ばね論文集
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1987 巻, 32 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 下関 正義, 定国 幸雄
    1987 年 1987 巻 32 号 p. 1-10
    発行日: 1987/03/31
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    懸架用コイルばねの設計および使用上の問題点は, 動的問題を別にすれば, 荷重特性, 応力計算, 胴曲りおよび打音等に尽きると思われる. これらの問題は, 座巻部の評価およびコイル間接触の取扱いに帰着する. 本報においては, これらの問題を接合要素を用いた有限要素法によって解析可能なことを示した. また, 本解析法が線形, 非線形あるいは平行, 非平行圧縮および弾塑性圧縮問題にも包括的に適用できることを応用例で示した.
  • 定国 幸雄, 下関 正義
    1987 年 1987 巻 32 号 p. 11-18
    発行日: 1987/03/31
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    コイルばねの振動解析に有限要素法を適用するに当って真直はり要素を用いることによりパソコンレベルでも解析可能なことを示した. 自由振動問題に於いては縦振動の他に捩りおよび曲げ振動の固有振動数と振動モードを実用的精度で得ている. また, 強制振動についてもその一部の解析例を示した.
  • 神足 勝英, 勝野 博, 内山 太郎, 久島 士郎, 久納 孝彦, 水野 正夫
    1987 年 1987 巻 32 号 p. 19-23
    発行日: 1987/03/31
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    圧縮コイルばねの座屈荷重は, コイルばねを力学的に等価な弾性柱に置き換えることによって比較的容易に計算される。 一方, 完全なコイルの中心線は, 柱の分岐座屈と同様に座屈荷重までは真直で, 座屈荷重に達すると突然横方向にたわむと考えられるが, 実際の圧縮コイルばねは, コイル中心線の初期たわみ, 座巻部による荷重の偏心等により, 軸圧縮力の増加とともに横たわみが増す, 不完全柱としての挙動を示す.
    本論文では, 多分力荷重計によりコイルばねの圧縮荷重と固定モーメントを測定し, これらの関係より, 完全なコイルばねの座屈荷重を推定する方法を示した。 また, 縦横比6-9の圧縮コイルばねについて座屈実験を行ない, 本法により求めた座屈荷重がHaringxによる理論座屈荷重とよく一致することを示した。
  • 斎藤 純幸, 芦野 正美, 高橋 健治
    1987 年 1987 巻 32 号 p. 24-30
    発行日: 1987/03/31
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    コイルばねの高温へたりについては, 種々のデータはあるが, ばね指数の影響について述べた文献は少ない. そこで, 高温へたりに及ぼすばね指数の影響を解明すべく高温締付け試験を行った。 試験ではばね指数のほかにピッチ角及びショットピーニングの有無の影響についても調査を行った.
    その結果, コイルばねの高温へたり評価については, ばね指数の影響を考慮しないほうが適切であることがわかった.
    また, ばねの高温へたりを有効に評価するための実験式の誘導を行った.
  • 俊野 英男, 重野 公彦, 高木 伸雄
    1987 年 1987 巻 32 号 p. 31-34
    発行日: 1987/03/31
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    弁ばねに代表される疲れ強さを要求されるばねは, その疲れ強さ向上のためにショットピーニングを施すのが通例である。 ショットピーニングによる疲れ強さ向上の主な要因の一つとして, 圧縮残留応力層の生成があるが, 従来のショットピーニングでは, 表面近傍で圧縮残留応力が低下しているのが一般的である。
    そこで, 本報では強度の異なる複数のショットピーニングと熱処理を組合わせることにより, 表面値, 深さ共に十分な圧縮残留応力分布を得る方法を検討し, その結果, 疲れ強さが向上することが確認された。
  • 竹之下 伸治, 調 公二郎, 青木 由充
    1987 年 1987 巻 32 号 p. 35-43
    発行日: 1987/03/31
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    There are many properties required in wire springs and the most important is that the spring must be cagable of maintaining its elasticity for a long period of time. Nevertheless, fractures in wire springs caused by a variety of factors are not uncommon, and as a manufacturere of steel wire for mechanical springs, we have many opportunities to analyze such fractured springs. This report is a summary of the results of th spring fracture analyses which we have carried out, and herein we have attemped to classify the configurations and causes of such fractures, especially for cold-coiled helical springs, and to offer some preventive measures.
  • 新井 康夫, 弘元 修司, 長岡 忠隆
    1987 年 1987 巻 32 号 p. 44-51
    発行日: 1987/03/31
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    GFRPの材料特性, 実用化したGFRP板ばね (横置きばね) の諸特性とFRP固有の問題点をふまえて, 小型トラック用のGFRP板ばね (縦置きばね) の設計試作を行い, 台上評価及び実車評価 (性能) を行った結果, 以下のことがわかった.
    (1) 環境特性も含めた材料特性から, 以下に示す設計基準でGFRP板ばねへの適用が可能である.
    設計最大応力……60kgf/mm2
    曲げ弾性率……4350kgf/mm2
    最高使用温度……70℃
    (注) GFRPの比重は1.9
    (2) 台上評価で上下耐久, ワインドアップ剛性は鋼製板ばね (現行) と同等であるが, 横剛性はGFRPの曲げ弾性率が低いために鋼製板ばね (現行) の約1/2である.
    (3) 実車評価 (性能) は応力頻度, 過大入力時の応力, 及びロール剛性で鋼製板ばね (現行) と同等の性能を有している. また, 横剛性が低いことの影響が操縦安定性に現れると予想されたが, その影響はない.
  • 非金属介在物評価法委員会 , 西島 敏, 鈴木 栄三, 新倉 芳治, 内堀 勝之, 寺下 勝, 森井 惇雄
    1987 年 1987 巻 32 号 p. 52-74
    発行日: 1987/03/31
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    高強度化した最近のばね材料にとって, その疲労強度を確保するためには, 非金属介在物の適切な評価が極めて重要となっている. 当委員会では先に共同研究により, 非金属介在物評価法としてこれまで提案されている6種類の顕微鏡試験法の比較を行った. すなわち, 面積率評価によるJIS法, 標準図を用いるASTM及びDINの方法, 並びに3種類のペナルティポイント法を取り上げ, 共通試料による比較試験を行って結果を解析した. その結果, 仮にPP-1法と名付けたペナルティポイント法の一つが, 今後, 試験評価手順を明確にし, 有効性の確認などを進めることによって, 標準試験法になりうると考えられることが分かった.
    そこで本研究では, このPP-1法に基づいて定めた暫定試験法を用い, 同一強度で介在物レベルの異なる3種類のSi-Cr鋼のショットピーニングを施した鋼線について, 介在物の顕微鏡評価試験と回転曲げ疲労試験を参加委員各社の分担により実施し, 標準試験方法の検討を行ったものである. 顕微鏡試験方法としては, (1) 所定の検鏡面積内にあるすべての粒状介在物を大きさ区分毎に計数し, (2) 各区分毎の数にそれぞれ所定の評点係数を掛けて合計することにより, その試料の評点を求める方法を採用した.
    疲労試験の結果を調べると, 高サイクル領域では破壊は介在物を起点として試験片の内部から起こっており, 従って起点の応力拡大係数を用いると疲労試験の結果が統一的に評価できることが分かった. このことから, 各大きさ区分毎の介在物の評点係数を合理的に定めることができ, その結果得られた評点が材料毎の疲労挙動の違いを良く予測することを明らかにした. そしてこれにより非金属介在物の顕微鏡評価方法を提案すると共に, 提案法がばね材料の疲労を考慮した評価識別のために十分実用的かつ有効であることを実証することができた.
  • 表面処理後の脆さ除去委員会
    1987 年 1987 巻 32 号 p. 75-101
    発行日: 1987/03/31
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    めっきはばねにおいてごく標準的な表面処理として多用されているにもかかわらず, ばねにとって決定的な問題であるめっきぜい化については不明僚なところが多い. 本委員会では, 電気亜鉛めっきを対象として各めっき処理工程とぜい化の定量的関係の把握, ぜい化防止を目的としためっきシステムの決定, そしてベーキング条件のぜい化防止効果及び実物ばねによるぜい化評価について共同研究を行った.
    結果を次に示す.
    (a) めっき前処理工程では酸洗が激しいぜい化を生じさせる. この防止には抑制剤が極めて有効である.
    (b) 電解脱脂は, 陽極・陰極共にほとんどぜい化を生じさせない.
    (c) ぜい化へのめっき浴種の影響は, 塩化・ジンケート・シアン浴の順に小さい.
    (d) ぜい化の少ないめっきシステムは次のようになる. 抑制剤添加の酸洗→陽極又は陰極電解脱脂→塩化亜鉛浴
    (e) 伸線加工を施された線ばねは, ぜい化が生じにくい.
    (f) 熱処理の影響では, 油焼入焼戻の方がオーステンパー処理よりぜい化が大きい.
    (g) 熱処理品は, ベーキングをできるだけ十分に行うことが望ましい.
    (h) 薄板ばねの熱処理硬さの影響は, HRC52に対してHRC46, 42と硬さが低下するとぜい化はかなり低下する.
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