運輸政策研究
Online ISSN : 2433-7366
Print ISSN : 1344-3348
最新号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
学術研究論文
  • 宇都宮 浄人
    原稿種別: 学術研究論文
    2019 年 21 巻 p. 006-014
    発行日: 2019/02/28
    公開日: 2019/04/22
    [早期公開] 公開日: 2018/09/10
    ジャーナル 認証あり

    本稿では,地域の交通とソーシャル・キャピタルとの関係について定量的な把握を行う.まず,県別パネルデータの分析から,乗合バスの利用頻度が高い県は,信頼,互助の水準も高く,地縁の重要性に対する意識も高いという傾向があること,一方,乗用車の普及度合いは,信頼,互助について逆の関係にあるという結果が示される.また,アンケート調査から,神戸市で導入されたコミュニティバスは,住民のライフスタイルを変え,友人・知人と会う頻度や近隣の付き合い,新たな知り合いを増加させたことが示される.これらの結果は,地域公共交通が従来の費用便益分析には含まれないソーシャル・キャピタルという便益をもたらすことを示唆している.

  • 西堀 泰英, 土井 勉, 安東 直紀, 石塚 裕子, 白水 靖郎, 中矢 昌希
    原稿種別: 学術研究論文
    2019 年 21 巻 p. 015-026
    発行日: 2019/02/28
    公開日: 2019/04/22
    [早期公開] 公開日: 2018/09/10
    ジャーナル 認証あり

    30歳代前後の年代の生成原単位が減少傾向にあることが報告されている.筆者らは,そのなかでも特に減少している属性や交通行動を明らかにしたが,その原因やそれがもたらす影響については十分な知見が得られていない.そこで本稿では,インターネット利用,人付き合いや社会への関心などの人々の意識と交通行動との関係を分析した.その結果,インターネット利用と交通行動の両方が多い人と両方が少ない人が存在し,活動格差が生じている実態とともに,人付き合いへの積極性には様々な活動の中でも特に外出回数が関係することを明らかにした.これらの結果を踏まえ,今後の都市交通政策について考察した.

  • 東 達志, 香月 秀仁, 谷口 守
    原稿種別: 学術研究論文
    2019 年 21 巻 p. 027-038
    発行日: 2019/02/28
    公開日: 2019/04/22
    [早期公開] 公開日: 2018/10/22
    ジャーナル 認証あり
    近年の技術革新に伴い,自動運転車によるシェア交通サービス(以下,Shared-adus)の実現が目指されており,誰でも利用できる利便性の高い交通サービスとして期待されている.Shared-adusの普及を見据え,効率的な運行方式や,現在都市機能集約が目指されている都市計画側からの新たな対応が求められるが,都市構造がShared-adusの運行効率に与える影響は不明である.本研究では,都市機能が特定地域にどれだけ集約しているかを示す「都市機能集約度」がShared-adusの運行効率に与える影響を分析した.その結果,1)都市機能を集約するほどライドシェアは成立しやすくなるが,2)必要車両台数や車両走行時間は増加することが示された.また,3)その影響は都市形態間で差異があることも明らかになった.
  • 木俣 順, 竹林 幹雄
    原稿種別: 学術研究論文
    2019 年 21 巻 p. 039-047
    発行日: 2019/02/28
    公開日: 2019/04/22
    [早期公開] 公開日: 2018/11/29
    ジャーナル 認証あり

    本稿では,我が国の港湾政策において重要度が高まっている日本-東南アジア航路を対象に,2003年,2008年,2013年の3時点のデータを用いた経路選択モデルにより日本荷主の海上輸送ニーズの変化について分析,考察した.全国輸出入コンテナ貨物流動調査をもとに荷主の経路(日本国内仕出港)選択に関する各時点のロジットモデルを構築し,そのパラメータの安定性と限界効果から,2008年は特異な状況下であったこと,荷主は3時点を通じて国内輸送コストを重要視しておりこの低減が東南アジア航路政策において重要であること,海上輸送時間と寄港頻度のトレードオフなど航路体系の変化が荷主の選好に影響を及ぼしている可能性があることを明らかにした.

  • 鈴木 新, 山口 裕通, 福田 大輔
    原稿種別: 学術研究論文
    2019 年 21 巻 p. 048-059
    発行日: 2019/02/28
    公開日: 2019/04/22
    [早期公開] 公開日: 2019/02/28
    ジャーナル 認証あり

    近年活用事例が増えつつある集計携帯電話基地局情報等のビッグデータは,都市・地域間の旅客流動を年間を通じて容易に把握できる新たなデータソースとして期待されている.しかし,こうしたデータだけでは,アンケート調査のように旅行者の質的情報(e.g. 旅行目的等)を把握することは難しい.本研究では,相互補完関係にあるこれら2つのデータ(ビッグデータとアンケートデータ)を融合して,多時点に渡る日別・旅行目的別の都市間旅客流動量を推計する手法を提案した.モバイル空間統計と全国幹線旅客純流動調査に対して提案手法を適用し,推計結果の解釈,別の統計調査から得られた流動量との比較,モデルの残差分析等を行ったところ,次のような主要な知見が得られた:(1)年間での旅行目的構成比は,別統計調査の結果に概ね合致する,(2)日単位での旅行目的別流動量に関しては,幹線調査のサンプル数が少ない地方発の都市間流動において不自然な推計結果が生じやすい.

報告論文
書評
  • 河野 達仁
    原稿種別: 書評
    2019 年 21 巻 p. 088-
    発行日: 2019/02/28
    公開日: 2019/04/22
    [早期公開] 公開日: 2018/08/31
    ジャーナル 認証あり

     東日本大震災から7年たった現在でも,太平洋岸の被災地の人口流出が続いている.一方で,被災地には漁業をはじめ地域固有の恵まれた自然資源があり,三陸沿岸道路や防潮堤の整備も進んでいる.こういった自然資源偏在の空間においてインフラ整備や産業政策を適切に行い,社会厚生を高めることは重要な政策課題である.

  • 高田 和幸
    原稿種別: 書評
    2019 年 21 巻 p. 089-
    発行日: 2019/02/28
    公開日: 2019/04/22
    [早期公開] 公開日: 2018/09/10
    ジャーナル 認証あり

     多くの痛ましい犠牲を伴った東日本大震災から既に7年が経過した.その後も熊本地震,大阪府北部地震など,強い地震が日本各地で発生している.震災の発生後には,被災地の調査,災害発生機構の検証,対策の検討,施策の実施がその都度図られている.自然災害の大きさは,外力であるハザード(地震,津波,台風など)の大きさと,そのハザードに対する社会の脆弱性を掛け合わせることで決定される.そのため,次に大きな外力が社会に加わる前に,どれだけ社会の脆弱性を改善できるかが防災・減災の鍵となる.かつてより日本では自然災害の経験を通じて,ハザードに対する備え(脆弱性)を改善してきた.本書籍は,まさに発災直後より救援救助等の活動において重要な役割を担う空港の運用に係わる脆弱性改善のための提言書である.

  • 梅川 智也
    原稿種別: 書評
    2019 年 21 巻 p. 090-
    発行日: 2019/02/28
    公開日: 2019/04/22
    [早期公開] 公開日: 2018/10/30
    ジャーナル 認証あり

    「民泊を考える」は,世界の宿泊業界に大きな影響を与えた「民泊」のあり様に,わが国として一定の方針が示された「住宅宿泊事業法」の施行を目前にした2018年5月に発刊された.インターネットを活用した民泊ビジネスが,シェアリング・エコノミーという追い風に乗り,これほどまでにインパクトを与えるとは,長い歴史を誇る既存の宿泊業界も想像していなかったのではないだろうか.既存のホテル・旅館業界と不動産業界の戦いともいわれた民泊問題であるが,単にビジネスとしての視点,あるいは既存ストックの活用という視点,インバウンドを含めた観光振興の視点,宿泊業が成立しにくい条件不利地域活性化の視点などに加えて,民泊を受け入れる地域の用途や居住環境の視点にまで広がりをみせ,当初の対立の構図を超えた展開となった.宿泊~滞在~一時居住~居住という人間の観光行動から日々の暮らしに至る広範な議論展開が行われたことは,改めて宿泊業界を含む観光関連業界に対して,「泊まる」ことの本質的な意味や旅館業法の意義,宿泊から居住施設のあるべき姿の複雑さを考え直させる結果となったのではないか.

  • 花岡 伸也
    原稿種別: 書評
    2019 年 21 巻 p. 091-
    発行日: 2019/02/28
    公開日: 2019/04/22
    [早期公開] 公開日: 2019/01/25
    ジャーナル 認証あり

    本書の筆頭著者であるアン・グラハム教授は,空港運営分野において世界を代表する研究者である.彼女の代表的著作「Managing Airports: An International Perspective」は,2001年の初版以降,2018年に第5版まで出版されており,世界中で読まれている.こちらは空港運営にかかわる事項を幅広くまとめた教科書的な内容であるのに対し,本書はファイナンスと投資に焦点を当てており,インフラ・ファイナンスの空港版とも言える.なぜ,空港のファイナンスと投資に特化した書籍が,このタイミングで出版されたのだろうか.

  • 佐々木 邦明
    原稿種別: 書評
    2019 年 21 巻 p. 092-
    発行日: 2019/02/28
    公開日: 2019/04/22
    [早期公開] 公開日: 2019/02/28
    ジャーナル 認証あり

    2018年のノーベル医学生理学賞は,本庶教授らに,免疫の性質を利用して,がんに有効な新薬の開発がなされた功績に対して与えられた.免疫とがん細胞のような一見素人には無関係と思える話を聞くと,生命体には,まだ多くの複雑な機構が備わっているということが想像される.そのような生命体である人や様々な生物がかかわる都市や地域もまた非常に複雑な仕組みであることは疑いない.

feedback
Top