1. 著者は1982, 83年, 暖地型芝草としてコウライシバ
Zoysia matrella (L.)
Merr.と, クリーピング・ベントグラス
Agrostis palustrisHuds.の根群の季節的消長を観察した。
2. 本研究には, 根の観察箱observation box, Beardらのいうラィゾトロンrhizotronの一種が用いられた。
3. コウライシバは春において, 地下ほふく茎rhizomeが多く, 根の褐色化が甚しく進み衰退するが, 白い生活力のある根も少しく存在した。
この調査からは, Beardらのいうspring root diebackというよりは, その後名づけられたspring root declineという方が適当と思われた。この現象は根の春枯れともいうべきものであろう。著者の研究では, この根の春枯れは短時間におこるのでなく, むしろ徐々におこるようである。
4. クリーピング・ベントグラスはrhizomeはほとんどなく, stolonが多い。
本芝草は冬でも白い, 活力のある根はあるが, 春から活力のある根が増加し, 5月下旬から6月にかけて根群は最も発達した。
夏季にはベントグラスの根は著しく衰退し, 秋おそくまでこの状態は続く。この芝草の根の夏の衰退は, 根の夏枯れ現象summer root declineまたはearly autum root declineともいうべきであろう。
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