高速鉄道などの,座席を予約して利用する公共交通機関では,複数人予約を行う同一団体の旅客同士が互いに隣り合うような座席(連席)を確保することが求められる.ここに鉄道事業の収益性の観点を加えると,連席を保証しつつ,空席でない座席・乗車区間の割合(座席充填率)を大きくする必要がある.単純な座席割当手法では,乗車区間が十分に長い連席を確保できないことに起因して断片的な空席が生じる可能性がある.一方,数理計画法などを用いて精緻に座席を割り当てるような手法では,予約システムに求められる即時応答性の維持が困難となり,特に座席数や乗車区間が多い場合には,現実的な時間での座席決定が困難となる.このように,座席割当の精度と計算速度の両立が課題となる.本論文では,複数人予約に対し連席を保証しつつ,座席充填率の向上と即時応答性を両立可能な手法を提案する.提案手法では,予約追加時に都度行う即時応答性を維持したヒューリスティックな予約受入処理と,システムメンテナンス等の予約休止期間にバッチ的に行う厳密な座席配置決定処理を組み合わせることで,即時応答性と精度とを両立する.数値実験により提案手法の計算速度及び精度を検証した結果,駅数7駅,座席数1,200席の条件下において,予約受入時における即時応答性を維持した上で,既存の座席割当手法を模擬した手法と比較して座席充填率が約3ポイント向上した.また,座席配置決定処理についても1時間以内に実施可能であった.これらの結果から,提案手法の有効性を確認した.
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