芝草研究
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10 巻, 1 号
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  • ―日本・アメリカの芝生を中心として―
    北村 文雄
    1981 年 10 巻 1 号 p. 5-10
    発行日: 1981/04/30
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
  • 清原 秀治
    1981 年 10 巻 1 号 p. 11-14
    発行日: 1981/04/30
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
  • 貴島 茂
    1981 年 10 巻 1 号 p. 15-23
    発行日: 1981/04/30
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
  • 吉田 正義
    1981 年 10 巻 1 号 p. 25-36
    発行日: 1981/04/30
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    (1) わが国の芝草地では現在, シバツトガ: Pediasia (Crambus) teterrellus Zincken: Bluegrass webworm, チガヤシロオカイガラムシ: Antonina graminis Maskell: Rhodesgrass scale, シバオサゾウムシ: Sphenophous venatus vestitus Chittenden: Hunting billbugの3種の侵入害虫が発見されている。これら3種の侵入害虫はいずれも, 米国の東南部のジョウジア州一帯に生息しているもので, 1964年同州のティフトン市からティフトン芝を輸入したとき, これに付着して侵入したことが考察される芝草害虫である。これらの芝草害虫はわが国の西南部の気候温暖な地方に適応性をもつもので, 暖地で芝草を管理する場合には留意する必要がある。とくにシバツトガは高温乾燥の年には爆発的に発生して, わが国の各地で惨害を起こしている。
    (2) このシバツトガによると思われるわが国における最初の被害が, 1968年に三田CC (兵庫県三田市) で起こった。関西グリーン研究所 (1969) はこの害虫に対して従来からわが国に生息していたクランブス属のツトガと発表し, 1973年にはツトガ (Anchylolomia japonica A spp) による被害としているが, これは誤りと思われる。
    (3) この理由として, 著者らの調査・実験では次に示す事項が明確になっている。
    1) 米国・ジョージア州・ティフトン市―羽田空港―千刈CC―浜松シーサイドCCというシバツトガの1本の侵入経路が明らかになった。2) ティフトン・ジャパン社系の芝で造成した大谷GCでツトガ類による異常発生が1974年に発生したが, これもシバツトガであった。3) わが国における最初の被害と思われる三田地区の場合もシバツトガによるものと推察される。4) わが国における2番目の被害である門司CCの場合もシバツトガであり, その移入もとはティフトン芝を栽培している芝草生産会社である。5) 1972年~1980年の間, シバツトガの発生予察が著者らによって行われている。6) 芝草地を黄変するような被害地から採集されるツトガ類の幼虫の飼育実験から羽化するものはシバツトガのみであって, ツトガは羽化していない。
    (4) 宮崎フェニックスCCと宮崎CCアオシマコースは海岸の砂土地帯のマツの防風林中に造成されたゴルフ場で, 排水が良くコガネムシ類の幼虫の生息環境として好適な条件を備えている。場内の植生はクロマツと芝草の組み合せできわて単純である。このような環境下では, 芝草のみで増殖が可能な芝草のコガネムシ類の発生が中心であり, これにシバツトガ, スジキリヨトウによる芝草の被害が考えられる。土性が砂土であるので, チビサクラコガネ, ウスチャコガネの発生が考えられるが, コガネムシ類の調査をする必要があろう。
    (5) 宮崎県総合運動公園の場合は, 運動場を中心とした芝草地と, 樹木を中心とした公園が1つの場所に集まっていて, コガネムシ類の増殖を助長する形になっている。すなわち, 前者では芝草地のみで増殖するコガネムシによる被害ばかりではなく, 成虫と幼虫の摂食する餌植物の異なるコガネムシの被害も大きくなるので, コガネムシ類の幼虫を採集してその種類を調査するとともに, 燈火に誘殺される成虫を調査して防除の基礎的資料を得る必要がある。
    (6) シバツトガの防除については, 吉田・稲森・廿日出 (1978) , コガネムシ類の防除については山田・廿日出・吉田 (1980) の報文を参照されたい。
  • 永江 繁政
    1981 年 10 巻 1 号 p. 37-44
    発行日: 1981/04/30
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
  • 河鍋 征人
    1981 年 10 巻 1 号 p. 45-50
    発行日: 1981/04/30
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
  • 新田 伸三
    1981 年 10 巻 1 号 p. 51-55
    発行日: 1981/04/30
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
  • 吉田 正義, 鍋島 英男
    1981 年 10 巻 1 号 p. 57-61
    発行日: 1981/04/30
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    1) 1980年2月12日, 福岡カンツリークラブ和白コース (福岡市東区) と古賀ゴルフクラブ (福岡県粕屋郡) で芝草を加害するSphenophorus venatus vestitus Chittenden : Hunting billbug (シバオサゾウムシ) が発見された。
    2) 沖縄県下のゴルフ場では1979年7月に発見され, 密度の高い所では1m2あたり18頭の成虫が発見されている。福岡地区では1977年にはすでにこの虫の存在が確認され, 多い所では1m2あたり30~50頭, 少ない所で10~20頭が採集された。
    3) 現地ではコガネムシの幼虫と混同されていたようであるが, コガネムシは3対の胸脚があり, また腹部の後部の環節が丸く大きくなっているので, 区別することができる。
    4) この虫はコガネムシ類より発生経過が早く, 6週間位で1世代を終了し, 年間2世代またはそれ以上発生するようである。
    5) 福岡地区では主として成虫, 一部幼虫で越冬する。2月では幼虫は地表から5~6cm下の所に生息するが, 成虫は地表は浅く潜土しているので, これを捕食する渡り鳥のツグミがみられた。
    6) 成虫も口器で植物体をかみくだき加害するが, 幼虫による地下部の被害の方が大きい。幼虫による被害の顕著になるのは夏の終りから秋にかけてである。被害を受けた芝草地は黄色に枯死し, 芝草の茎葉をもって, 引っ張ると芝草がもち上るようになる。
    7) Bluegrass webworm, Rhodesgrasss cale, Hunting billbugのように多くの侵入害虫が発見されていることは, 他方では芝草の病害の原因となる菌類, 細菌, ウィルスやネマトーダ類などの侵入が予想されるので, 速やかにその研究対策が強く望まれる。
  • 芝草の侵入害虫Rhodesgrass scalesの生態と防除
    吉田 正義, 廿日出 正美, 赤堀 伸
    1981 年 10 巻 1 号 p. 63-72
    発行日: 1981/04/30
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    芝草の侵入害虫Rhodesgrass scale (Antonina graminis MASKELL) の防除の目的をもって, 東海地方における生態と発生経過について調査した。
    (1) この虫はアフリカ, オーストラリア, 米国南部など亜熱帯地方に生息しているもので, わが国では沖縄県に限って生息していたものである。近年, 芝草を輸入したとき, これに付着して侵入したことが考察される。
    (2) この虫は芝草の直立枝の基部やランナーの節に付着し, 汁液を吸害する。被害を受けた芝草は乾害を受けたように褐変し, 枯死する。特に排水がよく, 日当りのよい乾燥した芝草地では被害は顕著である。この虫による被害がめだち始めるのは8月下旬以降である。
    (3) この虫は単性生殖を営み, 卵胎生で増殖する。雌虫の体内の胚子は乳白色をしただ円体で, その長さは0.45mmであった。1令虫は殻をかぶっておらず, 3対の脚で活発に移動するので, 他の令の個体と容易に区別できる。体長は0.56mmであった。
    (4) 2令虫以後は暗紫色の袋状の形態をし, 尾部から白色の排泄管を体外に出し, 腹面から口吻を植物体に刺し込んで付着する。
    3対の脚は退化し, 運動性はなくなり芝草に固着する。体表から白色のろう物質を排出し, 殻を形成する。
    1, 2, 3令虫および成虫の体長はそれぞれ0.40~0.90mm, 0.6~1.2mm, 1.3~1.9mmおよび2.0~4.0mmであった。
    (5) 温度が高くなるにつれて, 仔虫の産出の速度は速くなる。産仔虫数は30℃および26℃ではそれぞれ200頭, 139頭で相違がみられる。この虫が仔虫を産出するには25℃以上の気温が必要とするのではなかろうか。
    (6) 1令虫の発生する時期は1化期では6月上旬~7月中旬, 2化期では8月上旬~9月中旬であった。ガラス室で飼育したものに限り僅少ではあったが3化期の仔虫が発生した。自然状態ではこの虫は年2回発生するものと考えられる。
    (7) 東海地方ではこの虫を防除するために, 1令虫の発生する6月上旬と8月上旬にDMTP乳剤の1000倍液を散布することにより, よい効果をあげている。
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