目的 (1) 苛性ソーダ溶液を付与した綿織物を各種の条件にて洗浄し, その結果に対する洗浄時間, 撹伴条件, 使用生地などの影響を調べる. (2) その結果を拡散理論を基礎にした理論式と比較検討する.結果 (1) 実験結果は織物 (または糸) を均質な平面板 (または円柱) と考えた場合の理論式と定性的によく一致し, 初期の一時期を除き洗浄時間と苛性ソーダの残留率の対数は直線関係になる. (2) また, 脱落遠度は上記理論式より推定されるように, 織物の厚さの2乗に逆比例する. (3) その他, 洗浄温度, 撹伴, 絞りなどの洗浄速度に及ぼす影響も大きい. (4) (1) に記した繊物または糸を均質な物質と仮定した理論式は一般の洗浄においては成立しないとする意見もある.この原因は何かについて考察し, つぎのような式を得た.C=T1e-αt+T2e-βtここに, Cは織物中の薬品濃度, tは洗浄時間で, T1, T2, α およびβは薬品の繊維中および水中の拡散速度, 繊維形態, 糸および織物の構造, ならびに洗浄前の薬品の初期濃度などで定まる定数.
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