観光学評論
Online ISSN : 2434-0154
Print ISSN : 2187-6649
2 巻, 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • D.マキァーネルの所説に照らして
    堀野 正人
    2014 年 2 巻 1 号 p. 3-13
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/01/13
    ジャーナル オープンアクセス
    旅行会社やマス・メディアを介して、ある場所が記号化され観光対象となることが、観光者の欲求喚起や体験に大きな影響を及ぼすことはいうまでもない。本稿では、記号としての観光対象を構造的にとらえるためのユニークな視点を提示したD.マキァーネルの所説を振り返る。マキァーネルが『ザ・ツーリスト』で措定したアトラクション(マーカー/サイト/ツーリストの関係)という分析枠組みを参照しつつ、1980年代以降に展開した記号消費的な観光のありようをめぐる議論と、記号解読の諸相について検討を加える。また、近年のメディア環境において観光者自らがかかわる新たな記号化の現象について、端緒的にではあるが言及する。
  • 寺岡 伸悟
    2014 年 2 巻 1 号 p. 15-27
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/01/13
    ジャーナル オープンアクセス
    小論は、現代社会が情報メディア化の度を深めることでその存立機制を変容させてきたこと、その変容が観光経験の変容の重要な背景要因であったことを、情報社会/メディア論と観光論の比較考察を通して原理的に明らかにする試みである。
    マスメディアによる観光地情報やイメージの流布が70年代の前半に隆盛をみたあと、情報ネットワーク化が—消費主義などと連動して―浸透した結果、実際の場所のリアリティを直接伝えてきた従来の人々の繋がりは衰弱し、メディアは場所に関する代替コンテクストの生成・提供機能を担うようになった。現代観光とメディアの親和性の基盤の一部はここにあると考えられる。その帰結としてのメディアコンテクストの自律化は、2000年代、ご当地ブームなどの観光現象を生み出した。しかし一方で、情報ネットワーク化の進展は、こうした変容への抵抗としてオルタナティブ・ツーリズムの成立を可能とした。こうした両者の相互関係は現在のスマートツーリズムのような新たな場所観光を可能にし、現代社会のリアリティ構造再考の最先端領域を生み出している。
  • ルート観光論へ向けて
    高岡 文章
    2014 年 2 巻 1 号 p. 29-41
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/01/13
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿はルート観光論の試みである。観光研究はこれまで、特に社会学的研究を中心に、観光において「メディア」が果たす役割を明らかにしてきた。メディアによって「南国」や「楽園」、「伝統」や「モダン」といった場所イメージがどのように生成・変容してきたのか、またそのようなイメージを観光客がどのように読み解いているのか、さらには場所イメージが地域社会をどのように再編するのかといった問題について、貴重な研究成果を蓄積してきた。しかし、観光を「メディアがつくりだす場所イメージの記号的消費」として捉えることで、身体的移動や空間の変容といった、観光のもう1つの側面を観光研究は十分に捉え損ねてきた。ルート観光論は「ルート」概念を手がかりとして、観光の自由と不自由について探求し、観光研究のさらなる可能性を拓くことを目指す。本稿はその第一歩である。
  • 観光的リアルの構造とその変容
    須藤 廣
    2014 年 2 巻 1 号 p. 43-54
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/01/13
    ジャーナル オープンアクセス
    観光はリアリティを創作する一つの手段であり、「メディア」としての機能を持っている。観光(地)を一つのメディアとして見たとき、観光のあり方の歴史的変容がどのように記述できるのか、また現代の観光のあり方は、どのような変容の結果なのかをこの稿では考察した。
    マクルーハンのメディア論から、観光は〈ホット〉なものから〈クール〉なものへと向かい、そのことによって観光諸アクターの「参与」が促されることを明らかにした。また、メイロウィッツのメディア論から、観光がシステム化されるにつれ観光文化が持っていた〈表舞台〉と〈舞台裏〉との境界があいまいになり、観光文化は「深さ」を失うことを確認した。これらのことは、人工的になった観光がより人工的に現実を作り出そうと、観光諸アクターのさらなる参与を促すことを意味する。
    さらに、こうして導き出された観光メディア論の図式をバーンスティンの教育的知識の変動論に当てはめてみると、観光メディアの変動が、観光における知識やリテラシーの社会的分裂を生じさせる可能性があることが分かる。
  • エレリー・セジウィックの旅行記事から
    山本 桂
    2014 年 2 巻 1 号 p. 55-66
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/01/13
    ジャーナル オープンアクセス
    本論文は、1930年に日本政府が国際観光政策の一環として実施した米国雑誌記者団招待事業に注目する。日本政府は関東大震災後、外貨獲得と国際親善を目的として、国際観光政策に力を入れていた。とりわけ、中国に次いで訪日者数が多かったアメリカ人の誘致に注目し、米国雑誌記者団招待事業を実施した。日本政府は記者らに対し、日本が古い伝統を保持しながら近代化が進んだ国として提示されることを期待した。しかし米国雑誌記者らは独自の視点から日本を体験していた。本論文では、この両者の隔たりを分析対象とし、日本政府の観光政策と米国記者による観光地の表象を比較しながら検討する。来日記者の一人であるエレリー・セジウィック(『アトランティック・マンスリー』編集長)の記述を取り上げ、セジウィックが記述するイメージは近代化した日本ではなく伝統や古い歴史をそのまま維持する国であったことに着目する。カレン・カプランは、ツーリストの言説は旅行という特権を保持した欧米ミドルクラスの視点を普遍化させてしまう点を指摘しているが、このような傾向はセジウィックの記述でも確認できる点を論じる。
  • 四本 幸夫
    2014 年 2 巻 1 号 p. 67-82
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/01/13
    ジャーナル オープンアクセス
    観光まちづくり研究の成果が近年数多く発表されている。主流の観光まちづくり研究では、地域活性化という国と地方の要請に応えようとして、観光まちづくりの成功例の紹介や、成功の為の実践マニュアル化に研究が集中している。その過程で、地域が所与で静的なものとして描かれ、権力及びその表出としてのコンフリクトに関する考察がほとんどなされてこなかった。しかし、現実には地域は多様であり動態的なものであるし、観光まちづくりにおいて権力は様々な形で現われている。
    本稿では、観光社会学や観光人類学などで議論されてきた権力概念をまとめ、それらが観光まちづくり研究に活かされていないことを明らかする。そして、観光まちづくり研究で権力概念の導入が必要と思われる5つの分野(文化情報消費産業としての観光の持つ権力性、地域の観光資源をめぐる権力性、ジェンダーによる権力性、国家権力、地域の権力構造)を提案する。さらに、地域における権力を分析するのに有効な地域権力構造論と批判的権力論を用いてどのように観光まちづくりの理解を深めていくことができるのかを考察する。
  • 神田 孝治
    2014 年 2 巻 1 号 p. 83-85
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/01/13
    ジャーナル オープンアクセス
  • グローバル化のなかの観光と生活世界
    川森 博司
    2014 年 2 巻 1 号 p. 87-89
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/01/13
    ジャーナル オープンアクセス
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