目的 男用冬スーツとして仕立映えする布地の性質を, その力学的性質ならびに基本風合い, 布の品質判断としての総合風合いとの関連で明らかにし, 布地の選別に実用できる判別式を導くとともに夏スーツで得られた結果と比較し検討する.
成果 1) 仕立映えのする布は, 引張り, 曲げ, せん断特性によって判別され, 表面特性あるいは圧縮特性を考慮するとさらに判別度は高まる.2) 衣服の機能特性値を用いて判別すると, 仕立映えに関係する布の性格が明らかになり, ソフトで弾力に富み, 適度のドレープをもっ布が仕立映えすることがわかる.3) 以上の3つの力学特性, および機能特性が仕立映えに関与する仕方は夏用スーツ地の場合のそれとほぼ共通である.4) 総合風合い, 基本風合いによる判別は, ともに夏用スーツ地の場合よりも劣るが, 力学的性質から導いた判別式を併用するとより適確な判別が得られる.5) 1社の判別に基づく判別式は同社で使う場合高い的中率をもち, また他社へ適用しても約70%の的中率が認められる.
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