車輌の懸架装置に用いられている重ね板ばねは板間に摩擦力があるので乗り心地を左右する要因となっており, 特に大中型トラックの乗り心地改善の問題においてこれは無視できない要素であると判断する。
本報では油圧加振試験装置による試験と実車試験を行って, 重ね板ばねの板間摩擦力が乗り心地およびばねの疲労耐久性におよぼす影響を実験的に調べ, 最適板間摩擦力について検討を行ったところ, 2F/Ke√Aでデーターを整理すると重ね板ばねの最適板間摩擦力が定性的な値で表わされることがわかった。その結果はつぎのように要約される。
(1) 乗り心地を最適にする板間摩擦力を与える2F/Ke√Aが0.6-0.8に存在する。
(2) ばねの疲労耐久性の点で最適な板間摩擦力を与える2F/Ke√Aが0.8-1.0に存在する。
(3) (1) と (2) の結果から最適板間摩擦力は乗り心地および疲労耐久性の両面から考えて決定されるべきである。
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