本稿はアメリカ図書館協会知的自由委員会が作成した合衆国憲法修正第1条に関する映画『ザ・スピーカー』(The Speaker)をめぐるアメリカ図書館協会内部での論争を取り上げる。映画制作のプロセス,論争の内容,およびアメリカ図書館協会内での対立と対処のプロセスを,アメリカ図書館協会文書館の原資料も用いて再現する。そしてこの論争がアメリカ図書館協会の組織に与えた影響,および協会内組織の力関係などを解明する。例えば後者については,この時期の図書館協会の会長は社会的責任派,それに知的自由委員会(委員長)にも強力な社会的責任派が入っていたが,知的自由派が圧倒的に協力であったという結論を導いている。
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