日本オペレーションズ・リサーチ学会和文論文誌
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59 巻
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  • 伊東 賢二
    2016 年 59 巻 p. 1-20
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/20
    ジャーナル フリー

    通常,ポートフォリオのリスク計測は利便性の観点から多変量正規分布を用いて行われることが多い.しかし,歪度や尖度が高い銘柄から構成されるポートフォリオのリスク計測を行う場合には,個別資産の歪度や尖度を表現可能な柔軟な分布を採用したうえで,分布間の相関構造を表現したアプローチが必要となる.そこで本研究では,個別資産の分布に柔軟な分布を仮定したうえで,tコピュラを用いてポートフォリオのリスク計測を行う.

  • 泉 武志, 小中 英嗣
    2016 年 59 巻 p. 21-37
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/20
    ジャーナル フリー

    本稿では2015年からJリーグが導入する2ステージ+ポストシーズン制度についてシミュレーションを行い,ポストシーズンが3,4,5チームで争われる確率がそれぞれ約62%, 35%, 3%(平均約3.4)であるとの結論を得た.

    シミュレーションには対戦チームの平均得点および平均失点を反映させたモデルを使用した.平均得点および平均失点を得点に反映させるため,過去5シーズンの対戦データから回帰分析を用いてモデルを作成した.このモデルに基づき,10万シーズンのシミュレーションを計算機上で行い上記の結果を得た.

    またこの結果から,新しいシステムはポストシーズン進出の条件設計が不適切であり,2ステージ制ではなく本質的には1ステージ制+ポストシーズンの制度であることを明らかにした.

  • 宇都 伸之, 上條 良夫, 船木 由喜彦
    2016 年 59 巻 p. 38-59
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/20
    ジャーナル フリー

    ダブルトラック・オークションは,補完財を含む複数の財を適切に割り当てることを可能にするオークションメカニズムである.従来の複数財オークションメカニズムは,補完財を適切に割り当てることが出来ないという点で,ダブルトラック・オークションは画期的なオークションメカニズムである.しかし,先行研究によって,このオークションメカニズムは適切に機能しない可能性があるということが明らかになった.その原因としてピットフォールと呼ばれる価格の存在が示唆されている.本研究では,経済実験手法によりピットフォール価格の有無をコントロールして,ダブルトラック・オークションの性能を検証した.その結果,理論的に予測される価格の調整過程においてピットフォール価格が存在する場合,競争均衡の実現頻度が60%程度低くなることが明らかとなった.一方で,ピットフォール価格が存在しない場合,ダブルトラック・オークションは理論通りに優れた性能を発揮していた.

  • 堀田 敬介
    2016 年 59 巻 p. 60-85
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/20
    ジャーナル フリー

    一票の最大格差を最小とする最適区割やその列挙によって,多くの選挙区割候補を提示することができるようになったが,どの区割が良い区割であるのかを明示する指標が格差以外になく,選択が困難であった.また,最高裁は,一票の格差を最重要事項としつつも,国会の裁量権も認めているが,国会の裁量権の結果妥当な区割が行われたのかどうかの明確な評価は困難であった.本研究では,これらの選択や評価を支援するため,区割の結合度,および現行区割との乖離度を新たな指標として提案する.これにより,10年ごとに再画定される選挙区割の画定作業を支援することができ,なおかつ,画定された選挙区割が妥当なものであるのかどうか,国会の裁量権の行使として合理性を有するかどうかの判断材料となる.また,都道府県に適用して,結合度・乖離度他の指標による比較・分析をし,これらの指標が有用であることを示す.

  • 小林 和博, 成澤 龍人, 安井 雄一郎, 藤澤 克樹
    2016 年 59 巻 p. 86-105
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/20
    ジャーナル フリー

    津波発生時には,浸水対象の地域にいる住民はできるだけ迅速に避難する必要がある.本論文では,浸水域にいる要避難者が効率的に避難するための避難計画を,動的ネットワークフローモデルを用いて求める方法を扱う.特に,避難場所に容量制約がある場合に有効なモデルを扱う.具体的には,要避難者の避難状況を動的ネットワーク上の動的フローとして表現し,効率的な避難計画を辞書式最速流として定式化する.そして,この辞書的最速流を求めるアルゴリズムの実験的解析を,実際の地理情報に基づいて実施する.

  • 日高 徹司, 佐藤 忠彦
    2016 年 59 巻 p. 106-133
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/20
    ジャーナル フリー

    階層ベイズ順序ロジットモデルにより消費者異質性を考慮した複数広告素材の相乗効果(クロスメディア効果)を測定・推定する方法を提案し,ある商品のクロスメディア効果を測定・推定した.その結果,消費者によって効果的な広告が異なるという広告効果の多様性が示唆された.さらに,ブランド態度や企業イメージと広告効果の間に関係がある傾向が示唆された.この結果は,Ehrenbergの弱い広告効果理論と整合する.一方,クロスメディア効果との関係は正と負の両方が混在していた.これは,正の関係の場合は弱い広告効果理論と整合するが,負の関係の場合は広告を繰り返し露出による効果の低減を表していると考えられる.

  • 尾木 研三, 戸城 正浩, 枇々木 規雄
    2016 年 59 巻 p. 134-159
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/20
    ジャーナル フリー

    小企業向けの信用スコアリングモデルは,財務指標とデフォルトとの相関関係を利用したロジットモデルが主流である.ただ,小企業は大企業や中堅企業に比べて財務指標とデフォルトとの相関が低いため,モデルの精度も低くなるという問題がある.そこで,枇々木・尾木・戸城(2010)は,財務指標以外のファクターとして業歴に着目し,2004年度から2007年度の4年間に公庫が融資した約48万件の小規模な法人企業のデータを用いて業歴とデフォルトとの関係を分析した.その結果,業歴別のデフォルト率を3次関数で定式化した業歴関数をモデルの説明変数に追加すると,AR値が改善することを明らかにした.しかし,枇々木ら(2010)は,業歴別デフォルト率が何を表しているのかについては明らかにしていない.さらに,データ数が不十分で観測期間が短かったため,業歴関数の統計的な有意性や時系列での頑健性が確認されていないという問題点がある.そこで,本研究はこれらの問題点を解決するため,観測期間を8年に延ばしたうえ,約100万件の法人企業のデータに加えて約32万件の個人企業のデータを使用して分析を行った.膨大なデータをさまざまな角度から分析した結果,業歴別デフォルト率は経営者の個人資産額と関連があり,その代理変数として利用可能であることを明らかにした.さらに,業歴関数の統計的な有意性と時系列での頑健性を確認し,枇々木ら(2010)の分析に比べて実務での汎用性を高めることができた.

  • 成島 康史, 大谷 亮介, 矢部 博
    2016 年 59 巻 p. 160-183
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/20
    ジャーナル フリー

    本論文では微分不可能な関数を含む非線形方程式系の求解問題を取り扱う.このような問題は,例えば,相補性問題や変分不等式問題などから生じることが知られている. 平滑化ニュートン法は微分不可能な関数を含む非線形方程式系に対する効果的な反復法としてよく知られているが,行列を保存する必要があるため大規模な問題に対しては必ずしも有効とは限らない.一方,無制約最適化問題に対する共役勾配法は行列を保存しなくてもよいため,大規模問題に対する解法として知られており,中でも自動的に降下方向を生成するようなスケーリング共役勾配法が近年注目されている. 本論文では,微分不可能な関数を含む方程式系に対して平滑化手法とスケーリング共役勾配法を組み合わせて,行列を陽に使用しないような数値解法を提案し,その大域的収束性を証明する.

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