樹木の危険度診断において,外観診断を補助する目的で行われる腐朽診断機器による診断で実空洞率を推定するには,各機器の特性を把握しておく必要がある.そこで,診断機器の検出誤差が現れやすいと考えられる,三日月型と十字型の人工的な空洞を,直径・厚さ30 cm程度のケヤキ材を用いて作製した.三日月型は実空洞率7%,14%,20%,28%,37%,45%,十字型は実空洞率8%,16%,28%,39%,45%の試料で,4種の機器(音波,レーダ,ガンマ線,貫入抵抗)により測定した空洞率と試料の実空洞率を比較検討した.腐朽診断機器による測定結果として,機器や空洞形状によって,実空洞率に近い値を得られることもあったが,空洞率を大きく検出し倒伏する可能性の低い樹木を危険木と誤って判断したり,空洞率を小さく検出し倒伏の危険を見落としたりすることに繋がる可能性があることが推察された.