鹿児島県内のサザンカにおける輪紋葉枯病の被害発生状況について,公園や道路沿いの植栽木を14カ所と山地の自生木を7カ所で調査した.被害率は調査地によって0~100%と大きくばらつき,被害度と被害指数も同様に大きくばらついた.調査した2017年と2018年で各調査地の被害率と被害度は大きく変化しなかった.全体に山地の自生木より植栽木の方が被害が大きくなる,すなわち被害率・被害度・被害指数とも高くなる傾向が顕著に見られたが,標高と被害率・被害度に明瞭な関係はなかった.植栽木の中では定期的に剪定されていると見られる株の方がそうでない株よりも被害が大きくなる傾向が明瞭に見られた.剪定された植栽木では日当たりの良好な株の方が日当たりの不良な株より被害が大きくなる傾向が見られた.全調査株で見ると,相対照度が高い程被害が大きくなる傾向が明瞭に見られた.一方,隣接する株の樹冠が接触していると被害が大きくなる傾向が見られた.
ソテツに加害するカイガラムシAulacaspis yasumatsuiが沖縄島で初めて確認された.これは,奄美大島に次いで国内2例目である.沖縄島では北部の2か所に局在して被害が出ていた.聞き取り調査から,被害は2020〜2021年頃に発生したと思われる.被害発生が局所に限定されていること,また,港湾など物流・人流の中心地近くに被害がないことは,奄美大島での被害の状況と異なっていた.本種の激害木に対して樹木類・カイガラムシ類及び樹木類・カイガラムシ類幼虫で登録されている既往の薬剤を散布したところ,散布後2か月間に展開した新葉への加害や薬害は,いずれの供試木でも確認されなかった.しかし,薬剤散布や被害葉の摘葉などの処理は人的コストが大きく,省力的な防除方法の開発が防除上の課題と考えられた.
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