ばね論文集
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1991 巻, 36 号
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  • 関口 力, 芳賀 稔, 新井 宏
    1991 年 1991 巻 36 号 p. 1-4
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    高Mnオーステナイト系である17Cr-15Mn-0.35Nステンレス鋼の諸性質を, ばね材への応用の立場から調査し, Cr-Ni系の301, 304その他等と比較検討した結果, 以下のことが分かった. 高Mnのため多量のN添加が可能で, 高Cと共に高Nとすることによる固溶強化と, これらオーステナイトフォーマーの多量添加に基づく組織安定化により, 高強度および完全非磁性となる. 冷間加工材の低温焼鈍による強度上昇はCr-Ni系の301より大きく, また軟化開始温度もこれより200℃程度高温側の650-700℃付近にある. またこの温度範囲では過時効 (長時間加熱) による強度低下も非常に緩慢である. 短時間引張試験により常温から800℃間の高温強度を測定したところ, いずれのCr-Ni系ステンレス鋼, 耐熱鋼よりも大であった. 以上からこの材料は高強度, 非磁性ばね材の他, 例えば自動車エンジンガスケットのような耐熱ばね用途にも期待がもたれると考えられる.
  • 高崎 惣一, 内堀 勝之, 安部 強
    1991 年 1991 巻 36 号 p. 5-9
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ばね鋼は比較的焼き入れ性が高いので, 焼き割れ感受性が高い. 焼き割れ防止の観点から, 4種のばね鋼のマルテンサイト変態挙動をフォーマスターF変態点測定装置を用い, 2段焼き入れ法により調べた.
    得られた結果は次の通りである.
    1) マルテンサイト変態開始温度は, 測定したどの鋼種もMs点直下である.
    2) Ms点から90%変態完了までの温度差の関係を見ると, SUP9は他の3鋼種 (SUP11A, SUP10, SUP12) に比べて小さい. したがって, 焼き入れに際して, SUP9はマルテンサイト変態が他の鋼種に比べ急速に進む.
  • 濱田 實, 荒木 敏弘
    1991 年 1991 巻 36 号 p. 10-22
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    皿ばねが圧縮荷重を受ける場合に示す非線形の荷重-たわみ線図については, 従来よりJ. O. Almen & A. Laszloの式が広く用いられてきた. これに対して, より精度の高い式としてG. A. Wempnerの式が提案されているが, これら二つの式は, いずれも近似的仮定のもとに導かれたものであるから, これらの式がどの程度の誤差を含むかについて, 皿ばねを使用する機械設計者はよく知っていなければならない. 本研究では, 皿ばねに対し弾性薄殻理論を適用して得られる支配微分方程式を差分法により数値的に解いて, 精度の高い荷重-たわみ関係の解をいくつか求める. 一方, 上記の二つの近似式により対応する解を求め, これら三つの解を比較する. また, いくつかの場合に対して実験を行い, その結果も比較に供する. そして, これらの比較の結果を総合的に見て, 二つの近似式の精度に関していくつかの知見を得る.
  • 大河内 禎一, 今泉 敏幸, 市川 正治
    1991 年 1991 巻 36 号 p. 23-30
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    本報は, 円筒コイルばねの素線断面形状の最適化について行われたものである. 通常, 円形断面の円筒コイルばねは, コイルの内側の応力が外側より大きくなる. ゆえに, 素線断面形状の改良による応力の均一化によって, 重量が軽減し得ると考えられる.
    形状最適化は, 最大設計応力, ばね定数, コイル中心径および負荷荷重が一定という条件のもとで, 円筒コイルばねの重量が最小となる素線断面形状を求めることにより行われる. ばねに働くねじりモーメントとせん断力によって生ずる応力は, コイルの曲りの影響を考慮して, 有限要素法で計算される.
    素線断面形状は, 断面の原点から外周上のそれぞれの径の長さrを変更することにより逐次修正される. 最適断面形状は, 本報で用いた原形状によらず, ほぼだ円となることがわかった.
  • 長屋 幸助, 平田 康夫, 鶴見 豊明, 武田 定彦, 永井 健一, 谷藤 克也
    1991 年 1991 巻 36 号 p. 31-35
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    円形断面以外の異形断面線はこれまでの研究によると, 丸線ばねに比べ小型化が図れること, 断面の偏平度と形状を適当に選択すると, 丸線ばねに比べ同じ断面積のばねで応力値を小さくすることができ, さらに固有振動数を高め, 動的応力値が丸線ばねに比べ小さくなるので動的変位・荷重を受ける機器のばねとしては有利であることが報告され, 自動車エンジン動弁系の弁ばねとして用いられるようになった. このような状況のもとでばね技術研究会では異形断面線ばね調査委員会を発足させ, ばね諸元の調査, 解析法の調査を行うとともに種々の方法による応力値の検討を円, 楕円, 卵型の三つの素線断面について行った結果, これまで注目されていなかった楕円断面線ばねが動弁系で使用されるばね諸元のもとでは, 他の二つに比べ応力的に有利であることを報告した. しかし現在のところ, その応力を求める実用設計式は確立していない. 本報ではこれらにかんがみ楕円断面線ばねの実用設計式を提案する. 一方ばねの巻数が少くなると, 一般に端末の影響が大となり, 端末を無視した解析が適用できない. 本報では, 楕円断面線ばねの端末を考慮した応力計算をも行い, 上記の実用設計式がどの範囲まで適用可能かも検討し, さらにばね設計に不可欠なばね定数の計算式をも示した.
  • 能登 悟郎, 中沢 慎太郎, 久納 孝彦, 対馬 一憲
    1991 年 1991 巻 36 号 p. 36-46
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    コイルばねの高応力化にともない, 楕円, 卵形などの異形断面線を用いたコイルばねの実用化が, 自動車エンジン用バルブスプリングを中心に進んでいる. この異形断面線を用いたコイルばねでは, 素線表面上のせん断応力分布を支配する素線の正確な断面形状を明らかにすることが特に重要である.
    本研究では, 楕円断面線及びFuchs卵形断面線のコイリングにともなう断面変形解析及びコイルの切断実験を行い, 次の事項を明らかにした.
    (1) 楕円断面棒, 卵形断面棒の塑性単純曲げ後の断面形状が定式化された.
    (2) 切断面の傾き及びずれが断面の輪郭に及ぼす影響が近似的に解析された.
    (3) 同一ばね指数に対し, 円形断面より楕円断面の方が断面変形量が大きい.
    (4) 切断実験から得られた断面変形量は, 曲げの外側 (引張り側) では解析結果とほぼ一致するが, 曲げの内側 (圧縮側) では解析結果より大きい.
  • 丹下 彰, 阿久津 忠良, 高村 典利
    1991 年 1991 巻 36 号 p. 47-53
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ショットピーニングによる残留応力分布の疲労き裂伝播寿命への影響について, ばね鋼に関して研究した.
    結果は以下のようにまとめられる.
    (1) ばね鋼における微小き裂伝播開始条件を決定するために, 我々はHaddadの整理法に硬さおよび応力比依存性を考慮する方法を提案した.
    (2) 疲労き裂伝播寿命向上には, 表面圧縮残留応力を高めることが非常に重要である.
    (3) 疲労き裂伝播寿命の大半は疲労き裂が表面から圧縮残留応力が最大となる位置にまで伝播する間に費やされる.
    (4) 内部の圧縮残留応力が最大となる位置は表面に近かければ近いほど, 疲労き裂伝播寿命は向上する.
    (5) 本手法によって予測されるS-N曲線は, 実際の回転曲げ疲労試験結果とよく対応している.
  • 異形断面線を用いたコイルばねに関する調査委員会
    1991 年 1991 巻 36 号 p. 54-76
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    本報告は, 自動車エンジン用弁ばねを中心に近年我が国で採用が急速に拡がりつつある異形断面線を用いたコイルばねについて, 自動車メーカー9社, ばねメーカー13社, 材料メーカ6社および2大学が協力してその現状と問題点を調査した結果ならびに今後協力して解決すべき課題について明らかにしたものであり, その内容は以下のように要約される.
    異形断面線を用いたコイルばねの現状
    1. 自動車エンジン用弁ばねを中心に数年前より実用化され, 現在国内ばねメーカ数社による生産量は合計月産300万個以上に達している.
    2. 用途は上記弁ばねのほか, クラッチばね, 自動変速機用ばね等で, 懸架用その他も検討されている.
    3. 線の断面形状として卵形, 楕円形およびそれらを修正した多数の実用断面形状が特許出願されており, それらの一部が量産ばねに採用されている.
    4. 素線径, ばね指数, 断面の長短径比などの実績は, ばねの用途別にある程度一定している.
    5. 丸線ばねと比較して20~30%のコスト高となる.
    解析・設計面からみた利点と問題点
    1. 密着高さの低減など, 省スペース設計に寄与.
    2. 線の断面形状とコイルの有効巻数を変化させて最適化を行なうことにより, ばねの軽量化が可能.
    3. 応力分布の一様性の観点より円形, 楕円形, Fuchs卵形の素線断面を比較すると, 適当な長短径比の下では, 楕円断面が有利となる.
    4. 応力解析の方法としては, 3次元ソリッド要素を用いた有限要素法, 解析と有限要素法又は境界要素法を併用した解法, フーリエ展開境界値平均法などが確立されており, いずれも実用上十分な精度で解析できるが, 実務的には簡易設計法の確立が望まれる.
    5. 素線の倒れなどコイルの不完全性が応力分布におよぼす影響を解明する必要がある.
    加工・評価面からみた問題点
    1. コイル素線の倒れは応力分布に影響するため, 倒れの正確かつ迅速に測定する方法の確立.
    2. 異形線の引張り破断部断面積の測定法およびコイル素線の断面形状の正確かつ迅速な測定法の確立.
    3. 異形線の表面疵の検出精度の向上.
  • 磯部 晋, 国井 敏弘
    1991 年 1991 巻 36 号 p. 77-78
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
  • 加藤 金治, 下関 正義
    1991 年 1991 巻 36 号 p. 78-79
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
  • 俊野 英男, 斉藤 邦茂
    1991 年 1991 巻 36 号 p. 79-80
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
  • 宮川 信勇, 小曽根 敏夫
    1991 年 1991 巻 36 号 p. 81
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
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