ソーシャルメディアを歴史的記録して残すことは可能なのだろうか。本稿では,大学生と一般個人に対して,研究者,所属機関,国立国会図書館が公開ツイートをアーカイブするという架空のシナリオを複数提示し,その許容度を質問票で尋ねた集計結果について報告する。結果,シナリオ間,Twitter 利用経験の有無別,年代別で有意な差は確認できなかった。一方,一つ以上のシナリオを許容できないと回答したものが対象者の半数を超え,そのうち,プライバシーの観点から,あるいは特段の理由なく許容できないという反応が多数を占めた。
本論は「書誌レコードの機能要件」(FRBR)と「日本目録規則2018年版」(NCR2018)の議論の根幹にある「著作」「表現形」「体現形」「個別資料」について,できる限り理系の用語を使わずに,文系の視点で捉え直す試みである。このグループは,「同一性」と「差異性」によって把握することができ,図書館以外の分野にも適用可能だが,「著作」と「表現形」に関する具体的な運用ルールは各分野で異なるローカルルールとなる。FRBR は図書目録にパラダイムシフトをもたらしたのである。