西洋芝類によるのり面保護植生工は、今後もますます、その施工量を増大してゆくものと思われるが、しかし、その施工後の経過は決して満足出来るものぼかりではない。特に、切土のり面における肥料成分の不足による生育不良は、今日いたる処で目立ち始めており、植生工本来の目的を果していないばかりでなく、冬期の枯草火災多発の原因の一つとも考えられる。
本報告では、この特殊な地形である切土のり面の植生への施肥方法についての基礎的研究として、肥料形態別肥効特性試験の結果を示すものである。
結果の概要は以下の通りであった。
1) 供試肥料区全体で顕著な生育促進が認められた。
2) 肥料形態別では、粒状≧液体>肥料杭の順に初期成果は良好であったが、液体・粒状では、下部への落下流亡がいちじるしく、肥効の持続性に問題がある。
3) 肥料杭は、肥効効果が初期にあらわれにくい欠点はあるが、その持続性は、おおいに期待出来るものと思われる。
4) 液体肥料の濃度別では、低濃度において良好であり、1.0%区では、やや生育が劣った。0.5%以下で施肥することが望ましい。
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