糖尿病の治療目標のひとつは寿命の確保であり,その治療戦略をたてるためには死因の調査が極めて重要である.社会の変化,治療法の進歩等の影響を受けて1型糖尿病患者の治療環境は刻々と変化していることを鑑み,本研究では直近の1型糖尿病患者の死因を調査することを目的とした.そこで2019年6月から10月に順天堂医院またはあそうクリニックを受診した成人1型糖尿病患者477名からなるコホートを作成,死亡者を抽出した.その結果,2023年8月末日までの期間に17名の死亡者を抽出しえた.死亡原因は①突然死・自殺等,②感染症(膠原病併存例での敗血症性),③悪性腫瘍・誤嚥性肺炎の3群に分類できた.①には比較的若い患者も含まれていた.②は膠原病に対しステロイドを使用中であった.③は高齢者でよくみられる死因と考えられた.これらの結果から,患者背景から危惧される死因を考慮し治療戦略をたてることの重要性が示唆された.
HbA1cの測定が高速液体クロマトグラフィ(HPLC)法の場合,クロマトグラムが異常へモグロビン症を疑うきっかけとなり得る.60歳男性.50歳時にHPLC法(HLC-723 G8・G9)によるHbA1cの測定で異常ピークを認め異常ヘモグロビン症が疑われ,52歳で糖尿病と診断されたが,転居でその後8年間当院への受診はなかった.再診時,HPLC法(HLC-723 G11)でHbA1c 6.1 %だったが,同検体を酵素法で測定するとHbA1cは8.6 %と乖離していた.しかし今回のクロマトグラムでは異常ピークは認めなかった.等電点電気泳動では異常バンドを認めたため,同意を得て遺伝子検査を施行したところ,異常ヘモグロビンHb Hoshidaと判明した.本症例によりHPLC法の分析計の機器によっては結果が異なる場合があり,異常ヘモグロビン症の診断において注意を要すことが明らかとなった.