社会学年報
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最新号
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小特集Ⅰ 概念・経験・相互行為
  • 板倉 有紀
    2017 年 46 巻 p. 1-2
    発行日: 2017/12/26
    公開日: 2019/01/28
    ジャーナル フリー
  • 喜多 加実代, 浦野 茂
    2017 年 46 巻 p. 3-15
    発行日: 2017/12/26
    公開日: 2019/01/28
    ジャーナル フリー
     当事者についての研究が隆盛する一方,当事者概念の誤解や拡張使用が懸念され,その概念の精錬の必要性も言われている.これに対し,本稿では,当事者の概念分析を提案する.本稿で言及する概念分析とは,ウィトゲンシュタインやライルの影響の下にウィンチが提唱し,エスノメソドロジーやハッキングが発展的に継承したものである.「当事者」と成員カテゴリーの複数の結びつき方を簡単に示した後に,2つの異なる事例について,実践の記述として,「当事者」の概念分析を行う.
  • 鶴田 幸恵
    2017 年 46 巻 p. 17-31
    発行日: 2017/12/26
    公開日: 2019/01/28
    ジャーナル フリー

     この論文の目的は「トランスジェンダー」概念と「性同一性障害(GID)」概念の関係について,トランスジェンダーとして生きる三橋さんと,性同一性障害として生きるAさんへのインタビューの分析から見通しを与えることである.
     三橋さんは,「トランスジェンダー」が性別役割の押しつけからの解放を求める運動と結びついたカテゴリーであるのに対し,「GID」は医学の身体本質主義と結びついた医療カテゴリーであると語る.それに対してAさんは,「GID」をある種の「障害」カテゴリーとして,「トランスジェンダー」と対立的には捉えていない.Aさんは,「障害」というものを社会の側にあると位置づける理解の仕方によって,また三橋さんや私が前提としているようにトランスジェンダーと性同一性障害を対立した存在だとは捉えないことによって,性同一性障害というものをアイデンティティとすることができている.
     両者の概念の用法は対立するように見えるかもしれないが,いずれも彼女らが直面してきた問題をサバイブするための手段だと考えることもできる.それゆえ,彼女らのアイデンティティ・カテゴリーは,彼女らの生きている社会関係と,その関係の中でカテゴリーが埋め込まれた概念連関の中で理解されなくてはならない.

  • 木村 雅史
    2017 年 46 巻 p. 33-43
    発行日: 2017/12/26
    公開日: 2019/01/28
    ジャーナル フリー

     本稿の目的は,アーヴィング・ゴフマンの「状況の定義」論の観点から,「いじり」と呼ばれるコミュニケーションのあり方について扱ったメディア・テクストを分析することで,テクストが提供している「いじめ」と「いじり」の区別や関連性に関するカテゴリー適用の方法を記述・考察することである.
     ゴフマンの「状況の定義」論は,①「状況の定義」と自己呈示の関連性に着目している点,②人々の「状況の定義」活動を記述する枠組(「状況の定義」の重層性や移行関係)を提供している点において,独自のパースペクティブをもっている.本稿では,ゴフマンの「状況の定義」論の観点から,「いじめ」と「いじり」をめぐる「状況の定義」活動の記述・考察を行った.メディア・テクスト分析の結果,状況やオーディエンスの変化が,「いじめ」/「いじり」定義の維持や変化,それぞれの定義における意味世界の形成,参加者の自己呈示やその読みとられ方に影響を与えていることが明らかになった.本稿で分析したメディア・テクストは,それぞれ方法は異なるものの,「いじめ」カテゴリーと「いじり」カテゴリーの区別や関連性について,オーディエンスにカテゴリー適用の方法を提供している.

小特集Ⅱ 震災復興の社会学
  • 相澤 卓郎, 佐久間 政広
    2017 年 46 巻 p. 45-56
    発行日: 2017/12/26
    公開日: 2019/01/28
    ジャーナル フリー

     東日本大震災後の早い時期に,被災した民俗芸能がつぎとつぎと再開された.先行研究では,こうした祭礼や民俗芸能の再開により,被災者が直面する困難への対処がなされていることが明らかにされた.しかし,それでは説明できない現実も出現している.2012年1月3日に復活した大曲浜獅子舞は,復活後数年間,震災前より格段に多い回数の上演が実施された.それは,この獅子舞が「被災者が全国から支援をうけて民俗芸能を復活させ,復興に向けて力強く歩みを進める」という物語を背負う「復興のシンボル」として扱われ,この物語が被災地の内外において求められたからである.獅子舞保存会に殺到する上演依頼に対して,保存会会員は,獅子舞上演を「被災地支援に対するお返し」と意味づけて応えた.保存会は,中学校時代に獅子舞指導を受けた先輩-後輩,同級生たちからなる仲間集団であり,会員たちは,互いに仲間としての関係を維持するために,可能な限り上演に参加した.

  • 松原 久
    2017 年 46 巻 p. 57-67
    発行日: 2017/12/26
    公開日: 2019/01/28
    ジャーナル フリー

     本稿の目的は,「平成の大合併」による負の影響が指摘されてきた宮城県石巻市雄勝町を事例として,住民組織における各種対立関係の推移から,災害復興過程にあらわれる問題とその特質を検討することである.
     津波で壊滅的な被害をうけた雄勝町では,震災後,一部住民は町内でいち早い生活再建に向けて動きだしたが,多くの住民は町外への避難を迫られた.そのような状況で,雄勝町単位で復興を議論する場として住民組織が設立され,早期に復興方針が決定される.しかし復興方針の事業化に向けた具体的な手続きは,雄勝町中心部の住民を中心に反発を招き,行政・住民間,住民間の対立をもたらす結果となった.また行政と一部住民は,復興事業の早期推進を堅持したことで,事業の進め方や条件に反対する住民を議論の場から排除・退出させていく.その結果,復興事業を推進する以外の議論の停滞を招いていた.以上のような対立は,広域合併で生まれた統治形態の変化(雄勝町の周辺化)に,合併前から継承された自治の特性(雄勝町単位の自治の弱さ)が加わることで発生したものであった.ここから合併の影響を論じるうえで,合併パターンや行政対応とともに,旧市町村がもつ自治の特性を視野に入れる必要性が示唆される.

  • 磯崎 匡
    2017 年 46 巻 p. 69-77
    発行日: 2017/12/26
    公開日: 2019/01/28
    ジャーナル フリー

     本稿の目的は,福島県いわき市豊間地区を事例として,協働による復興の取り組みが地域社会に与える影響について明らかにすることである.
     福島県いわき市豊間地区では,震災後の地区復興のためのグランドデザインを示すために,地区を構成する豊間,薄磯,沼之内の3区の住民が協力して2013年に市民会議として「海まち・とよま市民会議」が立ち上がった.地域の意思決定においては既存の地域住民組織が大きな役割を果たしていたが,旧豊間中学校震災遺構問題に端を発して地域の意思決定プロセスに変化が見られた.このような変化に対して海まち・とよま市民会議が果たした役割について聴き取りを踏まえて考察を加えた結果,先行研究で挙げられていた,合意形成機能,協働促進機能,自治力向上機能が働いていることがわかった.
     本稿の新たな知見として市民会議の様々な実践を通して,復興まちづくりという場面において行政や各区,住民の意見を集約することが可能となるという知見が得られた.そうして集約したものを提案として各区や行政に提示する形式が作られた.これは行政と住民の間に立ち意見を調整する調整機能というべき機能であると考えられる.

学会活動報告 東北地方における社会学教育・研究の現状と課題
自由投稿論文
  • 岩尾 紘彰
    2017 年 46 巻 p. 115-125
    発行日: 2017/12/26
    公開日: 2019/01/28
    ジャーナル フリー

     ハーバーマスによれば,「体系的に歪められたコミュニケーション」は「人格どうしの関係の物化」を表現するものであり,人格の社会化に関する「病的生成の研究の出発点にならねばならない」.しかし,ハーバーマスは『コミュニケーション行為の理論』でこのように述べてはいるものの,その内容をつまびらかにはしていない.「体系的に歪められたコミュニケーション」に関するアイディアを読み手の側で展開していくためには,『コミュニケーション行為の理論』の「体系的に歪められたコミュニケーション」に関する2つの疑問を解決しておく必要がある.そのために,本稿では,「コミュニケーション病理の考察」という論考の「体系的に歪められたコミュニケーション」の論理を話し手と聞き手とのやりとりに注目して明らかにする.「コミュニケーション病理の考察」の「体系的に歪められたコミュニケーション」の側から『コミュニケーション行為の理論』の「体系的に歪められたコミュニケーション」に光を当てることで,2つの疑問を解決するとともに以下のことが明らかになった.それは,「体系的に歪められたコミュニケーション」に関するアイディアをわたしたちが展開していくためには,『コミュニケーション行為の理論』の「体系的に歪められたコミュニケーション」の意義を「操作」や「コミュニケーション病理」との概念的なつながりのなかで明らかにする必要がある,ということである.

  • 斉藤 知洋
    2017 年 46 巻 p. 127-138
    発行日: 2017/12/26
    公開日: 2019/01/28
    ジャーナル フリー

     本稿の目的は,中学3年生とその母親を対象とした社会調査データを用いて,(1)中学生を含む有子世帯が相対的貧困に陥る社会経済的要因,(2)相対的貧困世帯と子どもの教育期待(将来の到達希望学歴)の関連とそのメカニズムについて検討することである.
     分析の結果,得られた知見は以下のとおりである.第1に,社会階層・家族的要因として,低学歴層,世帯主が非正規雇用,子ども数が多い,母子世帯であることが有子世帯の貧困リスクを有意に高める独自効果を持つ.そして,これらの諸要因は母親15歳時の家庭の暮らし向きと現在の貧困状態の関連――貧困の世代間連鎖――を十分に説明していた.第2に,相対的貧困状態にある世帯に所属する子どもは,非貧困群と比べて高等教育への進学期待が相対的に低い傾向にあった.しかし,両者の関連は相対的貧困世帯の人的資本投資の寡少や経済的負担感を重視する経済的剥奪仮説(投資論仮説)のみでは十分に説明することができず,他の媒介メカニズムを検証する必要性が示唆された.

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