グリーンおよび果樹園由来のスズメノカタビラ種子を2014年9月に播種し, 野外条件下で育成した。グリーン由来個体は2014年11月, 2015年3月, 4月および5月に, 果樹園由来個体は2014年11月, 12月, 2015年3月, 4月および5月にそれぞれ種子を生産した。種子の生存率は形成時期の違いにかかわらずグリーンおよび果樹園由来個体で約90%以上であった。種子千粒重はグリーンおよび果樹園由来個体で3月に形成された種子で最大値を, 5月に形成された種子で最小値を示した。
培養器内発芽率はグリーン由来個体では11, 3, 4および5月形成種子で84.0±4.2%, 39.5±7.5%, 72.4±4.6%および65.8±17.6%と比較的高かったのに対して, 果樹園由来個体では11, 12, 3, 4および5月形成種子で0.4±0.9%, 0%, 0%, 0%および0.6±0.4%と著しく低かった。野外発芽率はグリーン由来個体では3月および5月形成種子で36.0±11.5%および41.5±19.4%であったが11月および4月形成種子は全く発芽しなかった。一方, 果樹園由来個体では, 5月形成種子で1.0±2.1%の種子が発芽しただけで, 11月, 12月, 3月および4月形成種子は全く発芽しなかった。培養器内発芽率と野外発芽率の結果から, グリーン由来個体のスズメノカタビラ種子の休眠性は果樹園由来種子より浅く, 形成時期によっては一次休眠, 二次休眠あるいは環境休眠に入ることが示唆された。
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