目的 鉄系焼結素材における焼結助剤の配合比が紡機用焼結リングの摩耗特性に及ぼす影響について研究した.成果 (1) 摩耗試験機を用いて200時間の摩耗実験を行った結果, 5種類の試料のうち焼結助剤配合比が二硫化モリブデン (MoS2) 66.7%, フェロマンガン (FeMn) 33.3%の材料 (試料No.4) が摩耗量, 表面粗さ, 通気性のすべてに良好な結果を示した.(2) 摩耗試験機による実験において最良の摩耗特性を示した試料No.4および従来の標準試料 (MoS2100%) について実操業摩耗試験を, 梳毛Nm60およびアクリル糸Nm36について実施した.その結果, 摩耗量, 表面粗さ, 通気性の面で試料No.4の優秀性が示された.(3) MoS2とFeMnの配合割合の影響をみると, MoS2の量が58~67%より多すぎても少なすぎても不良な結果となる傾向が認められた.(4) 以上より総合的に検討した結果, 焼結助剤配合比を適当に選ぶことにより焼結リングの耐摩耗性を向上できることが確認された.
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