Tropics
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9 巻, 3 号
Functional Comparisons of Tropical and Temperate Ecosystem
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 2000 年 9 巻 3 号 p. 165-166
    発行日: 2000年
    公開日: 2009/02/28
    ジャーナル フリー
  • 大沢 雅彦
    2000 年 9 巻 3 号 p. 167-168
    発行日: 2000年
    公開日: 2009/02/28
    ジャーナル フリー
  • 岡崎 正規
    2000 年 9 巻 3 号 p. 169-177
    発行日: 2000年
    公開日: 2009/02/28
    ジャーナル フリー
    マレーシア・サラワク州スンガイラタウ(タラウ)の熱帯低湿地林(2次林)および東京都八王子市の温帯落葉広葉樹(コナラ2 次林)において元素の収支研究が行われた。Shorea spp. およびDillenia spp. が優占するタラウの熱帯低湿地林下には, 0.1 以下の小さい仮比重と高い有機物含量を示す熱帯泥炭土壌(Tropofibrists )が分布していた。熱帯泥炭土壌の元素プールに比較して,熱帯低湿地林バイオマスの元素プールは,温帯落葉広葉樹林のそれよりも大きかった。熱帯低湿地林のリターフォールの元素フラックスは,熱帯泥炭土壌に大きな元素プールを与える要因の一つである。熱帯低湿地林生態系における元素のプールとフラックスから熱帯低湿地林および熱帯泥炭土壌を元素プールの一組として保存すべきである。温帯落葉広葉樹林(コナラ2 次林)におけるバイオマスと黒ボク土(Melanudands) の元素プール,降水,リターおよび林内雨の元素フラックス,植物による吸収フラックス,流去水を通した流出フラックスから,コナラ2 次林生態系の元素フラックスは,バイオマスの元素プールよりも小さかった。温帯落葉広葉樹林生態系における元素飽和状態を回避するために,降水および林内雨からの元素の流入を緊急に防止する必要がある。
  • 米田 健
    2000 年 9 巻 3 号 p. 179-193
    発行日: 2000年
    公開日: 2009/02/28
    ジャーナル フリー
    森林生態系の構造と機能との関連から,物質分解の特性を考察した。巨大な森林構造を支え,現存量の大半をしめる大形材器官の分解は,葉や小枝などの微細リターとくらべ,緩やかに進行する。大形枯死材では,腐朽の進行にともないその物理·化学的特性が徐々に崩壊する。それが結果として分解者に対し正のフィードバックとして働き,分解速度が次第に高まる。そのため,枯死材重量は,その生長過程で描かれたロジスチック曲線を逆にたどるパターンで消失してゆく。両過程はともに材の容積比重をパラメータとして連関している。すなわち,容積比重が低い材ほど,生長も速いが分解も速い。枯死材の平均回転率で評価した分解能は,発達した熱帯多雨林においては材器官の合成能の約6倍である。分解者と生産者の環境に対する反応が違うため,この分解能/合成能の比率は気候により異なる。動的平衡状態下にある生態系において,両者の比によって決定される遺体集積量に対する年平均気温と植物遺体の耐久性の影響を,シミュレーションにより考察した。冬場の低温が厳しい照葉樹林と,乾季にひどく乾燥する熱帯季節林を例に,物質分解の重要な環境要因である温度と水分の影響を評価し,また生産過程との関連から生態系全体の機能への影響も考察した。
  • 松本 陽介, 丸山 温, Lai Hoe ANG
    2000 年 9 巻 3 号 p. 195-209
    発行日: 2000年
    公開日: 2009/02/28
    ジャーナル フリー
    半島マレーシアにおいて,低地に成育するフタバガキ科25樹種を含めた46 種の熱帯樹種を対象に,陽葉における最大純光合成速度(Pnmax) ,最大水蒸気拡散コンダクタンス(Gwmax) ,両者の比である水利用効率のWUE, Water-UseEfficiency, Pnmax⁄GWmax) ,およと飽水時の浸透ポテンシャル(ψs0) を明らかにした。さらにPnmax , Gwmax, WUE およびψs0による熱帯樹種の特性評価を試みた。熱帯樹種のPnmaxは約3-16 μmol CO2 m-2s-1の範囲で,その分布中心は約7 μmol CO2 m-2s-1, GWmax は約30-750mmolH2O m-2s-1で,その分布中心は約200 mmolH2Om-2s-1であった。いずれも温帯樹種に比べて低かった。しかし, WUEでは熱帯樹種と温帯樹種の問に大差はなかった。また,ψs0は温帯の樹種にくらべ高い(絶対値の小さい)樹種が多かった。これらのことから,熱帯樹種は温帯樹種に比べ光合成速度が低い傾向があるがこれは主としてガス拡散コンダクタンスが制限要因となっているためで,水利用効率に差はないこと熱帯性樹種の旺盛な成長は光合成能力ではなくほぼ一年を通して光合成生産が可能な熱帯の温度環境によること,および熱帯樹種は植栽時などにしおれやすい性質を持つことが明らかになった。以上の結果をもとにして樹種特性評価を試みた結果, 7 つの樹種特性に区分した。
  • 神崎 護, Kriangsak SRI-NGERNYUANG, 藤井 範次, 水野 貴司, 野口 英之, 山倉 拓夫, 原 正利, 大久保 ...
    2000 年 9 巻 3 号 p. 211-228
    発行日: 2000年
    公開日: 2009/02/28
    ジャーナル フリー
    タイのドイ·インタノンの熱帯山地林と日本の春日山の照葉樹林に設置した大面積調査区を利用して,林冠木構成種の地形的ニッチと更新ニッチの分割パターンの比較を行った。ドイ·インタノン調査区と春日山調査区での林冠木出現種数はそれぞれ91 種と56 種で,多様性の違いは大きいが,地形的な多様性は両調査区で同程度,もしくは春日山でより多様であった。それぞれの調査区を20m × 20m のメッシュに分割して,種の在・不在データを用いてdetrended correspondence analysis (DCA)を行い,種組成の主要な変動軸を抽出した。ドイ·インタノン調査区で得られたDCA1 軸のメッシュスコアは標高,斜面傾斜,斜面方位,斜面の凸度指数によって70% が説明でき,メッシュ内の胸高断面積合計は回帰に貢献しなかった。一方,春日山調査区で得られた日ごA1 軸のメッシュスコアは標高,斜面傾斜,斜面の凸度指数に加え胸高断面積合計によって37% が説明されたに過ぎなかった。日ごA1 軸ならびに斜面凸度指数をニッチ軸として構成種のニッチ幅とニッチ重複度を比較すると, ドイ·インタノン調査区のほうがニッチ幅が狭く,ニッチの重複が小さく,よりきめ細かなニッチ分割が行われていることが明らかとなった。ドイ·インタノン調査区ではDCA1 軸ならびに斜面凸度指数の変化に伴う種組成の変異が大きく,春日山調査区に比べてinternal β多様性が高いことが明らかとなった。以上のことからドイ·インタノンの熱帯山地林での高い種の多様性は,きめ細かな地形的ニッチ分割と結び、ついていることが示唆された。
  • 松本 忠夫
    2000 年 9 巻 3 号 p. 229-236
    発行日: 2000年
    公開日: 2009/02/28
    ジャーナル フリー
    シロアリ類及び食材性のゴキブリ類と甲虫類は,熱帯から冷温帯にかけての森林の林床部にある植物枯死体を摂食しているが,どの昆虫類も赤道付近の真熱帯域において種類数が最も多い。しかし,少数ながら冷温な地域においてのみ適応した種類もいる。また,おなじ熱帯でも湿潤地と乾燥地の問で,また,低地と山地の問では,群集の顔ぶれが異なる。本論文では,そのような熱帯や温帯地域による群集の相違は,これら個々の食材性昆虫の生態・行動・生理などとどのように関わっているかを解説した。
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