富山救急医療学会
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一般演題
  • 吉岡 恵生
    2018 年 36 巻 1 号 p. 4-
    発行日: 2018/09/01
    公開日: 2019/07/17
    ジャーナル フリー

    【はじめに】

    重量物による挟圧から救出後、一時的に心肺停止となった症例について、容態急変の機序や活動について検討した内容を報告する。

    【症例】

    高齢男性、コンバインの運転操作を誤りコンバインごと用水に転落したもの。現場到着時、コンバインと用水法面との間に両下肢が挟まれ脱出不能状態、コンバインの安定性が悪く、二次災害の危険性も高い現場であった。

    【経過】

    観察の結果、意識清明、呼吸及び脈拍正常、明らかな出血は認めず、挟まれた左足指先のMS(運動・知覚)不良。不安定な重量物除去のため、救出に長時間要することが想定でき、医師の現場要請を判断したが対応不能。現着から44分後、救助隊によりクレーン吊り上げにて救出、直後に心肺停止状態となる。4 分間心肺蘇生実施後の観察において自発呼吸及び自己心拍再開を認める。

    【結果】

    初診医師の所見では、圧迫解除後の血流再開による相対的循環血液量減少及び血圧の急降下が心肺停止要因の可能性であった。

    【考察】

    クラッシュ症候群を想定した活動を要求される事案であったと考える。救出完了までの間、容態急変に備えて準備する時間はあったが、物理的障害により事前処置をすることができず、一時心肺停止という状態を招いた。傷病者にとって最良の判断・活動をする上で今後の参考としたい。

  • 澁谷 壮志
    原稿種別: 講演記事
    2018 年 36 巻 1 号 p. 5-
    発行日: 2018/09/01
    公開日: 2019/07/17
    ジャーナル フリー

    【背景】

    富山県では平成27年8 月よりキーワード方式によるドクターヘリ(以下ドクヘリ)の運用が開始され、キーワードによる要請基準はいわゆる「重症感」がある状態に広く対応している。一方で救急隊接触後のキャンセル基準については一定のルールが無く、各隊の判断に委ねられている。

    多くの救命士が「限られた医療資源をより緊急度の高い傷病者のために投入する」ことの必要性を認識しているが、適切なキャンセルが行われているとは言えない。

    【目的】

    救急隊接触後にドクヘリキャンセルする場合の指標を検討する。

    【対象と方法】

    救急隊が観察した際のバイタルサインを「傷病者の搬送及び受入れの実施に関する基準」(平成27年10月 富山県)の「<緊急性>重篤(バイタルサイン)」の数値(以下基準値)と比較し、重症傷病者の的中率を調査する。

    【結果】

    CPA・転院搬送を除く389件のうち基準値に該当したものは202件(ロードアンドゴーによる判断含む)そのうち重症傷病者は110件だった。陰性的中率は78.1%、特異度は

    61.3%だった。

    重症傷病者のうち基準値に該当しなかった事案「偽陰性」41件の内訳は頭蓋内病変26件、心血管疾患5 件、その他10件だった。

    【考察】

    傷病者と対面して問診し、器具を使用して客観的に観察した結果、バイタルサインが基準値に該当しなければ、ドクヘリキャンセルを考慮した活動が必要であり、基準値がひとつの「ものさし」として活動の一助になる。

    偽陰性となる場合において、頭蓋内病変の初期治療では画像診断などによる治療適応判定が重要であり、また、心疾患でも適切な医療機関への搬送が重要である。

  • 米島 健太
    原稿種別: 講演記事
    2018 年 36 巻 1 号 p. 6-
    発行日: 2018/09/01
    公開日: 2019/07/17
    ジャーナル フリー

    射水市の平成29年中の救急出動件数は3266件であり、本年は7 月1 日現在ですでにその数を上回る勢いで救急要請がされている。全国的にも救急件数は増加の一途を辿り、平成29年中の全国での救急件数は約620万件にも及んでいる。その中で約6 割が満65歳以上の高齢者からの要請となっており、その背景には高齢化社会という社会問題があるのはご存知の通りである。また、認知症や難聴といった基礎疾患を持った高齢者の人口も増加傾向にある。

    さて、そこで問題になってくるのは高齢者からの救急要請において難聴を持った傷病者に対応する際、「救急隊の質問が聞き取れない」、「質問しても違った答えが返ってくる」等といった問題が発生してくる。

    (症例)

    ① 発生日時:平成29年12月25日 8 時03分覚知

    概要:89歳男性、高齢者施設にて朝食後に意識レベルが低下したもの。

    ② 発生日時:平成29年12月26日11時26分覚知

    概要:81歳女性、高齢者施設にて入浴後に吐血したもの。

    (考察)

    今回の症例において2 症例とも高齢者施設からの要請であり、どちらも難聴を持った傷病者であった。1 症例目においては施設職員が救急車へ同乗してもらい、施設職員から状況を聴取する事が出来た。2 症例目においては施設職員の救急車への同乗が無く状況の聴取がとても困難となった。

    難聴を持った傷病者に対応する救急事案は今後も発生することが予想されるので、どういった対応をすると傷病者から迅速に主訴や発生状況の聴取できるかを考察する。

  • 高村 達哉, 吉田 敬太郎
    原稿種別: 講演記事
    2018 年 36 巻 1 号 p. 7-
    発行日: 2018/09/01
    公開日: 2019/07/17
    ジャーナル フリー

    【背景・現状】

    新川地域消防組合宇奈月消防署の管轄内には県内を代表する温泉である「宇奈月温泉」があり約20の宿泊施設がある。平成27年3 月の北陸新幹線開通に伴い国内外からの観光客の増加がみられ、温泉街で年間100件程度の救急事案が発生している。 温泉街での救急事案に対する問題と対策を以下としたので報告する。

    【問題】

    1  宿泊施設での救急活動

    2  外国人傷病者への対応

    【対策】

    これらの対策として宿泊施設内での救急事案の際は「キーワード方式」を採用し、覚知時の内容に応じて1 次出動隊に支援隊も含めることとした。傷病者が外国人であった場合は、新川地域消防組合で統一して車載している「5 か国語対応シート」を使用している。

    【結語】

    温泉街での救急活動を検討し、問題を挙げることで対策を講じることができ円滑な活動ができるようになった。 今後も、多種多様化する救急に対して日々研鑽していきたい。

  • 山端 泰代
    原稿種別: 講演記事
    2018 年 36 巻 1 号 p. 8-
    発行日: 2018/09/01
    公開日: 2019/07/17
    ジャーナル フリー

     A病院では、各分野を専門としたエキスパートナース(認定看護師を含む総称)制度を設けている。申請条件には、関連分野で5 年以上の経験を要し、現在21分野、69名が認定を受け、救急看護エキスパートナースは8 名と院内において一番多い。

     救急看護エキスパートナースが担う活動は、院内の全職員を対象としたBLS・AEDの安全な使用の指導、新人蘇生研修、RRS(院内緊急コール・RRT)・AED使用後の事後検証、ICLS・JPTEC・JNTECなど各講習についてのアナウンス、受講の促進、受講者のための事前練習を実施している。また院外においては、他施設依頼のBLS・AED講習、救急関連分野の出前講座、DMATを中心とした災害研修・訓練に取り組んでいる。

     これら活動の周知や研修等の広報を目的として、2015年より救急新聞を作成・発行し、現在、7 刊まで発行している。掲載内容は、救急看護エキスパートナースにより活動報告や活動結果・研修のお知らせ等とし院内LANにて全職員宛てに配信している。

     救急看護エキスパートナースが担う活動分野は多岐にわたり、細部まで手が回らない現状があり、救急分野へ興味のある看護師には声をかけ活動に参加してもらっている。

     彼らの支援者である救急看護エキスパートナースとしては、活動内容を院内に配信することで救急分野に興味を持ってもらうこと、活動を手伝ってもらえる人員確保につなげる働きかけが重要である。救急新聞を通して院内配信を開始し3 年目となったため、今回、その活動状況を報告する。

  • 水野 伸也
    原稿種別: 講演記事
    2018 年 36 巻 1 号 p. 9-
    発行日: 2018/09/01
    公開日: 2019/07/17
    ジャーナル フリー

    【はじめに】救急輪番日においてA病院では、小児科医1 名、内科医師2 名、整形外科医師1 名、研修医3 名が対応し、消化器内科、循環器内科、外科、脳外科の医師は自宅待機としている。救急室勤務以外の看護師が3 交代勤務している。病態が複雑で重症度の高い疾患をもつ患者が搬送されてくるため救急輪番日に勤務する医療スタッフからは不安を口にする声も多い。そのため知識や技術の維持、向上のためには研修を行う必要性があると考え救急医療研修会(以下、研修)を企画し実施した。

    【目的】救急輪番日における救急患者への対応に関する知識・技術の向上を目指す。

    【方法】救急輪番日に関わる医師・看護師を対象とし、研修実施後アンケート調査を行った。

    【倫理的配慮】研修終了後に参加者へアンケートに無記名で記入してもらい、得られたデータは個人が特定されないように配慮することを説明し提出をもって同意を得た。また富山赤十字病院倫理委員会の承認を得た。

    【結果】研修参加における満足度は5 点中平均4.5点、研修前後の理解度に関する比較においては救急輪番日における役割、行動内容、連絡・連携全ての項目で平均1 点以上の上昇が見られた。

    【考察】研修として座学、グループディスカッション、重症患者受け入れシミュレーションを組み合わせて行うことで救急輪番日における救急医療のあり方についてイメージでき理解につながった。

    【結語】研修行うことで救急医療のあり方についてイメージ化でき理解へとつながった。 今後も救急輪番日における救急医療のあり方についての理解を深めるためにはシリーズ化した研修が必要である。

  • 伊井 みず穂, 奥寺 敬, 若杉 雅浩, 徳田 秀光, 安田 智美
    原稿種別: 講演記事
    2018 年 36 巻 1 号 p. 10-
    発行日: 2018/09/01
    公開日: 2019/07/17
    ジャーナル フリー

    富山県では、ICLSコースを「剱ICLSコース」として、ほぼ、隔月で開催している。また、毎年、富山県内医療機関の初期臨床研修医を対象としたICLSコースを開催している。2018年4 月より、「剱ICLSコース」において、コース前後の受講者意識調査を施行し、ICLSコースの効果について検討したので報告する。

    【対象と方法】

    今回、2018年4 月以降に開催したICLSコースの受講者を対象とした。受講前後に質問紙による意識調査を行った。質問紙の内容はICLSコース内区分であるBLS、気道管理、モニター・除細動、輸液路・薬剤投与、シナリオステーションにおいて、行動レベルを「できない」「助けがあればできる」「できる」「自信を持ってできる」「人に指導できる」の5 段階で自己評価を記入するもので、主に前後の比較検討を行った。

    【結果と考察】

    コース参加者は、毎年4 月定例開催の富山県初期臨床研修医対象のICLSコースを受講した初期臨床研修医が最も多く、それ以外の定例コース実施時は看護師が最も多かった。いずれの区分も行動レベルの最頻値は向上していたが、一部経験年数の長い受講者は受講前と受講後で行動レベル自己評価が低下していた。受講前には実施できると感じていても、ガイドライン改定などによる新しい知識の習得により、自己評価に変化がみられたものと考えられる。受講者の意見を含め、今回報告し、今後も調査を継続する予定である。

  • 若杉 雅浩, 奥寺 敬, 池田 尚人, 安心院 康彦, 石原 哲, 浅香 えみ子, 川原 千香子, 橋本 真由美, 奈良 唯唯子
    原稿種別: 講演記事
    2018 年 36 巻 1 号 p. 11-
    発行日: 2018/09/01
    公開日: 2019/07/17
    ジャーナル フリー

     Immediate Care of Marine Medicine は、第7 回の本会学術集会会長である故小濱正博先生(開催当時北部地区医師会病院副院長)が提唱し本学会で開発に取り組んだ高気圧酸素・潜水医学領域を対象とした研修コースである。

     研修素材としては潜水医学の基礎知識、潜水と救急疾患、潜水適正に関する問題、海洋咬刺症、海洋細菌の5 章からなるテキストとそれぞれの章に対応するプレゼンテーション資料から構成される。テキストの発刊にあたっては、カラー画像が大量に含まれるため、これらをWebコンテンツとして利用する形式とした。研修コースは、半日コース(正味3 時間)+事前・事後継続学習用のCBTの組み合わせとして Instruction Design等を用いて設計した。これは普及を優先させるためで、素材としては上級者向けの1 日コースを行うことも可能である。

     本研修は、これまで体系的な取り組みがなかった海洋医療の応急手当ての基礎知識を共有するものであり、今後の普及が望まれる。

  • 谷 昌純, 松井 恒太郎, 渕上 貴正, 大鋸 立邦, 水田 志織, 橋本 優, 藤井 真広, 菊川 哲英, 打越 学, 天野 浩司, 若杉 ...
    原稿種別: 講演記事
    2018 年 36 巻 1 号 p. 12-
    発行日: 2018/09/01
    公開日: 2019/07/17
    ジャーナル フリー

     富山県ドクターヘリは平成27年8 月24日より運行が開始され3 年が経過した。消防機関、受け入れ病院のご協力により要請件数も順調に伸びている。また個々の症例では心停止の患者が救命でき機能的に問題なく社会復帰されている劇的救命の症例も経験した。ドクターヘリの効果は計り知れない。しかし、これを統計学的に証明することは比較対象がないために非常に困難である。今回3 年間の実績とその効果を測るために現在富山県ドクターヘリが行っている予後評価法をお示しする。提示する予後評価法は岡山県で行われていた予後評価法を一部改正した形で集計した。予後評価における今後の問題点と課題を挙げる。

教育講演
  • 奥寺 敬
    原稿種別: 講演記事
    2018 年 36 巻 1 号 p. 13-
    発行日: 2018/09/01
    公開日: 2019/07/17
    ジャーナル フリー

     最近、富山県を中心として国内で起きている救急に関連する事象を解説する。6 月26日の奥田交番襲撃事件は、消防と警察の現場連携の観点からいくつかの課題が示された。これらは「事態対処医療」として研究対象となっているので解説する。死刑執行が話題となったオウム真理教による松本・東京地下鉄の両サリン事件でも、犯人が確保されない現場での救急医療という同様の課題が示されたが、事件の特異性ゆえに十分に整理されなかったと言える。秋葉原無差別殺傷事件や相模原障害者施設殺傷事件でも同様であり、特に前者は「事態対処医療」研究の契機となっている。そのほか、熱中症などの話題も解説する。

特別講演
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