本研究では, 織物における双糸の撚りの再分配の概念が導入され, 双糸の撚り再分配の理由が示されている.100s/2双糸と50s単糸を用いた以外はほぼ同一の仕様の2種の純綿織物間の比較を行っている.織物における双糸の撚りの再分配と糸むらという視点から, なぜ100s/2織物の人気がますます出てきているのか, またはいかに双糸布が単糸布より優れているか, をこの2種の布を用いて説明している.この2種の布の幾何学的並びに力学的性質の測定結果を比較し, 双糸布は単糸布よりより優れた外観を持つばかりでなく, 力学的特性と風合いの点でもより高品質であることを示している.撚りの再分配は双糸からの製織時に生じると思われているが, 布目と糸の撚り間の厳密な関係よりも, むしろ一つの方向としてこの再分配が生じるものとみるのがより現実を反映しているようである.
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