樹木医学研究
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14 巻, 3 号
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論文
  • 陶山 大志, 中尾 哲也, 冨松 祐樹
    2010 年 14 巻 3 号 p. 83-91
    発行日: 2010/07/31
    公開日: 2020/11/04
    ジャーナル フリー
    ヒノキ根株心材腐朽病の被害木の検出法として簡易な材質診断法である横打撃共振法を試みた.本法は打撃した樹幹の共振周波数Frと樹幹直径Dの積(DFr値)を診断の指標としている.27〜68年生のヒノキ16林分において約1500本を測定した結果,DFr値は地上高1.2 mで13〜46 cm・kHzと広範に及んだ.診断の基準となる健全木のDFr値の範囲を検討するため,121本を伐倒し材質を調査した結果,健全木99本のDFr値は30〜42 cm・kHzに分布し,林分や個体によってばらつきがあった.人工空洞・腐朽の大きさと測定値との関係を,立木を玉切って作製した円板を用いて検討したところ,空洞・腐朽面積率の増加につれDFr値が減少する傾向で,円板上でDFr値は空洞や腐朽の発生を感度よく捉えていることが分かった.
短報
  • 小林 元, 岡田 充弘, 小野 裕, 安江 恒, 井上 裕, 植木 達人
    2010 年 14 巻 3 号 p. 92-96
    発行日: 2010/07/31
    公開日: 2020/11/04
    ジャーナル フリー
    浅間山国有林の160年生と115年生のカラマツ高齢人工林において,立木地際部の腐朽診断を応力波測定法によって非破壊で行った.応力波伝播速度のヒストグラムは,両林分とも1.8 km・s-1の階級にモードを持ち,根株心材腐朽の進行した林分に特徴的なJ字型の分布型を示した.先の報告をもとに,応力波伝播速度が1.4 km・s-1より遅い階級では全ての個体が腐朽していると仮定すると,林分全体の160年生林では25%,115年生林では24%の個体が腐朽していると推定された.160年生林においては,樹幹の枝基部等にマツノカタワタケの子実体が見られ,この林分では根株の心材腐朽に加えて,樹幹の心材腐朽も進行していると考えられた.マツノカタワタケによる樹幹腐朽を加えると,160年生林では林分全体の少なくとも36%の個体が腐朽していると推定された.
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