メタノールのアンモニア飽和溶液 (A法) および従来法での溶媒を用いて得られた粗製リン酸アミド (B法) を用いてセルロース系布帛の加工を行い, その加工布の物性について比較検討した.A法で得られたリン酸アミドによる加工布はB法のそれより防縮性, 耐塩素傷害性が著しく優れ, さらに非ホルムアルデヒド系グリオキサール・尿素樹脂に比べ防縮性に優れ, 曲げ特性値が低く, 風合いが極めて柔らかであった.A法の副生成物であるメトキシ基を有する化合物の含有率は合成時の反応温度が高くなると増加するが, 反応温度の高い条件で合成した粗製リン酸アミドを用いた加工布は低温での合成品に比べて防縮性, 布の白度いずれも低下した.A法のアンモニア飽和溶液に水を添加したとき得られる粗製リン酸アミドについて, 水の添加量と加工布の性質との関係について検討した.水を少量添加すると防縮性は向上するが, 最適の水添加量が存在した.水を添加すると粗製リン酸アミド中にかなりリン酸アンモニウムが生成した.リン酸アンモニウムの加工触媒作用について検討した.リン酸アンモニウムを加工剤に添加すると防縮性, 耐塩素傷害性, 白度のいずれも向上した.水素化ホウ素ナトリウムで加工布を前処理すると防縮加工布の白度は改善された.
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