目的 衣服の構造が定まっている紳士用スーツの仕立て映えを, 布の力学的性質から予測する方法を提案する.本報では, 秋冬物スーツ地に比べ薄くて仕立てにくく, また仕立て映えしにくいといわれる夏物スーツ地の仕立て映えを, 布の力学的性質から予測する方法を導びき, 予測式の妥当性を検討する.また, 仕立て映えする布の力学的性質の特徴を明確にする.
成果 1) 夏物スーツの仕立て映えには, 布の曲げ・引張り・せん断の三つの基本力学特性の寄与が大きい・そして仕立て映えする布のそれらの特性の範囲は比較的狭く, その特徴が捉えられた.
2) 曲げ特性の中でもよこ糸方向の曲げの性質, 次いでよこ糸方向の引張り特性の寄与の度合いが, 他の特性に比べて大きい.これらの性質は, 衣服の形態を形づくり, 形態保持に関係する.
3) 曲げ・引張り・せん断の三つの基本力学特性の組み合わせで, 簡単にしかもかなりの精度で, 仕立て映えを予測する式を導いた.
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