糖尿病
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65 巻, 5 号
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症例報告
  • 坂本 和香奈, 櫨川 岩穂, 和田 邦泰, 浦田 譲治
    2022 年 65 巻 5 号 p. 215-222
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/05/30
    ジャーナル フリー

    症例は79歳女性,独居.うつ病疑いと糖尿病を近医で内服治療中.2日前に無事が確認されていたが,自宅で倒れているところを搬送された.来院時血糖690 mg/dL,血清ナトリウム(Na)180 mEq/L,血漿浸透圧449 mOsm/L,尿ケトン体±,等から高血糖高浸透圧症候群(HHS)と診断した.血清Na,血漿浸透圧はおよそ1週間で正常化したが,その後も外部への反応性の低下が続いた.第8病日の頭部MRIにて両側中小脳脚と脳梁膨大部にT2強調,拡散強調画像で高信号,T1強調画像で低信号の病変を認め,浸透圧性脱髄症候群(ODS)を疑った.MRI上の病変は15病日に改善,26病日には消失しており,脱髄ではなく浮腫と最終的に診断した.意識障害は精神科医にて解離性亜混迷疑いと診断された.HHSを背景に中小脳脚に生じた脳浮腫の報告は我々の検索では認められず,病変が早期に消失した点も特徴的である.

  • 三上 有希, 澤井 麻記, 山野 言, 前田 万里紗, 長嶋 一昭, 岩見 州一郎, 小林 由佳
    2022 年 65 巻 5 号 p. 223-229
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/05/30
    ジャーナル フリー

    糖代謝異常合併妊娠は周産期の母体・胎児リスクであり,安全な分娩のため当院では糖尿病専門医・産婦人科医・薬剤師・管理栄養士・看護師が連携して血糖管理を行っている.本症例はチームで血糖管理し問題点を共有することで,早期に入院管理に移行し血糖値を改善できた症例である.第1子時妊娠糖尿病:血糖管理困難のため短期間入院を提案.食事管理とインスリン量調節により必要なインスリン量まで1週間で到達できた.第2子時糖尿病合併妊娠:不規則な食生活やインスリン量増加に伴う母体体重増加を認め短期間入院を提案.10日間入院中,主に食事管理・栄養指導を行い,インスリン量を増加することなく血糖値を良好に管理でき,母体体重増加は停滞した.入院前後を比較し,第1子時・第2子時共に食前血糖値・2時間値・M100値は有意に改善し,糖尿病教育入院が妊娠時血糖値管理に良好な影響を及ぼした可能性が示唆された.

  • 伊東 日向菜, 森 豊, 澤野 祥子, 湊 聡一郎, 原 興一郎, 西村 理明
    2022 年 65 巻 5 号 p. 230-236
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/05/30
    ジャーナル フリー

    症例は59歳女性,41歳時von Hippel-Lindau(vHL)病と診断され,頚髄・胸髄腫瘍,腎細胞癌に対し外科的切除.45歳時糖尿病と診断,経口血糖降下薬による治療が開始.HbA1c値は7-8 %で推移するも,59歳時にHbA1cが8.8 %まで上昇し血糖コントロール目的で入院となった.MRCP,造影CTで膵臓に無数の嚢胞性病変を認め膵実質は萎縮していた.膵消化酵素は低下,PFD試験の尿中PABA排泄率は33.7 %で,顕著な膵外分泌機能低下を認めた.空腹時CPR 0.27 ng/mL,尿CPR排泄量19.0 μg/日で内因性インスリン分泌は低下しており,食事負荷試験でも食後のインスリン分泌はほぼ欠如し,食後のグルカゴン分泌上昇も認めなかった.本症例は,無数の膵嚢胞により膵外分泌機能障害と共に食後のインスリン・グルカゴン分泌が低下したvHL病に合併した膵性糖尿病と考えられた.

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