筑波大学農林技術センター八ヶ岳演習林において,林齢9年のカラマツ生立木に1999年7月に
Ceratocystis laricicolaを接種後,経時的にカラマツの外部病徴,木部圧ポテンシャル,接種部周辺の内樹皮に形成された壊死病斑,辺材に形成された通水阻害部,樹幹内での菌の進展の観察,測定を行った.その結果,接種木では接種後5日目以降,木部圧ポテンシャルの低下,内樹皮の壊死病斑の拡大,辺材の通水阻害部の拡大,菌の進展が認められ,14日目には枯死木が観察された.菌は接種部から辺材の放射方向および上下軸方向に進展し,辺材の通水阻害部を形成した.枯死木では接種部周辺の辺材部の85%以上で通水阻害がおきていた.一方内樹皮の壊死病斑も拡大し,互いに融合することもあったが,病斑の融合が見られず枯死に至った接種木もあった.以上の結果から,
C. laricicolaが接種部から辺材に侵入し,青変,乾燥部を形成して辺材での通水阻害部を拡大し,木部圧ポテンシャルの低下,外部病徴の進展を起こしたと考えられた.
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