目的 インターレーサの糸道管内壁上の圧力分布と内壁近傍の流速分布を測定することにより, 糸道の流れ場を明らかにする.幾何学的形状が相似であるインターレーサでは, 糸道の流れ場も相似になることを利用して, 実際のインターレーサを相似的に拡大したインターレーサを用いる.これにより, 詳細な測定が可能となり, 且つ, 精度の良いデータを得ることができる.成果 (1) 糸道管の軸方向に対し, 圧力はZ (空気噴射ノズルの取付け位置を基準とした軸方向距離を, 糸道直径で除した無次元距離) =0付近で極大となり, |Z|=1付近で極小値を取る.糸道端に近付くに従い圧力は徐々に増加し, |Z|=2で大気圧に等しくなる.以上の傾向は, 本実験範囲内では, θ (空気噴射ノズルの取付け位置を基準とした糸道管の周方向角度) および空気圧 (整流タンク内の空気圧) に無関係である.(2) θに対する圧力の変化はZによって異なる.θ=0の場合, θ=180°で圧力は極端に大きく, θ=90, 270°付近で極小値を取る.Z=1では, 圧力の変化はかなり小さく, 又, ほとんどの領域において圧力は負の値を示す.Z=2の位置では, 圧力はほぼ一定で大気圧に等しい.(3) 空気圧に比べると, 糸道管内壁のほとんどの領域で, 圧力はほぼ大気圧に等しい.(4) 空気噴射ノズルから噴出した空気は, 対壁に衝突し放射状に広がる.周方向速度成分を持った空気は曲面壁に沿って流れ, θ=0,180°を通る平面を境界として, 互いに逆回転の2個の渦が形成される.糸道端に近付くに従い, 流れの周方向成分は小さくなり, 軸方向成分が支配的になる.又, 流れの主流部が糸道の周辺から中心部に移る.糸道の周方向について見ると, 流れはθ=180°の方に偏っている.(5) 本実験では, 糸道における空気の流れ模様は空気圧に依存しない.(6) 空気噴流は, 糸に直接作用する領域 (|Z|<1/2) で糸の開繊および交絡作用を受持ち, 流れの周方向速度成分が比較的強い領域 (|Z|<1) で回転運動に似た運動を糸に起こすと考えられる.(7) インターレーサの製作誤差の影響は, 糸道の流れ場に顕著に現れる.この製作誤差が加工後の糸のばらつきに影響を及ぼしていると考えられる.
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