‘ソメイヨシノ’の大型こぶ症罹病枝と健全枝について,葉の水分生理特性と木部の比水分通導度(KS)を測定し,木部の水分通導組織の構造を観察した.罹病枝の葉の日中の水ポテンシャル,飽水時の浸透ポテンシャルおよび初発原形質分離時の水ポテンシャルは,健全枝の葉と比較し低下した.罹病枝の「こぶ」を生じた罹病部より枝先側の木部は,健全枝と罹病枝の罹病部より幹側の木部と比較し,比水分通導度が低下し,平均道管内径は小さく,道管密度は高くなった.罹病枝の「こぶ」を生じた罹病部で著しく比水分通導度が低下した.このことから,大型こぶ症は,‘ソメイヨシノ’罹病枝に対し,「こぶ」を生じた罹病部で蒸散流の水分通導が著しく妨げられ,罹病部より枝先に強い水不足が生じ枯死に至ると考えられた.
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