樹木医学研究
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17 巻, 3 号
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シンポジウム
論文
  • 前田 雄一, 中村 徳和, 小山 敢, 矢部 浩, 土屋 竜太
    2013 年 17 巻 3 号 p. 102-112
    発行日: 2013/07/31
    公開日: 2020/12/21
    ジャーナル フリー
    2004年2月に発生したスギ火災林の樹冠変色率や幹の火傷高と,7年経過した生残木の幹の形状や腐朽状況を調べた.燃焼した落葉落枝は約10,000 kg/haと推測された.調査木全体の樹冠変色率は0~100%で,値の大きい個体は斜面上部に集中的に分布していた.一方,火傷高は0.2~3.9 mで,斜面位置での分布に偏りは見られなかった.6月と8月に樹冠変色率の高い被害木にキクイムシの穿入孔が確認された.スギの生残木は約55%で,その多くは斜面下部に分布していた.生残木には大きな傷が形成され,94%に腐朽が認められた.供試木4本を伐倒し,地際から樹高方向に20 cm間隔で円盤を採取して,腐朽と変色状況を調べたところ,火傷高以上の高さまで木部が腐朽・変色していることを確認した.以上の結果から,スギ林の火災は多くの枯死木を発生させるだけでなく,生き残ったとしても木材の腐朽や変色を促進し,材質を著しく低下させることが分かった.従って,火災が発生した場合,早めの伐倒処理を行うことで材価の低下を防ぐことが得策だと考えられる.
  • 徳丸 晋, 上山 博, 新屋 卓
    2013 年 17 巻 3 号 p. 113-117
    発行日: 2013/07/31
    公開日: 2020/12/21
    ジャーナル フリー
    プラタナスグンバイは北アメリカ原産で,日本では2001年に愛知県で初めて発生が確認され,九州から北海道までの範囲に地理的分布を拡大した.本種の成虫および幼虫は,プラタナスの葉裏を吸汁加害することにより,葉を白化させる.本種が発生するプラタナスは,日本では街路樹として人通りの多い場所に植えられており,京都府のプラタナスに隣接した住宅では,テラスに干した洗濯物や布団に成虫が飛来するため,不快害虫にもなっている.また,そこで殺虫剤を直接植物体へ散布しない防除技術の確立を目的として,2008年に京都市内の街路に植栽されているプラタナスにおいて,チアメトキサム液剤(400 mL/m3および600 mL/m3)の樹幹注入処理を行い,本種に対する防除効果を調べた.その結果,どちらの注入量でも,本種の成虫および幼虫の発生を処理138日後まで抑えた.
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