジャーナル フリー

    糖尿病患者は,感染症に罹患すると,急速に進行し重症化・難治化しやすい.糖尿病診療において,尿路感染や下肢壊疽,下気道感染の重症例にしばしば遭遇するが,忘れてはならない感染症として,顎口腔領域の感染がある.歯周病やその他の口腔内の炎症から,顎骨骨髄炎を発症し広範囲の膿瘍を形成し,重篤になる場合がある.今回我々は,無治療の糖尿病患者において歯科治療や下顎の外傷により,急速に顎顔面膿瘍を発症した3症例を経験した.3症例ともに,数日から2週間程度の短期間で急速に膿瘍まで進行したが,適切な血糖コントロールと抗菌薬の投与によって速やかに炎症は改善した.顎口腔領域感染の重症化には,高血糖が大きく影響する.口腔内の損傷や侵襲的な処置を行う際には,軽微な侵襲であっても適切な血糖コントロールを行い,慎重な経過観察によって重症化を予防することが重要であると考える.

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