樹木医学研究
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4 巻, 2 号
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口絵
総説
  • 伊藤 賢介
    2000 年 4 巻 2 号 p. 63-71
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2020/09/15
    ジャーナル フリー
    スギカミキリは健全なスギ生立木に寄生して,大きな食害痕を残して材質と材価を低下させ,枯死させることもあるスギ人工林の最も重要な害虫のひとつである.スギ生立木におけるスギカミキリの主要な死亡要因はスギが分泌する樹脂と寄生バチなどの天敵である.多くのスギ林でスギカミキリの生息は5~10年生時に始まり,10~20年生時に個体数のピークを迎えて,その後減少してゆく.標高の低い土地の林ほど,また肥大成長量の大きな林ほどスギカミキリ被害が激しい.スギカミキリ抵抗性育種事業により抵抗性木が選抜されており,その種苗の供給が待たれている.さまざまな防除手段が試行されているが,実用的な防除法は確立されていない.スギカミキリ防除法の確立のために取り組むべき研究方向についても考察した.
論文
  • 森宗 晶子, 山岡 裕一, 黒田 吉雄, 及川 武久
    2000 年 4 巻 2 号 p. 73-80
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2020/09/15
    ジャーナル フリー
    筑波大学農林技術センター八ヶ岳演習林において,林齢9年のカラマツ生立木に1999年7月にCeratocystis laricicolaを接種後,経時的にカラマツの外部病徴,木部圧ポテンシャル,接種部周辺の内樹皮に形成された壊死病斑,辺材に形成された通水阻害部,樹幹内での菌の進展の観察,測定を行った.その結果,接種木では接種後5日目以降,木部圧ポテンシャルの低下,内樹皮の壊死病斑の拡大,辺材の通水阻害部の拡大,菌の進展が認められ,14日目には枯死木が観察された.菌は接種部から辺材の放射方向および上下軸方向に進展し,辺材の通水阻害部を形成した.枯死木では接種部周辺の辺材部の85%以上で通水阻害がおきていた.一方内樹皮の壊死病斑も拡大し,互いに融合することもあったが,病斑の融合が見られず枯死に至った接種木もあった.以上の結果から,C. laricicolaが接種部から辺材に侵入し,青変,乾燥部を形成して辺材での通水阻害部を拡大し,木部圧ポテンシャルの低下,外部病徴の進展を起こしたと考えられた.
  • 矢口 行雄, 上原 勝江, 亀山 統一, 小林 享夫, 中村 重正
    2000 年 4 巻 2 号 p. 81-85
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2020/09/15
    ジャーナル フリー
    1995年9月,沖縄県那覇市に植栽されていたブッソウゲ(Hibiscus rosa-sinensis)の街路樹に,淡褐色から灰白色で不整形の病斑を生じた葉が見出され,その上には黒色で半球状の炭疽病菌と思われる分生子層が多数観察された.これらの葉はその後,全体が黄変して早期に落葉する葉枯症状を呈した.病斑部には剛毛を有する分生子層に鎌形状の分生子(大きさ:24.5~28 µm×2.8~4 µm)を豊富に形成しているのがみられ,また接種試験によって病原性も確認された.これらの結果から本病はColletotrichum capsici (Sydow) Butler & Bisbyによって引き起こされた炭疽病であることが確認された.
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