公立図書館がべストセラーの複本を大量に購入して貸し出すことは,作家や出版社の利益の損失につながるという主張がなされている。図書館の発展と作家や出版社の利益は相反しない。図書館がべストセラーへの要求に応えることは,すべての資料への要求に答えることの一部分であり,「貸出」によって幅広い分野の資料の利用が活発化し,そのことが図書館の発展とともに,出版文化の安定と発展の基盤をつくる。本稿では図書館への誤解と憶測の内容を検証し,貸出による図書館の発展は出版界にとっても利益になることを,図書館現場の実情や統計数値の分析をもとに考察する。
抄録全体を表示