日本オペレーションズ・リサーチ学会和文論文誌
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  • 安藤 優平, 柴田 秀哉
    2026 年69 巻 p. 1-24
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/04/16
    ジャーナル フリー

    高速鉄道などの,座席を予約して利用する公共交通機関では,複数人予約を行う同一団体の旅客同士が互いに隣り合うような座席(連席)を確保することが求められる.ここに鉄道事業の収益性の観点を加えると,連席を保証しつつ,空席でない座席・乗車区間の割合(座席充填率)を大きくする必要がある.単純な座席割当手法では,乗車区間が十分に長い連席を確保できないことに起因して断片的な空席が生じる可能性がある.一方,数理計画法などを用いて精緻に座席を割り当てるような手法では,予約システムに求められる即時応答性の維持が困難となり,特に座席数や乗車区間が多い場合には,現実的な時間での座席決定が困難となる.このように,座席割当の精度と計算速度の両立が課題となる.本論文では,複数人予約に対し連席を保証しつつ,座席充填率の向上と即時応答性を両立可能な手法を提案する.提案手法では,予約追加時に都度行う即時応答性を維持したヒューリスティックな予約受入処理と,システムメンテナンス等の予約休止期間にバッチ的に行う厳密な座席配置決定処理を組み合わせることで,即時応答性と精度とを両立する.数値実験により提案手法の計算速度及び精度を検証した結果,駅数7駅,座席数1,200席の条件下において,予約受入時における即時応答性を維持した上で,既存の座席割当手法を模擬した手法と比較して座席充填率が約3ポイント向上した.また,座席配置決定処理についても1時間以内に実施可能であった.これらの結果から,提案手法の有効性を確認した.

  • 加藤 怜, 蓮池 隆
    2026 年69 巻 p. 25-48
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/04/16
    ジャーナル フリー

    鉄道のダイヤ改正時には,乗務員の勤務スケジュールの基となる乗務員運用計画を作成する必要がある.乗務員運用計画は,行路,交番および勤務表から構成されるが,このうち本研究では交番を対象とし,複数組の乗務員区所を対象とした交番の自動作成手法を提案する.特に,交番作成における必要休日の確保に関する複数の条件を考慮するとともに,複数組の場合に重要となる組間の平準化を考慮する.そこで,複数巡回セールスマン問題を参考にした定式化を示すとともに,実行可能解を効率的に得るための二段階法を提案する.提案手法の性能を検証するため,国内の実路線データを用いてケーススタディを行ったところ,大規模な問題でも実用時間内に交番を作成できることを確認した.

  • 久保 正男, 佐藤 浩, 山口 明宏
    2026 年69 巻 p. 49-66
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/15
    ジャーナル フリー

    人間集団の意思決定にヒントを得たBRTは多数の選択肢から良い意見に合意形成できるミクロ--マクロモデルであるが,このエージェント群は実際の問題解決にはほとんど活用されていない. 自律ドローン群などに求められるタスクでは,現場の時間の進行に沿って適切な意見に速やかに合意することが求められるが,BRTの枠組みではこれが難しかった. そこで本論文では,経験を通じて推定した意見の価値におおよそ応じた頻度で投票する機構(PP機構)と劣った意見に合意した際に即時にその支持票を止める機能(IQ機構)をもったエージェントを提案し,このマクロ挙動の改善を試みた.PP機構を導入することによって良い意見への合意が期待でき,またIQ機構によって合意の解消による時間の短縮が期待できる.ただし,意見の候補数やエージェント数によって合意特性が変化するため,PP機構とIQ機構の効果は自明でない.そこで,ここでは数値実験を用いて,合意形成の解精度やリアルタイム性について,両機構が有効に働く意見の候補数とエージェント数を明らかにする.その結果,両機構を併用することによって広範囲な条件において従来のBRTの不具合を改善できることがわかった.

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