糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
61 巻, 12 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
会長講演
受賞講演
特集
糖尿病最新医療の進化と展望
原著
社会医学・医療経済学
  • 杉藤 素子, 岡田 洋右, 鳥本 桂一, 遠田 和彦, 田中 良哉
    2018 年 61 巻 12 号 p. 822-826
    発行日: 2018/12/30
    公開日: 2018/12/30
    ジャーナル フリー

    インスリン注射針などの医療廃棄物(以下,注射針等)の不適切廃棄は社会問題となっている.東海道新幹線においても車内清掃時に注射針等を発見するケースが散見され,清掃員の針刺し事故も発生している.今回,清掃会社A事業所に協力を依頼し実態調査を行った.注射針等の発見は,平成(Hと略す)25年度97件,H26年度153件,H27年度170件,針刺し事故はH25年度1件,H26年度0件,H27年度1件であった.H27年度は発見場所も調査したが,トイレ51 %,床面32 %,座席周辺8 %,洗面所7 %で,すべてむき出しであった.2日に1件の頻度で注射針等が発見されている一方,A事業所の針刺し事故の発生は他の報告より少ない頻度であった.教育や注射針回収の対策を講じた効果であると考える.しかし,不適切廃棄が続く限り,完全に清掃員の針刺し事故を防止することは難しい.本報告が療養指導に活用されれば幸いである.

症例報告
  • 永嶌 智子, 比嘉 眞理子, 上田 絢美, 山下 馨, 一城 貴政, 弘世 貴久
    2018 年 61 巻 12 号 p. 827-832
    発行日: 2018/12/30
    公開日: 2018/12/30
    ジャーナル フリー

    41歳,女性.X年5月に腰痛,発熱が出現し解熱鎮痛剤を内服したが改善せず当院受診.来院時,CRP 22.99 mg/dL,WBC 17630/μL,血糖249 mg/dL,HbA1c 10.6 %,尿検査で細菌尿を検出,妊娠反応陽性だった.腹部超音波検査にて右腎盂に結石と腎盂腎杯の拡張を認め腎後性腎盂腎炎,2型糖尿病と診断し抗菌薬点滴と補液,持続静脈インスリン注入を開始し尿路閉塞に対し経尿道的尿管ステントを留置した.入院時の血液培養と腎盂尿培養からLactobacillus属が検出された.第5病日に炎症反応の改善を認め,第22病日に退院した.非病原菌であるLactobacillusは膣内の常在菌であり感染症の起因菌となることは稀である.本症例では高血糖による免疫能低下や妊娠による細菌叢の変化がLactobacillus属による腎盂腎炎を惹起した可能性が示唆された.

  • 新生 忠司, 岡田 洋右, 鳥本 桂一, 大塚 隆史, 田中 良哉
    2018 年 61 巻 12 号 p. 833-839
    発行日: 2018/12/30
    公開日: 2018/12/30
    ジャーナル フリー

    症例は23歳,女性.X年に体重29 kg(BMI 11.3 kg/m2)で神経性食思不振症(AN)と診断された.X+1年体重50 kg(BMI 20.3 kg/m2),FPG 54 mg/dLで当科入院した.早朝空腹時に低血糖が頻発し絶食試験を施行された.絶食24時間後にPG 38 mg/dLと無自覚性低血糖を認めたが,IRIは抑制され,低血糖に対するACTH・Cortisol上昇は認めなかった.CRH負荷試験ではACTH・Cortisolは正反応を示し,低血糖に対する視床下部の反応性低下に伴う低血糖症の可能性があると診断した.治療として,ヒドロコルチゾン15 mgの内服を開始し,その後漸減中止したが,その後一度も低血糖を認めていない.本症例は体重増加後も無自覚性低血糖が遷延するが,その機序として慢性低血糖に伴う視床下部性の反応低下が関与していた可能性が考えられた.

委員会報告
  • 徳永 あゆみ, 今川 彰久, 西尾 博, 早田 敏, 下村 伊一郎, 阿比留 教生, 粟田 卓也, 池上 博司, 内潟 安子, 及川 洋一, ...
    2018 年 61 巻 12 号 p. 840-849
    発行日: 2018/12/30
    公開日: 2018/12/30
    ジャーナル フリー

    劇症1型糖尿病は急激な発症と重症代謝異常が特徴である.本委員会では膵臓MRIのうち水分子の拡散制限を反映する拡散強調画像に注目し,劇症1型糖尿病発症早期における診断への有用性を検討した.画像データが存在する劇症1型糖尿病症例14例について,拡散の定量化指標であるADC(Apparent Diffusion Coefficient)値を算出し,非糖尿病対照例21例と比較した.劇症1型糖尿病症例では膵臓の全領域でADC値が有意に低下し,膵全体にわたる単核球浸潤による細胞密度上昇が示唆された.ADC値の最良のカットオフ値を用いると,診断感度86 %,特異度71 %であり,非典型例2例の診断にも有用であった.また,劇症1型糖尿病症例におけるADC値は血糖値および動脈血pHと有意に相関し,発症後経過とともに上昇傾向であった.以上より,膵臓MRI拡散強調画像は劇症1型糖尿病の効率的な診断の一助となることが示唆された.

feedback
Top