樹木医学研究
Online ISSN : 2189-7204
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10 巻, 1 号
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口絵
巻頭言
総説
論文
  • 松下 範久, 兼平 千央, 鈴木 和夫
    2006 年 10 巻 1 号 p. 11-18
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2020/10/01
    ジャーナル フリー
    日本におけるサクラてんぐ巣病菌(Taphrina wiesneri)の遺伝的多様性を明らかにするために,rDNA-IGS1領域のPCR-RFLP分析を行った.その結果,制限酵素Hha Iにおいて,6種の切断パターンが認められた.Acc II,Dde I,Hinf I,Mbo I,ScrF Iにおいても2~5種類の切断パターンが認められたものの,Hha Iの切断パターンにより分けられた6グループをさらに分けることはできなかった.したがって,供試した111菌株は,A~Fの6種のIGS1タイプに分けられた.これらのうち,タイプA~Cの3種の菌株が優占しており,タイプAは全国的に分布が確認されたのに対して,タイプBは本州と四国から,タイプCは宮城県以南からのみ分布が確認された.他のタイプは1~3菌株のみに見られた.本病により多大な被害を受けているソメイヨシノからは,すべてのIGS1タイプの菌株が分離された.以上の結果から,IGS1タイプによりT. wiesneriの地理的分布が異なることが示唆された.
  • 佐藤 重穂, 前藤 薫, 宮田 弘明
    2006 年 10 巻 1 号 p. 19-23
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2020/10/01
    ジャーナル フリー
    材質劣化害虫ニホンキバチの被害防除法について検討するために,ヒノキ林の間伐時期および間伐木の玉切り処理が材から発生する成虫数に及ぼす影響についての試験を行った.3通りの間伐時期(11月,2月,5月)で,間伐木を2 m長に切る玉切り処理の有無について,ニホンキバチの成虫発生数を比較した.玉切り処理は無処理よりも雌雄とも成虫発生数が多かった.雄成虫は11月間伐で発生数が少なかったが,雌成虫は間伐時期による発生数の違いは認められなかった.
  • 小松 雅史, 鈴木 和夫
    2006 年 10 巻 1 号 p. 25-35
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2020/10/01
    ジャーナル フリー
    植物体はストレスに対し,その負荷の程度に応じて細胞膜の透過性を変化させる.本研究では,マツ材線虫病に感染したクロマツ組織の壊死過程における細胞膜の透過性の変化を調べるため,マツノザイセンチュウを接種した当年生切り枝及び3年生菌の電解質漏出とDAPIにより染色される細胞核を観察した.切り枝では,接種6日後から電解質が異常に漏出し始め,その後線虫数の増加とともに増大した.木部では細胞核の染色性低下に先んじて異常漏出が引き起こされる傾向が認められた.一方,苗木では,接種を行った枝で接種15日後にすでに線虫が著しく増殖していたにもかかわらず,20日後まで漏出異常は見られず,30日後以降細胞核の染色性がほとんど失われたサンプルのみ電解質が異常漏出し,切り枝とは異なるパターンを示した.苗木の接種試験では,接種枝のみ針葉の変色を示したことから,病徴の進展が緩やかであった点が電解質漏出の発生パターンに影響を与えている可能性が示唆された.
解説
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