粘弾性流体の流れは粘性のほかに, 緩和時間の影響も考慮する必要がある.本論文においては, 低レイノズル数で溶融ポリエチレンが平行平板流路からスリット内へ流入するとき, スリット流入部における流れ模様を観察し, つぎの結果を得た.低レイノズル数において, 同じ高分子でも溶融高分子のレオロジ的特性によって, 循環流れが発生したり, 発生しなかったりする.すなわち, 緩和時間の大きい流体では, スリット流入部で循環流れが発生する臨界変形速度は小さい.そして, 変形速度が大きくなると, 循環流れの領域は拡大する.また, スリット流入角を変えても, スリットへ流れ込む主流部の流れの形状は, ほとんど変らず一定である.緩和時間が小さくなると, 循環流れが発生する以前に, 不規則な不安定流れがスリット流入部に起こる.
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