東海公衆衛生雑誌
Online ISSN : 2434-0421
Print ISSN : 2187-736X
6 巻 , 1 号
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  • 井倉 一政, 多次 淳一郎, 前山 和子
    2018 年 6 巻 1 号 p. 45-50
    発行日: 2018/07/07
    公開日: 2018/12/01
    ジャーナル フリー

    目的 保健所管内(人口約21万人,高齢化率28.1%)における保健医療福祉の各分野の看護職間の連携の実態を踏まえて「看護職間連携のための研修会」と「多職種交流のための研修会」に取り組んだ。本研究ではその活動を報告することを目的とした。

    方法 研修会の参加者に対して無記名自記式質問紙調査を行った。質問紙調査の項目は,所属,看護職の経験年数,職種,研修会の参加満足度(満足した~不満足の5件法),今後の実践への有用性(おおいに役に立つ~役立たないの5件法),自由記載で構成した。量データは,単純集計を行い,度数と割合を算出した。自由記載は,記載された内容を類似性に着目して,複数の研究者でカテゴリ化を行った。

    活動内容 2016年2月に2回の研修会を実施した。1回目の内容は,保健所長からの保健・医療・福祉の現状の講演(30分)と急性期医療,回復期・療養医療,在宅の各分野の看護職が他分野・他機関の看護職と連携した具体的な事例の発表(60分),フロアとのディスカッション(30分)で構成した。2回目の内容は管内で在宅医療に積極的に取り組んでいる病院の院長から,管内の地域包括ケアシステムについての講演(60分)と急性期,慢性期,保健所の各看護職からの事例を含む話題提供(45分),フロアとのディスカッション(15分)で構成した。参加者はそれぞれ101人,173人であった。質問紙調査の回答者は85人(回収率84.2%),147人(回収率85.0%)で,各回とも8割以上の者が研修への参加に満足した,今後の役に立つと回答した結果であった。

    結論 それぞれの看護職が報告した具体的な事例を通して,参加者は管内の保健・医療・福祉の現状を学び,地域包括ケアシステムにおける看護職を取り巻く実情や課題を理解しあう機会となったと考えられた。今後は,看護職連携の具体的な成功事例を積み重ね,地域の関係者で共有することが必要であり,これらの活動を継続することが,看護職連携の仕組みづくりの一助となると考えられた。

  • 都市部委託型地域包括支援センターが主催する研修方法について
    安保 育子, 中村 廣隆, 大戸 好穂, 加藤木 かおり, 大河原 亜矢子, 日比野 津貴子
    2018 年 6 巻 1 号 p. 51-59
    発行日: 2018/07/07
    公開日: 2018/12/01
    ジャーナル フリー

    目的 都市部委託型地域包括支援センターが主催する研修で,多職種で地域課題を共有することが協働の推進や資質向上に繋がったことから,その工夫と成果を報告する。

    方法 2017年に地域包括支援センター(以下,包括センター),学術経験者,保健所で研修会を開催し,「見える化」した地域診断結果を用いた地域課題分析を実施。また,地域住民と協働した地域づくりの実践方法について学び,今後の地域実践について意見交換会を行った。その後,自記式質問紙を用いて研修内容を評価した。

    結果 包括センター職員が,地域包括ケアシステムの住民主体の地域づくりのための地域課題の分析の必要性を理解し,住民共同の取り組みの実際を知ることができた。さらに,研修企画の過程でセンター内保健師等チームが,介護予防を実践するための地域の課題を分析し,実践計画を立てることができた。単独の包括センターでは解決できない生活圏域の地域課題を,多機関協働で共有し,検討することができた。

    結論 多機関多職種協働の研修により以下の成果を得た。①包括センター職員が,地域課題の把握分析の重要性の認識を深める。②包括センターの保健師等チームが,地域住民共同の介護予防実践の計画と,その課題を振り返り,実践事例や客観的データの分析方法を知る。③地域課題や介護予防の具体的な取り組みについて,学術,行政の視点も含め,所属や機関を超えて検討することができた。

  • 今枝 奈保美, 道満 恵介, 目加田 慶人
    2018 年 6 巻 1 号 p. 60-69
    発行日: 2018/07/07
    公開日: 2018/12/01
    ジャーナル フリー

    目的 食事アセスメントの標準化を目的に,食品・料理の容量(かさ)を重量に換算する係数(容量密度)の状況を明らかにする。容量密度は,現在の日本の食品成分表には収載されていない。

    方法 米国とニュージーランドの食品成分表を対象に,栄養量が容量当たりで示されている食品を検索し,食品の容量密度(g/cm3)を観察した。容量の単位はカップ,液量オンス,大さじ,小さじ,ミリリットルとした。

    結果 米国の食品成分表では,容量密度の出現率は42%(8,257食品中3,476食品),ニュージーランドの出現率は92%(2,631食品中2,423食品)であった。容量密度の最頻値は1.0で,0.2と0.6にも山があり,容量密度が低値(0.1~0.2程度)は朝食用シリアル,ポテトチップス等で,容量密度が高値(1.3)だったのは蜂蜜,シロップ等であった。同じ食品であっても野菜やチーズ,肉料理は切り方や物理的な形状によって容量密度が異なっていた。

    結論 容量密度は両国間の誤差があったが,汁物やステーキ肉,魚,果物など容量に隙間のない食品は1.0,約2cm角の具材で容量に隙間がある料理は0.6~0.8前後,線キャベツのようにふんわりと粗の状態は概ね0.3と見積もること等が示唆された。食事の容量は写真からも把握できるので,食事アセスメントをする時は標準化した容量密度を整備しておくと便利であろう。

  • 近藤 今子, 小嶋 汐美
    2018 年 6 巻 1 号 p. 70-75
    発行日: 2018/07/07
    公開日: 2018/12/01
    ジャーナル フリー

    目的 本研究は,一般的な麺料理の摂取時における意識的に汁を飲まない場合の汁および汁からの食塩摂取量について検討し,麺料理摂取時の食塩摂取量についての基礎的なデータの蓄積を目的とした。

    方法 T大学の学生および職員の成人男性33人および女性36人を対象に,つけ麺のそうめんとそば,汁麺のかけそば,ラーメンおよびかけうどんを,汁を飲まないことを条件に1~2週の間隔を置き食してもらった。同時に自記式無記名で試食の開始・終了時間,性別,試食した麺料理の日頃の摂取頻度,汁の飲量を調査した。提供した汁量と汁の食塩濃度,摂取後の残汁量と残汁の食塩濃度から,汁および汁からの食塩摂取量を算出した。分析は,麺料理の摂取頻度,汁の飲量について男女の比較をカイ二乗検定により,汁および汁からの食塩摂取量については,男女による違いをt検定,摂取時間との関連をピアソンの相関分析により行った。

    結果 各麺の分析対象者は,47~54人であった。週に1回以上の摂取は,ラーメンが22%で最も多かった。汁を3/4以上飲むものは男性に有意に多く,ラーメンでは男性47%,女性6%,かけそばでは男性43%,女性6%であった。麺料理全般では,汁からの食塩摂取量の平均は1.0~2.0gの範囲であった。汁および汁からの食塩摂取量は男女で違いがあり,つけ麺では男性が汁麺では女性が多く,つけ麺の汁からの食塩摂取量以外は有意な差があった。最も食塩摂取量の多いかけそばでは,男性1.86±0.15g,女性1.99±0.14g であった。摂取時間と汁および汁からの食塩摂取量とは,そばの摂取時間と汁からの食塩摂取量を除き,つけ麺では負の,汁麺では正の有意な関連が認められ,摂取時間と汁からの食塩摂取量の相関係数は,最も強いかけうどんではr=0.56,最も弱いそうめんでr=-0.32であった。

    結論 麺料理摂取における食塩摂取量は汁を飲まない場合,麺も含めた場合は1.3~2.0gとなり,およそ1.6~4.0gの減塩効果があることが確認できた。麺料理摂取時における減塩指導としては,現行の「麺類の汁は残す」に加え,男女による違いについて考慮する必要性が認められた。

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