並行する鉄道とバスの連携には,比較的少ない費用で利便性を改善できる効果がある一方で,不採算路線を黒字化するほどの増収は期待できないことから,路線自体の存廃議論は引き続き必要となり,また恒常的な取組みとするには,利害の異なる関係主体間の合意が必要という課題がある.他地域での連携を推進するには,特定の主体に金銭的負担が偏らない仕組みにすることが望ましいが,乗車実績に基づかない収入の分配には煩雑な手続きを経て共同経営の認可を得る必要があるため,手続きの負担を軽減するような制度及び運用にすることが求められる.長期的には,交通機関(モード)を跨いだ公共交通への補助制度の構築も必要であることが示唆される.
国際航空貨物輸送手続では紙が多用されている.本稿では,同手続のデジタル化推進を目的に,手続の実態とデジタル化の取組状況を俯瞰的に分析し,課題を明らかにする.空港貨物地区の現地調査等の結果,デジタル化推進が望ましい手続として,航空機で送付される貨物書類封筒/上屋とトラックの間で貨物受渡に用いる書類/爆発物検査書類/ULDと積付貨物との管理番号の紐づけ/上屋におけるトラックの貨物搬出入受付を抽出し,現状の運用等を分析した.その上で,課題として,既存の情報プラットフォームの限定的な活用,様式の不統一,異なる技術規格の適用,国内の業界横断的なデジタル化推進主体の不在等を示し,課題解決に向けた検討を行った.
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