ばね論文集
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1989 巻, 34 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 西畑 三樹男, 有田 紀史雄, 崎田 栄一, 高田 政美
    1989 年 1989 巻 34 号 p. 1-7
    発行日: 1989/03/31
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    リードフレーム及びばね, コネクタ用材料の開発を目的としたCu-Ni-Sn合金及びさらに前記合金の耐食性, はんだ付け性 (予備はんだ付け工程の削減) の向上を目的としたはんだ積層Cu-Ni-Sn合金の検討を行った.
    その結果, Cu-Ni-Sn合金は加工, 熱処理によって引張強さ500MPa, ばね限界値450MPa以上の強度を有することからばね材料のみでなく, 耐熱性, 加工性に優れた中伝導度 (50% IACS) のリードフレーム材料として適用できることを明らかにした.
    また, はんだ積層Cu-Ni-Sn合金のはんだの密着性, 耐食性はきわめて良好で, その機械的強度はCu-Ni-Sn合金母材と同等であることを明らかにした.
  • 長屋 幸助
    1989 年 1989 巻 34 号 p. 8-17
    発行日: 1989/03/31
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    任意の時間関数で与えられる変位加振を一端に受ける形状が任意でかつ任意の異形断面線コイルばねの非定常応力を求める解析式を提案した。 解析ではまず三次元空間曲りはりの釣合方程式の厳密解を求めて格間マトリックスを作成し, さらに格点マトリックスを作成して, 伝達マトリックス法, フーリエ展開法, ラプラス変換法の組合せにより, 変位, 角変位, 合力および合モーメントを求めた。 ついで著者が前報で与えた応力解析式を引用して任意形状でかつ任意の異形断面線ばね素線の横断面に作用する垂直応力およびせん断応力を与える式を誘導した。 具体例として, 卵形断面線より成る円筒コイルばねをとりあげ数値計算を行った。 その結果, 卵形断面線ばねはアスペクト比を適当に選択すると, 従来の丸線ばねに比べ密着長の減少, 重量の軽減の両方が期待でき, 機械部品の小型化に貢献することが明らかとなった。
  • 第1報, ばね要素行列の誘導
    沢登 健, 王 建春
    1989 年 1989 巻 34 号 p. 18-25
    発行日: 1989/03/31
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    有限要素法を用いたコイルばねの解析ではばね要素の要素行列を求めてしまえば, すでに確立した処理方法を使って効率的な解析が可能である。 しかし, 要素行列を求めるには形状関数の導出などかなり面倒な計算が必要であり, 実務レベルで有限要素法を使ってばね特性を解析するには要素行列の誘導過程における労力を軽減する必要がある。 そこで本報告では, ばね要素の形状関数の導出から要素行列の誘導過程をコンピュータによって数式処理する方法を詳細に論じ, コイルばねの有限要素解析を実務レベルで行なうための改善を図った。 さらに数式処理のプログラム法が十分に普及していない現状を考慮して, REDUCEによるプログラム例を示した。
  • 隠岐 保博, 永松 孝彦, 芦田 真三
    1989 年 1989 巻 34 号 p. 26-31
    発行日: 1989/03/31
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    弁ばね用として広く用いられているSi-Cr鋼をベースにC, Si, Mn, Cr, Mo, V, Wの合金元素を添加したオイルテンパー線およびばねを用いて引張試験・温間締付試験を行い, 温間へたり特性におよぼす化学成分の影響および焼もどし軟化抵抗と温間へたり特性との関係を調査した. その結果, 温間へたり特性の向上にはマトリックスを強化するSiや強い炭化物形成元素であるMo, V, Wの添加が有効であることが判明した. また, 焼もどし軟化抵抗と残留剪断歪の間には強い相関が認められ, 焼もどし軟化抵抗の大きい鋼が小さな残留剪断歪を示すことが判った.
    さらに, 2%Mo-2%Cr鋼の温間へたり特性はSi-Cr鋼より著しく向上することが判明した.
  • 小曽根 敏夫, 土方 直樹
    1989 年 1989 巻 34 号 p. 32-37
    発行日: 1989/03/31
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ばねの耐久性を向上させる表面処理法として, つきまわりが良く, 加熱により硬化層が得られる無電解Niめっきを取り上げた.
    ここでは, めっき膜厚さ, 加熱温度, ピーニングを変えて, 最適条件を探った.
    その結果, 無電解Niめっきを20μm施行し, 300℃で加熱した後, ホーニングを施行することにより, 回転曲げ疲れ試験及びばね疲れ試験共に良好な結果が得られたので以下に報告する.
  • 杉本 淳, 田中 達夫, 大木 喬夫, 脇門 恵洋
    1989 年 1989 巻 34 号 p. 38-43
    発行日: 1989/03/31
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    鋼の有効な強靱化方策の1つとして改良オースフォーミングがある. 本報告では, ばね鋼の改良オースフォーミングについての基礎的知見を得るために加工フォーマスターを用いてシミュレーション実験を行い, 鋼の硬さ, ミクロ組織等におよぼす改良オースフォーミングの影響を調査した. また加工温度等の改良オースフォーム条件を変化させ, それが改良オースフォームの効果にどのような影響を与えるかを調査した. その結果を要約すると以下のようになる.
    (1) 改良オースフォームにより焼入れ硬さは上昇し, 焼入れ組織は微細化する.
    (2) SUP9Aの温度650℃でオースフォームしたものは加工による拡散変態促進のため不完全焼入れとなり硬さは著しく低下した. また800℃以上で改良オースフォームしたものは再結晶を起こし, 焼入れ硬さの上昇する効果は減少した.
    (3) 加工後焼入れまでの放冷時間が長くなると静的回復, 再結晶等の復旧現象によりオースフォームの効果は減少する.
    (4) 改良オースフォームにより焼もどし軟化抵抗性は増大する.
  • 綾田 倫彦, 東野 豊之
    1989 年 1989 巻 34 号 p. 44-52
    発行日: 1989/03/31
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    軽量化の観点から, 最近, 高強度・高靱性ばね材料の開発が望まれている. 加工熱処理法 (T. M. T.) は, このような優れた機械的性質を得るための有効な手段のうちの1つである. 過去, 加工熱処理の研究は行なわれてきたが, 加熱・冷却・加工を結びつけた優れた制御方法がなかったため, その効果を充分に引出せなかった. そこで, 我々は加工熱処理のメカニズムを研究する目的で, 新しく連続多段圧縮を特徴としたコンパクトな加工熱処理シミュレータを開発した. 本装置は, 他に “鍛造焼入れ”, “焼戻し温間鍛造” などの加工熱処理法にも適用できる. 本論文は, このシミュレータの概要とT. T. A., T. T. T. やオースフォーミングに関する試験例についてまとめたものである. 本装置により, ばね鋼の機械的性質を改善するための適性な加工プロセスが見出されると思われる.
  • 宮崎 克則
    1989 年 1989 巻 34 号 p. 53-58
    発行日: 1989/03/31
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ばね製造工程において多品種少量生産を高生産性, 高品質レベルにて生産するためには工程に対して柔軟性及び安定性をいかにして付加するかが問題である. これを解決する手段のひとつとして, 本来その柔軟性を最大の特徴とするソフトウエア技術をエレクトロニクスを介して生産技術に結びつけようとした例を示す.
  • 耐熱ばね材料委員会
    1989 年 1989 巻 34 号 p. 59-84
    発行日: 1989/03/31
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    When the Committee was organized, there were some opinions concerning the comprehensive method for the estimation of long-term setting properties from experimental short-time data. For this kind of problem it seemed indispensable for springs used at elevated temperatures, the Committee took up this as one of collaborative studies.
    Fourteen affiliates participated in the comprehensive test in intermittent procedure to get 3, 000 hours setting properties up to 400°C on the two kinds of steel wire springs. The setting values or residual shear strain have an inclination not to saturate, but increase ever after the 3, 000 hours setting. Both the steel wire springs have a transition in setting behavior at a certain temperature level. On the test data up to 3, 000 hours, it was possible to express the residual shear strain as a constitutive equation. The equation can be used for extrapolation to predict long-time setting values.
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